15年後の答え合わせ。「ロシアはどこに行くのか」
図書館日本探しにいったけど目当てのが貸出中だったので別のを借りてきた本。
タイトルについている「タンデム型デモクラシー」のタンデムとは、二人乗りのバイクや自転車のこと。本が出たのが2008年なので、プーチンが大統領を退いてメドベージェフを後継者に指名した時点での話である。
…その時点で「どこに行くのか」という話をしている本なので、今2023年にいる読者からすると「どこへたどり着いたのか」を知ってしまっている状態。
いわば、答え合わせが出来てしまう状態なのである。
ロシアはどこに行くのか─タンデム型デモクラシーの限界 (講談社現代新書) - 中村 逸郎
この本時点では、もちろんロシアはウクライナへは侵攻していない。
だが、2008年北京オリンピック後に南オセチアへの軍事介入をしている。
その後、2014年のクリミア併合。
この間、役職名が変わろうとも、ロシアはずっと「プーチンのロシア」であり続けたし、タンデムする相手がいるか居ないか、他の誰かが追加されるかだけでしかない。
つまり2022年のウクライナ侵攻まで、ロシアはずっと変わっていない。
着々とフラグを積み重ねてあるべきところへたどり着いただけ、なんである。
どこへ行くのか、というか、まっすぐ道を歩いてきただけだなこれ。って苦笑してしまう。いや、てか、本の中でも変化の兆しはまったくなかったわけだけども。
面白いのは政治の話よりは、政治に対する民衆の態度である。
ロシア人は平気で嘘をつくし法律も信じていない。選挙制度は腐っているが、不正投票ぶんを抜いてもプーチンは支持されている。なぜかというとソ連崩壊後のどん底経済から立ち直り、この当事は「いずれ日本も抜く」と希望観測的に見られていたからだ。
ロシアにおける民主主義とは、西側世界で言うそれとは違い、ロシア統一のための道具でしか無いのだという。
そしてロシア人もそれを受け入れている。支配者には逆らわないという国民性なのである。そして不正や汚職などよりも、群れを率いる者として、強いリーダー像を求めているのだと思う。プーチンはその要求に合致した。
ある意味、中国の国民性に似てるな…と思った。独裁でなければ広大な多民族国家は統治できないだろうから、似てくるのは当然かもしれないのだが。
余談だが、この本の著者は2022年のウクライナ侵攻後、ロシアから見せしめとして永久的な入国措置を取られたそうだ。
それに対して「本当のことを言ってたとロシアが証明してくれたぞ」と祝杯を上げたらしいから肝が太い。ただ、本を読んだ感じ、ロシアの民衆のことは理解していても、上位の政治家のほうと接点がないため、要するにお題に成る人たちがどういう人なのかなどを知らないため、いまいち個々の行動の読みは甘いのかな…。と思った。
より具体的に言うならば、この本の著者は、民衆の動きやフラットな情報は手に入れられても、首相な大統領のパーソナルに関する知見がないため、それを考慮して未来を予測する精度は低いと思われる。「プーチンの性格的にここはこうするだろう」とか「彼の個人的な事情を考慮すれば、この人との仲はすぐに破綻するだろう」「この人を利用するのではないか」みたいな部分だ。
政治家よりも、相対するロシア国民たちの顔のほうがよく見える、そんな本であった。
タイトルについている「タンデム型デモクラシー」のタンデムとは、二人乗りのバイクや自転車のこと。本が出たのが2008年なので、プーチンが大統領を退いてメドベージェフを後継者に指名した時点での話である。
…その時点で「どこに行くのか」という話をしている本なので、今2023年にいる読者からすると「どこへたどり着いたのか」を知ってしまっている状態。
いわば、答え合わせが出来てしまう状態なのである。
ロシアはどこに行くのか─タンデム型デモクラシーの限界 (講談社現代新書) - 中村 逸郎
この本時点では、もちろんロシアはウクライナへは侵攻していない。
だが、2008年北京オリンピック後に南オセチアへの軍事介入をしている。
その後、2014年のクリミア併合。
この間、役職名が変わろうとも、ロシアはずっと「プーチンのロシア」であり続けたし、タンデムする相手がいるか居ないか、他の誰かが追加されるかだけでしかない。
つまり2022年のウクライナ侵攻まで、ロシアはずっと変わっていない。
着々とフラグを積み重ねてあるべきところへたどり着いただけ、なんである。
どこへ行くのか、というか、まっすぐ道を歩いてきただけだなこれ。って苦笑してしまう。いや、てか、本の中でも変化の兆しはまったくなかったわけだけども。
面白いのは政治の話よりは、政治に対する民衆の態度である。
ロシア人は平気で嘘をつくし法律も信じていない。選挙制度は腐っているが、不正投票ぶんを抜いてもプーチンは支持されている。なぜかというとソ連崩壊後のどん底経済から立ち直り、この当事は「いずれ日本も抜く」と希望観測的に見られていたからだ。
ロシアにおける民主主義とは、西側世界で言うそれとは違い、ロシア統一のための道具でしか無いのだという。
そしてロシア人もそれを受け入れている。支配者には逆らわないという国民性なのである。そして不正や汚職などよりも、群れを率いる者として、強いリーダー像を求めているのだと思う。プーチンはその要求に合致した。
ある意味、中国の国民性に似てるな…と思った。独裁でなければ広大な多民族国家は統治できないだろうから、似てくるのは当然かもしれないのだが。
余談だが、この本の著者は2022年のウクライナ侵攻後、ロシアから見せしめとして永久的な入国措置を取られたそうだ。
それに対して「本当のことを言ってたとロシアが証明してくれたぞ」と祝杯を上げたらしいから肝が太い。ただ、本を読んだ感じ、ロシアの民衆のことは理解していても、上位の政治家のほうと接点がないため、要するにお題に成る人たちがどういう人なのかなどを知らないため、いまいち個々の行動の読みは甘いのかな…。と思った。
より具体的に言うならば、この本の著者は、民衆の動きやフラットな情報は手に入れられても、首相な大統領のパーソナルに関する知見がないため、それを考慮して未来を予測する精度は低いと思われる。「プーチンの性格的にここはこうするだろう」とか「彼の個人的な事情を考慮すれば、この人との仲はすぐに破綻するだろう」「この人を利用するのではないか」みたいな部分だ。
政治家よりも、相対するロシア国民たちの顔のほうがよく見える、そんな本であった。