ヨルダン周遊(8) 過酷な沙漠の意外なる生態系と大自然の洗礼

というわけでポトラ周辺の探索も終わり、いよいよ南部の沙漠へ突入する。
一般的にはワディ・ラム保護区という名前で知られている地域である。 

想像の3倍赤い。

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ハイウェイ沿いにはオアシスの町もあるのだが、保護区になってる部分はこれ。
エジプトではナイル川からそれほど離れたことがなく、チリ南部の沙漠は沙漠というより荒野だと認識していた中の人、ガチに砂だらけの「砂」漠は人生初。「えっちょ…マジ沙漠…?」「すごい、本物だ…!」みたいな謎の感動がある。

ただし、全体がサラサラと砂というわけではない。
けっこう岩山も多く、こんな感じで砕ける前の赤い岩が積み重なっている場所も多い。

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ここは保護区のため、ビジターセンターでチケットを買って入場する必要がある。
保護区内にはテント泊の出来る施設が幾つもあり、そこで1泊+砂漠観光、というのが基本メニューだが、保護区内で宿泊する前にチケットが必要。
そしてテントは こんな感じ。

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個別の黒いテント+食堂になってるテント+共同トイレ・シャワー(個別にテントごとについてるところもある)。
町に近いか遠いかの差はあるが、設備は似たりよったりだ。
水は給水車、電気はソーラーパネル。シャワーはちょろちょろとしか流れないし、ソーラー頼りのお湯はぬるい感じだが、まあ砂漠の中なので当たり前。むしろ水浴びできるだけでもだいぶ豪華。

そして、そもそも汗はかいた先から蒸発するため日本のようにベタベタすることはなく、砂混じりの風がつねに吹き付けるため髪を洗っても5分後にはバサバサという状況では、「シャワーで清潔に」みたいな意味合いが薄い(笑)

…うん、砂漠の人たちが香水つけるだけで風呂とかあんま入らない理由、なんか分かった。
意味ないんだねここでは。あと女性が被ってる布、あれは髪の毛に砂がつかないから理にかなってるんだと気がついた。頭からスポってするの楽すぎる。

熱く乾燥した場所なので、こういう素焼きの壺が各所に据えられている。
これはエジプトでも見かけるやつで、素焼きの表面から水が蒸発していくことで中身が冷たく保たれるというもの。古代から使われているウォーターサーバなのだ。
そんで食器洗う水もないから紙コップが多用されているのも現代ならではだ。

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さらに今回はラッキーなことに、直前に雨が降ったそうで、砂漠に緑があった!
極稀にしか降らない雨、その直後にしか出現しない貴重な砂漠の植物たちである。

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お花も咲いている。

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面白いことに、砂の表面は熱いのだが、掘っていくと10センチくらいから下は砂が「冷たい」。そして20センチくらい掘ると水に突き当たる。
水があまり下まで染み込まず、地表から遠くない場所にとどまっているのだ。なので砂漠の植物は、雨が降るとその水を使い切るまでに成長し、実を結び、休眠するというサイクル。上手く出来てるなぁと思った。

あと砂の下の方が冷たいということは、生物は熱い日中も潜ってれば生き延びられる。岩の隙間も涼しい。
途中で蝶やトカゲも見かけたのだが、なるほど生き延びられる余地はあるのだと納得できる。


とはいえ、ここが過酷な土地なのには変わりない。
午前中はわりと涼しい(でも日差しはキツい)→お昼ごろになると風が熱風に変わり逃げ場のない暑さ→夕方になると急激に気温が下がる という感じ。
砂漠の観光は4WDの荷台で揺られる4時間コース(スタンダード)か6時間コース(サウジとの国境の山まで行く)になるが、どちらにしても夏場は死ぬほど熱い&水の確保必須のため、体力がないと生還出来ないと思ったほうがいい。

実際、この4WDのツアーで出会う人たちの大半が50代くらいまで、年配の人や体力のなさそうな人ほど中盤で既にヘバっていた。

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で、この砂漠でのキャンプには、とても大事なことがある・・・
大事なことなので、行ってみたい人は覚えておいてほしい。

砂漠には蚊が出る


テントに入った時点で、なぜか床に蚊取り線香がポソっと置いてあったんだ。まさかキーアイテムとは思わず「なんだこれ?」と思いながら脇にどけておいたんだ。コンセント一箇所しかなかったので先にスマホ充電しようと思って…。

まさか、そのせいで蚊に食われまくるとは思わないじゃん???!!

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実はこれ、ラクダに水を飲ませるための水桶や水場がその発生源となっているようなのだ。
こんな感じで水場が作られていて、ここがラクダで回るツアーの出発点になっている。パイプは岩の隙間の水源から引かれていて、流れ出てくる水はパイプの中で熱されてぬるま湯になっているが、下の水受けに溜まっている水は冷えていて、トンボが集まっている。当然、ヤゴの食料となる蚊の幼虫なども湧いている。

砂漠の中にトンボ? と思うかもしれないが、シオカラトンボはワジのあちこちで見かけたので、おそらく、季節的な雨で出来たちょっとした水場でも繁殖出来るのだと思う。

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これは「ロレンスの泉」と呼ばれる岩の隙間の水場から見下ろした風景。
ここからパイプが、下に見える四角いコンクリの水場へと引き下ろされている。岩場なので岩登り得意な人じゃないと登るのはキツいと思うが、砂漠の水場という貴重なものを見ることが出来る場所。

ロレンスは抜きにしても、古来から使われてきたラクダキャラバンの中継地点なのは間違いない。

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ここからそう遠くない場所に、キャラバンの宿泊地だったという遺跡も残っていた。
この石積みが昔の宿泊施設の名残だそうだ。水場は見つからなかったが、岩の隙間に木が生えていたので、地下に水はありそう。

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背後の岩場に登ると、何故か無数の石積みがされていた。
これの由来はよく分からない。

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ツアーはこの他、ロックブリッジや大砂丘など見どころを回っていく。
いずれも、車から降りたあと自力で岩登りや砂丘登りをして絶景ポイントまでたどり着く、という体力勝負のアクティビティで、「灼熱の中でひたすら登る」というものとなっている。登山部的には夏山でそこそこ慣れてるので平気だが、そうじゃない人たちは何故来てるのかと正直思った。
皆よくこんなとこ来るな??(笑)

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あと、マスターキートンで有名な「砂漠ではスーツのほうが有利」って話は一理あるなと思った。ノースリーブとか半袖の人だと、直接肌が日に灼かれてキツい。長袖で発汗性の高い夏山ウェアは最強でした。なお、砂の色に赤く染まった靴下の色は、帰ってから選択しても全然落ちませんでした…。


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