古代エジプトまめちしき「ベルトに見えてるものは腰布留めてるわけじゃない」

突然ですが、古代エジプト絵で神様の服とか腰布の上から巻いているアレの話をしたい。
↓アレ

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バックルみたいなのついてるからベルトに見えますが、これはただの布の上からゆるく巻いてある飾り紐なんである。ベルトみたいに穴があいているわけではなく、ボタンもついていない。布自体は独立して腰に巻かれてて、その上に巻いてるだけのもの。なので引っ張る力には弱いし、つけたまま派手な動きをすると当然ズリ落ちる。儀式的に身につけることはあっても、日常的につけたまま生活するものではない。

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資料リンク

ボタンもファスナーもない時代にどうやって留めていたのかというと、後ろ側はおそらくフックになっていた。
こんな感じで、額飾りもフックになっている。

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では、こういう腰のあたりギュッとしてそうなやつはどうやっているのか…という話だが、これはベルトというよりサッシュである。分類名も「サッシュ」にされてるので「ベルト」で検索しても出てこない…。

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ツタンカーメン墓から出土しているものの復元がこちら。
チュニックの腰の部分に巻いたりする感じの布である。

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なので、古代エジプト世界には、現代人のイメージするところの「ベルト」は、実は存在しないのかもしれない。
腰に巻いてる帯状の布はあるけれど、それでズボンや腰布を留めるというわけではない。なので服ぬぎぬぎするシーンを描く際は、外し方を考慮したほうがリアルになるかもしれないね。