恐竜の翼はどこから進化したか。羽毛恐竜もパタパタしてた可能性が出てきたぞ

まず「地球惑星科学」っていう名前がクッソかっこいい。
科学ニュースのヘッドラインで流れていたのでちょっと見てみた。東大のプレスリリースによると、鳥の翼の原型は祖先であるマニラプトル類の時点ですでに出来ていたという。名前に「ラプトル」って入ってるので、恐竜の名前をちょっと知ってれば姿の想像はつきやすい。

こういう↓感じの小型の恐竜で、二足でわーーって走るやつ。映画ジュラシック・ワールドではやたらとカーチェイスのシーンに使われがち(笑)
Maniraptora_Diversity.jpg

というわけで本題のプレスリリースだ。

鳥類の翼のかたちは祖先である恐竜で進化した
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/info/8305/

図3.jpg

鳥の翼には、肩から指先にかけて、「前翼膜」という独特の膜がある。手羽先とか食べてれば形状は分かると思うが、ここのところ。
ここに膜があると、腕を完全にまっすぐに伸ばすことはできなくなる。代わりに腕を一定角度に縮めたまま、高速でぱたぱた出来るようになる。

図1.jpg

今回の研究では、「化石の腕の部分の角度を見て、一定角度以内なら腕に膜があったはず」という発想で、今までに見つかった化石を調査している。
ここの膜自体は薄いし、筋肉や皮の部分なのでなかなか化石としては残らない。残らないが、腕の角度を見れば膜があったかどうかは分かるはず、という発想である。

これはなかなかおもしろい着眼点だなと思う。ただ動物って腕を縮めたまま死んでしまいがちなので、マニラプトルに進化する前後でそんなきっちり分かれるもんなのか? というのは気になった。ガリミムスの時点だとまだ腕に羽毛生えただけで、マニラプトルになった時点で全翼膜が出来たのだとすると、それが彼らの生存に有利になる何らかの条件は持っていただろうし。

以前からある説として、ラプトルは卵を抱いて温めるのに腕の羽毛を使ってたのでは、というのがあるが、膜が出来たことで卵があっためやすくなったとか、あるいは逆にパタパタして風を送って涼しくできるようになったとかがあったのかもしれない。

ひとむかし前は「ミッシングリンク」なんて言われていた恐竜と鳥の中間、今はここまで論じられるようになった。恐竜も数十年でがっつり書き換わるジャンルなんで、なかなかおもしろい。