ネアンデルタール人のDNAが現代人の免疫を左右する。新たな知見が開く「現生人類生存の理由」

まず、ここまでの流れを自分の把握できている範囲でおさらいしたい。

●ここ15年くらいでDNAの分析技術が発達し、現生人類とネアンデルタール人、デニソワ人が混血していたことが明らかに
 ⇨人類の祖先とネアンデルタール人、多くの子孫残していた

●デニソワ人の骨はチベット~ロシアあたりから多く発見されており、混血が起きたのもユーラシア大陸の東側

●現代人でも最大5%のDNAがデニソワ人由来

●ネアンデルタールのDNAが現生人類の免疫に関わっている可能性が示唆される
 ⇨ネアンデルタール人から受け継がれた遺伝的変異体が新型コロナウイルス感染症の重症化リスクを低減

●デニソワ人のDNAも関係してるんじゃないかと言われるように

●今回、その証拠が見つかった

というわけで、デニソワ人のDNAを多く引き継ぐ現代ニューギニアの人を調べてみたら、実際に免疫系DNAに発現に関わっている部分が見つかった、という話。

Denisovan introgression has shaped the immune system of present-day Papuans
https://journals.plos.org/plosgenetics/article?id=10.1371/journal.pgen.1010470

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ちなみにニューギニアは、最近の研究で、デニソワ人が最後まで生き残っていた可能性がある地域だとされている。
この地域の人たちにDNAの痕跡が多いのは、そのせいかもしれない。

 ⇨デニソワ人に別グループ、アジアでまた驚きの発見

ネアンデルタールのDNAも混じってはいるのだが、発現する場所がちょっと違うらしい。
また、感染症を引き起こすウィルスなどに対する防御機能により強く関わるのはデニソワ人から引き継いだDNA部分だそうで、移住してきた初期のホモ・サピエンスが早くこの土地に順応できたのは、より古くからこの土地にいたデニソワ人のもともと持っていた免疫機能を引き継げたからという可能性も出てきた。

ここ最近の研究が指し示す方向として、現生人類が最後に生き残ったヒト種である理由は、「免疫力」だったかもしれないと思い始めている。
混血を繰り返し、仲間のヒト種から有利なDNAを取り込んで、疫病に強い種になれたからではないかと。他のヒトが全滅していった理由も、もしかしたらそのへんかもしれない。病原菌によるものなら、痕跡は残りにくい。

この辺りの研究はほんの5年前には想像していなかった方向に進みつつあり、今後どんな展望が描かれるのか今の自分には見えない。
しかし、ほんの数パーセントの「偶然」が生存を左右したかもしれないとしたら、我々が今生きているのは本当に 運 なんだよなあ…。と、しみじみ思ってしまう。