ヨルダン周遊(2) アンマン市内観光~歴史の重なる町

さて、アンマンに来たからには、まずは城塞の丘を攻めておかなくてはならない。

ここはダウンタウンに隣接する見晴らしの良い場所で、アンマンという町の発祥の地でもある。ローマの時代にフィラデルフィアと呼ばれていた名称から、歴代の名前と歴史が入り口に並べられており、丘にはローマ時代のヘラクレス神殿、ビザンツの教会、イスラームのモスクと宮殿が並んでいる。

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そして丘から見下ろすと、すぐそこに、町に埋もれるようにしてローマ劇場と浴場の遺跡がある。
…うん、あれだ。この高低差なんだ。ここ、丘に登るのすっごい良い運動になる。坂道やっべえので、タクシー捕まえるのお勧めしたい。

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前もって言っておくと、このあと訪れるほぼすべての遺跡がこんな感じで、「足腰が弱ぇ奴は大人しく金を払って乗り物使え」という健脚仕様だった。そう、ほぼ全てが。…見晴らしは…いいんだけどね。うん。
バックパッカーやトレッキング好きに人気な理由もよく分かるというものである。

この国の遺跡は、基本的に丘の上にある。
なぜなら低い場所にあるものはすぐに砂に埋もれ、涸れ谷に流れる水に削られて消滅してしまうからだ。つまり古い時代のもので残るものは必然的に高い場所にあるものだけになる。



さて、ここで面白かったのが、丘全体に雑草として野良麦が生えているということだった。
ヨルダン北部は、国土の中でも比較的、雨が多い。麦が天水で育つ、「肥沃な三日月地帯」の一部になり、麦が最初に栽培化されたと考えられる候補地に近い。
野良麦ではあるが、かなりの大粒で、スズメが大量に群がって食べまくっていた。鳥が食べるのだから人間も食べてみたはずだ。
人間が麦を食べるようになったこと、麦を選んで生やすようになった初期プロセスが納得できる風景だった。

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※ちなみに、この丘の敷地内に小さな博物館があり、そこで麦の農耕についての展示も見られる。
 そこらへんに生えてる麦と同じものが展示されていた。


また、ここには、ペトラなど他の遺跡でも見られる、水に乏しいヨルダン特有の「水を無駄なく利用する」という工夫の一端がうかがえる仕組みが残っている。建物の屋根や坂を利用して雨水を集め、貯めるという遺構である。

ウマイヤ朝時代の遺構には雨樋の跡が残っており、それが貯水槽とハンマーム(お風呂)につながっている。
訪れた時点でも、最近降った雨がまだ溜まっていた。

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水がなければ、人は生きてはゆけない。全ての遺跡(=古代から人が住んでいた場所)は、水にアクセスする手段を持っている。
ここでは貴重な水資源を「貯めて使う」という方法が取られていたわけだ。遺跡敷地内には古井戸もあったから、地下に染み込んだ水も利用していたはずだし、もちろん、それで足りなければ麓から運び上げるなどもしていただろう。
しかしいずれにせよ、豊富とは言い難い。今も昔も、この町は水を大切にして暮らしてきたはずだ。


あと面白かったのは、この丘には、かつて海だった時代の名残の石材が多数見つけられたことだ。貝殻の埋まってる石があちこち転がっている。今は海からはるか離れたこの場所に、太古からの地球の歴史と、農耕を開始してからの人の歴史とが重なっている。そう考えると面白い。

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で、丘を降りてついでにローマ劇場へも行ってみる。
ここは…うん、あれだ。ものすごく急な階段を上り下りするアトラクション(笑)
昔の人よくこんなところで観劇してたな??? って感じである。上の方の席とか、高所恐怖症の人はガクガクしてそう。
一段がかなり大きいのもあるので、足腰に自信のない人は無理はせず、下の広場の真ん中に立って声の反響を楽しむくらいにしといたほうがいいと思う。

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この劇場の左右には小さな博物館がそれぞれついている。かつてここが劇場だった頃は、劇団の控などに使われていた部屋を再利用しているようで、展示の内容はさほど興味を惹かれないが、部屋の構成や広さの感じを確認するには面白かった。まあ、あと劇場本体に日陰ないので、ちょっとだけ涼むのにも良い。

この劇場跡の近くには、同じく市街地に埋もれるようにして公衆浴場の跡もある。ガチで町中にあり、現代の建物が接近している。ていうかほぼ裏庭。歴史の重なる町ならではのごっちゃり感。

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この他、周辺のダウンタウンでは庶民の生活が楽しめる。
面白かったのは、本屋の入り口に各種装丁の大中小コーランが山積みにされていたこと。玄関に近いとこ全部コーラン! 表紙の模様とかが違うだけ! そしてコーラン開く用の台も本の大きさに合わせてズラリと並んでいる。各ご家庭に一冊ってレベルじゃない…。

あと水タバコのお店とか、香辛料のお店とか中東ライクな雰囲気。香水やさんも多し。
文化的にはエジプトに近くて、トルコほど欧米ナイズはされていないかなーって感じ。市場で食用鳩やウサギ売ってるのはエジプトと一緒だったし、あっヨルダンも鳩食べるんだ?! とは思った。七面鳥まで売ってた。

メインストリートにはフレッシュジュースのお店や、持ち帰りOKのファラフェルやさん、シャワルマやさん等もあり、買い食いが止まらない。めっちゃ飯おいしい。そしてリーズナブル。治安も悪くなく、客引きもうるさくないので、ぶらり旅派にはけっこうお勧め。ただ写真を撮られるのが嫌いな人は多いらしいので、そこだけ気をつけよう。

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