現代の旅行、めっちゃ楽。…だが落とし穴もある。情報時代の「未知の土地へのアプローチ」

中の人は旅行はそれほど好きではない。よく旅行に行ってるように見えるが、それは「旅行が」好きというより、「遠出しないと見たいものがもれない」からである。遺物とか、遺跡とか、資料とか。知りたいものが遠くにあるから遠出するのであって旅自体は手段だと思っている。

まあそれはともかく、昔に比べて旅行はとても楽になった。

まず、行きたい場所をインターネットで検索できる。これが大きい。
日本国内でも、ガイドブックに載っていないような場所は昔だとどうやって行けば良いのか、宿はあるのかなど何も分からなかった。最寄り駅が分かっても、電車はあるのか、バスなのか、時刻表は…とかを地図を広げ、時刻表を指でなぞりながら行程を考えていたものだ。

それが今では検索でぽぽーんと最適解が出る。なんならじっさいにそこに行った人の写真なり体験日記のようなものなりも簡単に見つかる。
宿もインターネットから予約できるし、JRのチケットも予約できる。楽勝すぎるのだ。

海外に行く場合も同じ。
ウェブチェックインのお陰で飛行機のリコンファームがなくなったのも良いし、サービスによっては遅延情報などがメールで届く。

言葉が通じない場合も会話集の本を持っていく必要はない。翻訳アプリをスマホに入れておけばだいたいなんとかなる。(中の人はNICTを使っている)
カメラで読み取った看板を翻訳してくれるアプリもある。

とにかく、一昔前に比べると、旅行することの難易度は格段に下がった。世界中で、旅行者が増えすぎたことによるオーバーツーリズムの問題が発生しているのも当然のことだと思う。


ただ…である。


この情報のあふれる時代において、逆に気をつけなければならないこともある。
それは、 出てこない情報も結構ある ということだ。


たとえば、

●マイナーすぎる場所の情報はマジで出てこない

→考古学資料には載っているが通常は観光客の行く場所ではない遺跡とかはマジで情報ない。
 現地ガイドに聞けば教えてくれたりするが地元民も知らないのでツテが大事。

●当たり前だが敢えて言及されない情報、特にネガティブ方向の内容は出てこない

→町が汚くてツーリストエリアを少し出ると生ゴミ臭がする、みたいなの。
 ホテルの口コミを丹念に見ればヤバいエリアは気づくが、敢えて言及する人が少ないのと、そもそも安宿エリアに泊まる層はそういうの気にしないことも多いので情報として出てこないことがある。

●違法と正規の違い

→たとえば「タクシーはない」と書かれている町にタクシーが大量にいた、実際は白タクかUber。というような話。
公的にはタクシーないことになっているが実際には自己責任で使える。ただし多くの旅行者は白タクと気づいていない。
口コミと公式案内が違う場合は注意。


このあたりに引っかかるのは、ある程度、個人旅行してる慣れてる人な気もするが、どこへ行こうとも、事前に把握していなかった状況と出会うことは有り得る。そして、そういった事態に適切に対処できるかの部分は、相変わらずスキルを求められる。

結局、旅行は、目的いかんにかかわらず、「自分の知らない場所」、未知なる土地にアプローチするという行為になる。
未知なるものにどう触れ、どう対処していくかのやり方は、相手が学問分野だろうが人だろうが土地だろうが国だろうが変わらない。
事前情報だけが全てではない。”想定外"と対面した時に活かせる経験値を積めるというのが、良い旅なのだろうと思う。