謎のローマ皇帝「スポンシアヌス」とコインの分析/古い貨幣の鑑定方法とは
スポンシアヌスって誰だよ? なんだかスッポンみたいな名前だな。そう思いながら適当に記事を読んでいたら結構面白かった。
まずこの人物は、歴史記録に全く現れない。ただし18世紀にコインが見つかっており、名前と肖像だけは判明している。
ただし、コインが贋作の可能性もあったため、果たしてスポンシアヌスが実在の人物なのかが確定されないままだった。
[>参考 英語Wiki
Sponsianus
https://en.wikipedia.org/wiki/Sponsianus
コイン群は、もともとはペンシルバニアで出土したとされているが、発掘調査などで見つかったわけではないため、そもそもどこに埋まっていたのかなども不明。またすべてのコインが同じ場所で見つかったのかもわかっていない。
各コインの現在の収蔵先とと、追えている限りの来歴は以下の図のとおり。すでにどっか行っちゃったものもある。
これらのコインについて、現代科学の手法を用いて真贋を鑑定しようというのが今回の論文だ。
そして、これまではできの悪い贋作とされてきたものの、本物の可能性もあり、少なくとも18世紀にテキトーに作られたものではなさそう、という結果になっている。
Authenticating coins of the ‘Roman emperor’ Sponsian
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0274285
●わかっている主な事項
・成分は他のローマ金貨とは全然違う。金の含有率は低め、銀と銅が多い
・ただし発見地の近くでダキア属州が勝手に独立した時期に作られたのだとすると、同地の鉱山の成分とは一致する
・作り方は以下のとおり。コインは複数回に分けて作られており、贋作者がまとめて作ったようには見えない
・コインの表面に残るミネラルの状態から、長いこと土の中にあった可能性がある
・摩耗痕は自然で実際に流通していた可能性がある
よく見るコインの鑑定論文とだいたい同じ手法を用いて鑑定されている。これだけでは決定的な証拠にならないが、少なくとも「出来の悪い贋作」ではなさそうだ。
スポンシアヌスが実在したとすれば、ローマ末期に短い期間に一部の地域だけ独立させて勝手に皇帝を名乗った人物なのだろう。期間が短く、地域も限られていれば、コインは広く流通はないし数もそう多くはない。ただし現時点では推測しか出来ない。
今後、元ダキア州だったあたりの地域から、スポンシアヌスの金貨が新たに見つかれば、その時ようやくこの論争に決着もつくのではないかと思われる。
それにしても、コインが見つかってるのに実在しないと疑われてきたのは、なかなか不憫。
古代エジプトのジャンルでも、いつどこの誰が見つけたかも分からん来歴不明の遺物は贋作を疑われるのがセオリー。
名前刻んだ遺物の一つでも出てくれば「あっこんな王様いたんだ」ってすぐ認められるのは、考古学者が発掘して出土地がわかってる場合だけである。
スポンシアヌスは本当にいたかもしれないし、いなかったかもしれない。今はまだ、分からないのだ。
まずこの人物は、歴史記録に全く現れない。ただし18世紀にコインが見つかっており、名前と肖像だけは判明している。
ただし、コインが贋作の可能性もあったため、果たしてスポンシアヌスが実在の人物なのかが確定されないままだった。
[>参考 英語Wiki
Sponsianus
https://en.wikipedia.org/wiki/Sponsianus
コイン群は、もともとはペンシルバニアで出土したとされているが、発掘調査などで見つかったわけではないため、そもそもどこに埋まっていたのかなども不明。またすべてのコインが同じ場所で見つかったのかもわかっていない。
各コインの現在の収蔵先とと、追えている限りの来歴は以下の図のとおり。すでにどっか行っちゃったものもある。
これらのコインについて、現代科学の手法を用いて真贋を鑑定しようというのが今回の論文だ。
そして、これまではできの悪い贋作とされてきたものの、本物の可能性もあり、少なくとも18世紀にテキトーに作られたものではなさそう、という結果になっている。
Authenticating coins of the ‘Roman emperor’ Sponsian
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0274285
●わかっている主な事項
・成分は他のローマ金貨とは全然違う。金の含有率は低め、銀と銅が多い
・ただし発見地の近くでダキア属州が勝手に独立した時期に作られたのだとすると、同地の鉱山の成分とは一致する
・作り方は以下のとおり。コインは複数回に分けて作られており、贋作者がまとめて作ったようには見えない
・コインの表面に残るミネラルの状態から、長いこと土の中にあった可能性がある
・摩耗痕は自然で実際に流通していた可能性がある
よく見るコインの鑑定論文とだいたい同じ手法を用いて鑑定されている。これだけでは決定的な証拠にならないが、少なくとも「出来の悪い贋作」ではなさそうだ。
スポンシアヌスが実在したとすれば、ローマ末期に短い期間に一部の地域だけ独立させて勝手に皇帝を名乗った人物なのだろう。期間が短く、地域も限られていれば、コインは広く流通はないし数もそう多くはない。ただし現時点では推測しか出来ない。
今後、元ダキア州だったあたりの地域から、スポンシアヌスの金貨が新たに見つかれば、その時ようやくこの論争に決着もつくのではないかと思われる。
それにしても、コインが見つかってるのに実在しないと疑われてきたのは、なかなか不憫。
古代エジプトのジャンルでも、いつどこの誰が見つけたかも分からん来歴不明の遺物は贋作を疑われるのがセオリー。
名前刻んだ遺物の一つでも出てくれば「あっこんな王様いたんだ」ってすぐ認められるのは、考古学者が発掘して出土地がわかってる場合だけである。
スポンシアヌスは本当にいたかもしれないし、いなかったかもしれない。今はまだ、分からないのだ。