香料を炊いてみた理想と現実:結論「日本だと使いづれえ…」

ヨルダンでおみやげに買ってきた香料。古代エジプトでも清めに使われていたミルラである。(…とお店の人には言われたが、本物のミルラかどうか自分には判別がつかないので、実は別の香料が混じってる可能性もある。)
香炉と一緒に買ったのをちまちま炊いていたのだが、やってるうちに気づいてしまったことがある。

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今回買ったやつは粉状なので、日本で言うお葬式の焼香みたいな感じで炭を燃して上に乗せるというやり方になるのだが、思ったより「使いづらい」のである。

・まず炭をガスコンロで着火するのが面倒くさい
・香炉が熱くなるので部屋で使う場合は鍋敷きが必要
・事後の炭の処理(ゴミ捨て)に気を使う

といった基本的な部分。さらに、

・湿気の多い日は炭に火がつきにくいか、すぐ消える
・すぐ燃え尽きるので煙出てる時間が短い
・香料が燃え尽きたあとは練炭の匂いしかしない、というか練炭の時間のほうが長い

という問題も見えてきて、そもそも炭に乗せる方法はあまり良くないなと気がついた。
今回はキャンプ用の練炭で試してみたのだが、ろうそくでアロマオイルなどを熱する台座のほうが、おそらく使い勝手はいいと思う。ぐーぐる検索では、そのやり方してる人のほうが多かったが、まあそうだよなという感じ。あとミルラが固形なら、もう少しゆっくり燃えたかもしれない。

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この使い勝手の悪い感じのミルラ、というか固形の香料、一体古代エジプト人はどうやって使っていたのだろうか。
古代の香炉はこんな感じで、どう見てもそれほどの容量はなく、ポータブルタイプになっている。先端のくぼんだ部分に炭とミルラの塊を入れて、煙を像や神殿内にくゆらせていたはずだ。

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画像元博物館

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自分でやってみた感じ、少量ではすぐに燃え尽きてただの炭になってしまう。なので、おそらくだが、大きめの塊を入れて使っていた。(じゃないとお祈りの間に煙が出なくなって意味がない)
あとは、こまめに継ぎ足すこと。 これが必須。
そう、だから多分、このポータブル香炉は、燃えカス入れと香料壺も側にセットで置いてあったはずだ。でないと使えない。
そして、ミルラは樹脂なので燃えカスがけっこうベタベタしてて、香炉を洗うのが大変。

さらに言えば、燃えてるうちに熱くなってくるので、ポータブル香炉の柄がこんなに長いのは、長時間使うために必要な工夫だったのだとわかる。


当たり前なことでも、実際にやってみないと実感が沸かない。やってみると細かいところにも気がつくようになる。
ぶっちゃけ日本の一般家庭では、ミルラを炊くのはちょっとやりづらい。準備と後処理が…。エスニックショップでお香買ってきて炊くのがいちばんシンプルで手間がかからない、という身も蓋もない結論に到達するのであった。