(メモ代わり)「イプエルの訓戒」と謎の飲み物「ミイト」について。

古代エジプトには、みんなを幸せに出来る謎の飲み物「ミイト(myt)」があったらしいーー。
だが、その正体はまだ分からない。

「イプエルの訓戒」とは、第一中間期ごろに成立したとされる訓戒文学の一つ。訓戒なので、知恵あるお年寄りが若者や後輩などに向けて人生のうんちくを述べていく形態になっている。
現存するパピルスはオランダのライデン博物館が所蔵する1つのみで、しかもかなり後代(おそらく第20王朝ごろ)のものなのだが、「世の中が荒廃してピラミッドを建てていた者たちも農夫になっている」といった内容的に、ピラミッドをたくさん建てていた古王国時代の曳航を思い出しながら語っているのだとと考えられている。

※ちなみに「イプエルの訓戒」は、「古代エジプト人は「近頃の若い者は・・・」と言ったか? 噂の出所を探ってみた」でも取り上げたことがある。

その「イプエルの訓戒」の中で、失われたかつての栄光の時代を語る場面がある。

"ほんとうにすばらしいことだ。人々の手がピラミッドを建て、池が掘られ、神々のために植樹がなされるのならば。
ほんとうにすばらしいことだ。人々が酔い、ミイトを飲み、幸せであるならば。"


ここの「ミイト」が、問題の飲み物である。「酔う」とあるからにはアルコールだと思われるが、決定詞で区別のつくビールや蜂蜜酒ではなさそうなのだ。果実酒か、もしくは特別なワインとかではないかと思われるのだが、どうにも資料が見つからない。古代エジプトの酒一覧などを確認してみても、他テキストの出現箇所が出てこずにわりとお手上げ状態。

ちなみにエジプト語はアフロ・アジア語族でその中でもエジプト語族として独立しているため、印欧語の蜂蜜酒を意味する「ミード」とは関係がない。

ちょっと今の自分だと手詰まりなので、いつか何か資料見つかるといいなってことでここにメモしておこうと思う。
みんなを幸せに出来る謎のお酒「ミイト」。イプエルよ、その正体をいつか教えておくれ。