サハラの砂嵐はカリブ・南米にも届く。大西洋版の「黄砂」とは
エジプトで大規模な砂嵐が発生した、というニュースを見て、ふと思い出したことがある。
リビア沙漠で発生して東へ向かう砂嵐は、エジプトやサウジアラビアなど北アフリカ~中東あたりに届くのだが、西へ向かう風に乗る砂嵐もある。
大規模な砂嵐が発生して貿易風に乗ると、そのままカリブや南米北部に到達する。
サハラの砂嵐は、実は海を越えるのだ。
こちらは適当に探してきた去年のウェザーニュースだが、茶色い砂のエリアがカリブ海からベネズエラ、ガイアナ、スリナムあたりすっぽりと覆っているのが分かる。
そして本文中に、見慣れた「PM2.5」という言葉も見つけられると思う。そう、日本における黄砂と一緒。
カリブ海では、砂嵐の季節になると天気予報でサハラの砂に対する注意が出ることになる。
Sahara dust plume reduces air quality across the Caribbean
https://caribbean.loopnews.com/content/sahara-dust-plume-reduces-air-quality-across-caribbean
面白いことに、このサハラの鉱物性の砂は若干の栄養素を含み、ギアナ高地の生態系にも関係しているという。
あの栄養に乏しい、ほとんど表土もないようなはるか高みにある台地に植物が育つのが、実は定期的に空から供給される遥かな沙漠の砂だった、なんて話になるとロマンがある。ただし、サハラの砂が主要な栄養源かどうかは調べてみたことがなく、おそらく「多少は足しになる」程度だと思っているので、そこは控えめに。
ほかに興味深い研究としては、実際に大西洋を越えてきているのはどの地域の砂なのか、と、サハラの砂を以下6つの地域別に分析してマッチングしたものがある。結果は予想どおり、以下で◎をつけた西アフリカ地域の砂だったという。(図だとピンクと明るい水色)
エジプトで発生している北アフリカの砂嵐は発生源がPSA LEのはずなので、成分が少々違うことになる。
Libya-Algeria-Mali (PSA LAM)
Libya-Egypt (PSA LE)
Bodélé Depression (PSA BD)
Mali Center (PSA MC) ◎
West African Coast (PSA WAC) ◎
Mauritania (PSA Ma)
元論文
Characterization of Saharan and Sahelian dust sources based on geochemical and radiogenic isotope signatures
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0277379122003602#sec3
なお、この地域はたまにサバクトビバッタが大発生することでも知られている。特にモーリタニアあたりは、かの有名なバッタ博士がバッタに食われるために旅立った地でもある。
沙漠の砂嵐とバッタが同時発生すれば、もしかしたら貿易風で南米・カリブまで吹き飛ばされることは…有り得る、かもしれない。(生きて届く確率は低いだろうが。)
リビア沙漠で発生して東へ向かう砂嵐は、エジプトやサウジアラビアなど北アフリカ~中東あたりに届くのだが、西へ向かう風に乗る砂嵐もある。
大規模な砂嵐が発生して貿易風に乗ると、そのままカリブや南米北部に到達する。
サハラの砂嵐は、実は海を越えるのだ。
こちらは適当に探してきた去年のウェザーニュースだが、茶色い砂のエリアがカリブ海からベネズエラ、ガイアナ、スリナムあたりすっぽりと覆っているのが分かる。
そして本文中に、見慣れた「PM2.5」という言葉も見つけられると思う。そう、日本における黄砂と一緒。
カリブ海では、砂嵐の季節になると天気予報でサハラの砂に対する注意が出ることになる。
Sahara dust plume reduces air quality across the Caribbean
https://caribbean.loopnews.com/content/sahara-dust-plume-reduces-air-quality-across-caribbean
面白いことに、このサハラの鉱物性の砂は若干の栄養素を含み、ギアナ高地の生態系にも関係しているという。
あの栄養に乏しい、ほとんど表土もないようなはるか高みにある台地に植物が育つのが、実は定期的に空から供給される遥かな沙漠の砂だった、なんて話になるとロマンがある。ただし、サハラの砂が主要な栄養源かどうかは調べてみたことがなく、おそらく「多少は足しになる」程度だと思っているので、そこは控えめに。
ほかに興味深い研究としては、実際に大西洋を越えてきているのはどの地域の砂なのか、と、サハラの砂を以下6つの地域別に分析してマッチングしたものがある。結果は予想どおり、以下で◎をつけた西アフリカ地域の砂だったという。(図だとピンクと明るい水色)
エジプトで発生している北アフリカの砂嵐は発生源がPSA LEのはずなので、成分が少々違うことになる。
Libya-Algeria-Mali (PSA LAM)
Libya-Egypt (PSA LE)
Bodélé Depression (PSA BD)
Mali Center (PSA MC) ◎
West African Coast (PSA WAC) ◎
Mauritania (PSA Ma)
元論文
Characterization of Saharan and Sahelian dust sources based on geochemical and radiogenic isotope signatures
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0277379122003602#sec3
なお、この地域はたまにサバクトビバッタが大発生することでも知られている。特にモーリタニアあたりは、かの有名なバッタ博士がバッタに食われるために旅立った地でもある。
沙漠の砂嵐とバッタが同時発生すれば、もしかしたら貿易風で南米・カリブまで吹き飛ばされることは…有り得る、かもしれない。(生きて届く確率は低いだろうが。)