近くにあるのに意外と知らない祭神の由来について「八幡神と神仏習合」

子供の頃、近所に八幡神社があった。
「はちまんさん」と呼んでいて、放課後遊びに行くときは「はちまんさん、いってくる(境内で遊ぶ)」と言ってたし、神社のお祭りといえば「はちまんさんの秋のおまつり」だった。境内の中の広場は、定番の遊び場だったのだ。

――の、わりに、祭神の由来とか、そもそも「八幡さま」とは何かみたいなのは全く考えたこともなかった。
あまりに身近過ぎたというか、村の守り神みたいなポジションのやつだとずっと思ってたので… そういや外来神だったけ? みたいな感じでフト思い出し、この本を読んでみた。

八幡神と神仏習合 (講談社現代新書) - 逵 日出典
八幡神と神仏習合 (講談社現代新書) - 逵 日出典

意外にも、この神さまは新羅から渡ってきたとされる人々が連れ込んだ、新羅の神だった。
しかし日本に移住するにあたり、「日本式」の降臨の仕方をしている。古来の神々は、まず天から山に降り立つ。特徴的な山、この本では伊那佐山や室生山などの名前が出されていたが、そのあたりに降臨し、人里に社が勸請される。こうして外来神は日本の神に加わる。

面白いのは、この八幡神が初期から神仏習合の神だったということだ。
もともと仏教自体も大陸から渡ってきたものなので、渡来物どうし相性が良かったというのもあるだろうが、それにしても面白いのは怪僧の力を借りて神威を増したという、伝奇小説のような神話だ。
法蓮なる僧侶と縁を結んだというかのだが、ここにはいかほどの歴史事実が隠されているのだろう。さすがに1300年も前の話だと、どこまで真実かははっきりしない。

また、八幡神が大仏建立に協力していたというのも、今回はじめて知った。仏像なのに神が協力なんだ…というのはあるが、実際には、八幡神を奉じていた渡来系に起源する集団の協力だったのかもしれない。なんか、あの、子供の頃に遊んでいた、すんごい朴訥とした田舎風の神社からは想像もつかない来歴だった。

そんな「八幡さん」は、現代の神社では日本全国で最も数の多い祭神なのだという。
はるか昔に渡来し、日本の神として降臨し、仏教や道教を取り込み、融合しながら今に至る。日本の神道は外来のものを何でも融合するとよく言われるが、この神さま自体がまさにそれを体現した存在だった。

そして自分は、子供の頃から、そうとも知らずその神様の足元で遊んでいた、というわけなのだった。