サウジアラビア~ヨルダンの砂漠に作られた「デザート・カイト」、設計図ありだった
かつてはイスラーム以前の歴史にあんまり興味がなかったサウジアラビア、近年では海外からの考古学者も入れて先史時代の研究もするようになっている。
自分としてはナバテア文明の続報を待ってたりするのだが、今回は、だいぶ古い時代で、さいきん注目されるようになってきた「デザート・カイト」と呼ばれる構造体についての報告が上がってきていた。
この遺構は、石積みで作られた動物を追い込むための狩猟罠と考えられている。だいたい1ヘクタールの広さを持ち、長いものだと幅5キロにも及ぶ。厚みは薄いが、ちょっとした防御壁だ。内部には落とし穴的なトラップも作られている。上空から見ると、とても特徴的な形になっている。
古いものだと9,000年前、ヨルダンの編年表だと先土器新石器時代B(PPNB)に属する時代に作られている。ちょうどGWにヨルダンでその時代の遺跡に行ってたので超タイムリー。
Stone Age humans made to-scale plans to build mysterious mega structures
https://edition.cnn.com/2023/05/17/world/oldest-architectural-plans-stone-age-megastructures-scn/index.html
元論文
The oldest plans to scale of humanmade mega-structures
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0277927
「デザート・カイト」という名称は、その名の通り上空から見ると凧のような形をしていることから名付けられた通称だ。
実際には凧の形になってないものも沢山ある。
分布はヨルダンとサウジアラビアの間がいちばん多いが、遠くウズベキスタンあたりに作られたものもあり、これあると効率的な狩りが出来たんだろうな…って感じ。
で、この巨大な構造体の近くで、設計図ともいうべき図面が平らな石に刻まれているのが見つかったのだ。
石に刻むのも手間じゃない? とは思うのだが、紙も木もないし、地面に書いたら消えちゃうし、先土器時代だと陶器のかけらすらないから、他に記録媒体なかったんだろうなって思う。
設計図があるからには、「はーい注目、皆でこれ作りましょうね」ってやってた指示役もいたってこと。
確かにこの大きさのもの作るならまとまった人手は必要なのだが…、この巨大な誰かが考えて設計した「罠」で、誰かが指示を出して集団で作ったものだとすると、見える世界が変わってくる。
設計図を元に巨大な構造物を作れる、って、けっこう高度な人間集団が出来てたんだなって。
それと、「設計図」から縮尺を伸ばして「構造物」へと置き換えられるってことは、空間認識などの思考能力も出来上がってたことになる。これだけ構造物があるからには、作り慣れていた集団がいて量産してたはずだと今更のように気がついた。
傍目にはただの巨大に石積み、という地味な遺跡なのだが、その裏には、高度な技術が隠されている。
実に興味深い発見だと思う。
*******
あとサウジの砂漠には、狩猟用の構造物ではなく葬送用の「地上絵」っぽい遺跡もある。
このあたりも研究が楽しみな遺跡。
サウジアラビアの「地上絵」、水源から水源へ向かう通路上に設置された「葬送の道」だった可能性が示唆される
https://55096962.seesaa.net/article/202201article_16.html
自分としてはナバテア文明の続報を待ってたりするのだが、今回は、だいぶ古い時代で、さいきん注目されるようになってきた「デザート・カイト」と呼ばれる構造体についての報告が上がってきていた。
この遺構は、石積みで作られた動物を追い込むための狩猟罠と考えられている。だいたい1ヘクタールの広さを持ち、長いものだと幅5キロにも及ぶ。厚みは薄いが、ちょっとした防御壁だ。内部には落とし穴的なトラップも作られている。上空から見ると、とても特徴的な形になっている。
古いものだと9,000年前、ヨルダンの編年表だと先土器新石器時代B(PPNB)に属する時代に作られている。ちょうどGWにヨルダンでその時代の遺跡に行ってたので超タイムリー。
Stone Age humans made to-scale plans to build mysterious mega structures
https://edition.cnn.com/2023/05/17/world/oldest-architectural-plans-stone-age-megastructures-scn/index.html
元論文
The oldest plans to scale of humanmade mega-structures
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0277927
「デザート・カイト」という名称は、その名の通り上空から見ると凧のような形をしていることから名付けられた通称だ。
実際には凧の形になってないものも沢山ある。
分布はヨルダンとサウジアラビアの間がいちばん多いが、遠くウズベキスタンあたりに作られたものもあり、これあると効率的な狩りが出来たんだろうな…って感じ。
で、この巨大な構造体の近くで、設計図ともいうべき図面が平らな石に刻まれているのが見つかったのだ。
石に刻むのも手間じゃない? とは思うのだが、紙も木もないし、地面に書いたら消えちゃうし、先土器時代だと陶器のかけらすらないから、他に記録媒体なかったんだろうなって思う。
設計図があるからには、「はーい注目、皆でこれ作りましょうね」ってやってた指示役もいたってこと。
確かにこの大きさのもの作るならまとまった人手は必要なのだが…、この巨大な誰かが考えて設計した「罠」で、誰かが指示を出して集団で作ったものだとすると、見える世界が変わってくる。
設計図を元に巨大な構造物を作れる、って、けっこう高度な人間集団が出来てたんだなって。
それと、「設計図」から縮尺を伸ばして「構造物」へと置き換えられるってことは、空間認識などの思考能力も出来上がってたことになる。これだけ構造物があるからには、作り慣れていた集団がいて量産してたはずだと今更のように気がついた。
傍目にはただの巨大に石積み、という地味な遺跡なのだが、その裏には、高度な技術が隠されている。
実に興味深い発見だと思う。
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あとサウジの砂漠には、狩猟用の構造物ではなく葬送用の「地上絵」っぽい遺跡もある。
このあたりも研究が楽しみな遺跡。
サウジアラビアの「地上絵」、水源から水源へ向かう通路上に設置された「葬送の道」だった可能性が示唆される
https://55096962.seesaa.net/article/202201article_16.html