失われた大陸とオカルトの系譜。「アトランティス=ムーの系譜学」
内の人的にはすごく懐かしい内容の本である。あー最近こういうノリの本見ないな…と思って読んでみた。
オカルト本ではなくて、元ネタがどこから来たのか、「オカルトの歴史」のようなものを年代を追って紹介してくれている本である。
具体的に言うと、アトランティスはプラトンから、ムーはアトランティスからの派生でマヤの古文書の誤読、インドの謎の寺院などのあたりから。(アトランティスはギリシャ古典からの出典だが、ムーやレムリアは、実は近代になって登場した大陸名)
オカルトマニアとか歴史マニアとってはおなじみの歴史かもしれないが、知らない人は知らないと思うので、一通り学べるのは良いと思う。

アトランティス=ムーの系譜学 〈失われた大陸〉が映す近代日本 (講談社選書メチエ) - 庄子 大亮
もっとも、サブタイトルにあるように、著者にとっての真の興味は日本における「失われた大陸」伝説の受容仮定だったと思われる。
戦前・戦中あたりに出てきた「太平洋に沈んだアトランティスは実は天皇家が統治してた」「その名残が日本」のような偽史の系譜や、ドイツにおける優生人種の発想がなぜ日本では支持されなかったのかといった部分は面白かった。
だが、全般的に考察部分が薄く、切り口としても社会学ではなく歴史でもない。ほぼ起きた出来事を時系列で並べているだけなので、後半はちょっと内容薄すぎるかなーと思った。最後の一章にまとめられた考察にもうちょっとパンチが効いていたら面白かったかもしれない。
90年代以降のオカルトブーム、グラハム・ハンコックのあたりからは自分も記憶にある。あと「と学会」とかも流行ったなぁと懐かしく思い出していた。今はインターネットの時代なので、ググれば大量の情報に行き当たる。昔ながらの、限られた情報しかないがゆえに想像力をたくましくしてオカルト思考に導く、というようなやり方は出来ない。
現代はむしろ、情報があるがゆえに「もっともらしい情報を大量に並べる」「その上で都合の悪い情報は隠す」「情報を話に沿うように並べる」といった情報操作のテクニックが必須であり、まさにこの方法をとったのが「神々の指紋」のハンコックだったり、最近だと「サピエンス全史」のハラリだったりする。
失われた大陸を巡る言説の系譜が主題なので仕方ないかもしれないが、各時代におけるオカルト理論の手法についても考察があったほうが面白かっただろうな、とは思った。アトランティスやムーを史実として扱うか、創作に使うかは別として、どう話をふくらませるかという方向性は、おそらく時代ごとに違う。ニュートラルに歴史的な出来事を読み進めるにはいいかもしれないが、作品や本などの羅列になってしまってるのはちょっと勿体ないかなぁ。
濃厚な考察部分を期待した場合には薄口だけど、さらっと主要な作品群や、その時代ごとの捉え方の概要をおさらいするにはいい本でした。
オカルト本ではなくて、元ネタがどこから来たのか、「オカルトの歴史」のようなものを年代を追って紹介してくれている本である。
具体的に言うと、アトランティスはプラトンから、ムーはアトランティスからの派生でマヤの古文書の誤読、インドの謎の寺院などのあたりから。(アトランティスはギリシャ古典からの出典だが、ムーやレムリアは、実は近代になって登場した大陸名)
オカルトマニアとか歴史マニアとってはおなじみの歴史かもしれないが、知らない人は知らないと思うので、一通り学べるのは良いと思う。

アトランティス=ムーの系譜学 〈失われた大陸〉が映す近代日本 (講談社選書メチエ) - 庄子 大亮
もっとも、サブタイトルにあるように、著者にとっての真の興味は日本における「失われた大陸」伝説の受容仮定だったと思われる。
戦前・戦中あたりに出てきた「太平洋に沈んだアトランティスは実は天皇家が統治してた」「その名残が日本」のような偽史の系譜や、ドイツにおける優生人種の発想がなぜ日本では支持されなかったのかといった部分は面白かった。
だが、全般的に考察部分が薄く、切り口としても社会学ではなく歴史でもない。ほぼ起きた出来事を時系列で並べているだけなので、後半はちょっと内容薄すぎるかなーと思った。最後の一章にまとめられた考察にもうちょっとパンチが効いていたら面白かったかもしれない。
90年代以降のオカルトブーム、グラハム・ハンコックのあたりからは自分も記憶にある。あと「と学会」とかも流行ったなぁと懐かしく思い出していた。今はインターネットの時代なので、ググれば大量の情報に行き当たる。昔ながらの、限られた情報しかないがゆえに想像力をたくましくしてオカルト思考に導く、というようなやり方は出来ない。
現代はむしろ、情報があるがゆえに「もっともらしい情報を大量に並べる」「その上で都合の悪い情報は隠す」「情報を話に沿うように並べる」といった情報操作のテクニックが必須であり、まさにこの方法をとったのが「神々の指紋」のハンコックだったり、最近だと「サピエンス全史」のハラリだったりする。
失われた大陸を巡る言説の系譜が主題なので仕方ないかもしれないが、各時代におけるオカルト理論の手法についても考察があったほうが面白かっただろうな、とは思った。アトランティスやムーを史実として扱うか、創作に使うかは別として、どう話をふくらませるかという方向性は、おそらく時代ごとに違う。ニュートラルに歴史的な出来事を読み進めるにはいいかもしれないが、作品や本などの羅列になってしまってるのはちょっと勿体ないかなぁ。
濃厚な考察部分を期待した場合には薄口だけど、さらっと主要な作品群や、その時代ごとの捉え方の概要をおさらいするにはいい本でした。