炭化した巻物に書かれた文字の痕跡をAIで解読する試みが進展中。これはなかなかの技術

ベスピオ火山の噴火で黒焦げになった巻物から、AIの画像判別を用いて文字を判別しようとする研究の話が出ていた。
まだ論文は出ていないようなのだが、この研究が実用化できるのなら色々すごいことだなと思う。

AI is deciphering a 2,000-year-old 'lost book' describing life after Alexander the Great
https://www.livescience.com/ai-is-deciphering-a-2000-year-old-lost-book-describing-life-after-alexander-the-great

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いやまず、この状態の真っ黒に炭化した「巻物」、つまり巻いてあるパピルスから、中の文字まで読めるのがすごいんじゃ…。
画像処理と機械学習の組み合わせでテクノロジー最先端の考古学っすわ。こういうの好き。

この巻物はポンペイではなく、ベスピオ火山により近い、ヘルクラネウム(Herculaneum)の町から見つかっていたもの。
ナポレオンに献上されたあと、パリのフランス学士院に寄贈されて現在に至る。まあでもこの状態のを保管してただけでも偉い。
ヘルクラネウムの町は山に近かったために火山灰の厚さが半端なく、発掘もあまり進んでいないという。ポンペイは4m掘ればいいだけだが、ヘルクラネウムは最大20mらしいので、全然難易度が違う。

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ただ、その堆積物の厚さから盗掘者も寄せ付けず、ほぼ手つかずのまま残ってきたのは事実。
で、この巻物の中身が面白そうなのは、マケドニア史について書かれた今まで発見されていない未知の書物の可能性がある、というところだ。
古代の巻物が見つかったといっても、大抵はベストセラーのよく知られた書物の一部であることが多いのだが、そうではなさそうというところに興味を惹かれる。一体どんな内容が出てくるのか。AIちゃんには頑張ってもらいたい。

あと、この巻物が解読できれば、ほかの各地の博物館に眠ってる状態悪い古文書も解読できる可能性が出てくる。
考古学は今まで、科学技術の発展とともに見える範囲を広げてきた学問でもある。AIを使った研究では、たとえば今まで人手が足りずに追いつけていなかったた粘土板文書の自動解読なども進んでいる。

色々と今後が楽しみなのである。