ストーンヘンジを構成する石「ブルーストーン」、採石場が発見されてから海路説が消えた理由を調べてみた

前置きとして、ストーンヘンジは複数の石で構成されている。
大きめの部分を構成するサーセン石は比較的近くの、マールバラのすぐ南のウエストウッズ地域で採掘されたもの。
中のほうに丸く並べられた小さめのブルーストーンは、はるばる遠くのプレセリ丘陵にあるカーン・ゴードッグ(Carn Goedog)のもの。

このうち、ブルーストーンのほうは、距離があるために切り出したあとはいったん海に出して、海路→川を遡る という方法で近くまで運んだのでは…と言われていたのだが、採石場が判明して以降、この海路説が消えて「陸路」に固定されてしまった。

たとえば、以下の記事で「No journey by sea」と書かれている部分などである。

Stonehenge May Have First Stood in Wales, According to Speculative Idea
https://www.livescience.com/64801-stonehenge-temporary-monument.html

これってなんでなんだっけ? 同じプレセリ丘陵の中なのに場所が分かった時点で「あっ海もうムリや」って分かるような場所だったん?
…という疑問を抱いたので、ちょっと詳しく調べてみた。

まぁ結論から言うと、確かに海路は厳しい。
丘陵地帯の北側に採石場が見つかったのだが、海は南側で、南に石を運ぶにはまず崖を降りるか、かなり遠回りをして丘陵地帯を回り込まないといけない。普通に平野部を運んだほうが早そうなのだ。

場所についての資料

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Excavations-at-Carn-Goedog-viewed-from-the-South-showing-the-outcrop-the-Neolithic.png

ルートとしてはこうなる。わざわざ海に出しても道は短縮されない。

4t66607.png

あと遠景の写真も英語版Wikipediaにあるが、ここの地形的に海に近い南側が盛り上がってるようなので、このルートは確かに無いな…という感じ。
地形を見ると、特に異論も出なかった理由が納得できる。

Carn_Menyn_from_Eglwyswrw_-_geograph.org.uk_-_1435904.jpg

あと、ここから切り出された石は一気にストーンヘンジの場所まで運ばれたわけではなく、途中で別のストーンサークルに使われていた、という説が近年出ている。一世代の間に一気に運んだのではなく、何世代かかけて現在の位置まで運んだとすれば、そんな不思議でもないのかもしれない。

ストーンヘンジは元はウェールズに建てられていたものの再利用。という話は、実は新説ではないという話
https://55096962.seesaa.net/article/202102article_13.html

まあね、波の高い海で大きな石を運ぶのって大変だからね。
エジプトもピラミッドとかオベリスクの石は水路で運んでたけど、ナイル川は穏やかだから出来たんだと思う…。