マヤの世界観とアルマジロ、新大陸ならではの神話について

マヤの遺跡からは大量のアルマジロの骨が出てくる、おいしい食用としても、甲羅を装飾品として使うためにもたくさん狩られていた。という話を見かけたので、ちょっと調べてみた。

まず最初に出てきたのがスペイン人が最初に新大陸でこの動物わ見た時に、何に分類していいか分からず「ブタ」と呼んだりしていたという情報。なるほど言われてみればアルマジロって南米特有の動物だよな…。しかも顔は確かにブタに似ていなくもない。食べたことはないが肉は「非常に美味しい」とスペイン人も思ったらしい。

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で、資料についてはこのあたりがよくまとまってて、入り口にいいかなと思った。

THE FOX AND THE ARMADILLO: AN INQUIRY INTO CLASSIC MAYA “ANIMAL” CATEGORIES
https://www.cambridge.org/core/journals/ancient-mesoamerica/article/fox-and-the-armadillo-an-inquiry-into-classic-maya-animal-categories/EAE46C40DC932AC8E7B5842BD8C17341

マヤ神話に出てくる「アルマジロの柄」というのは、甲羅の模様、三角形を並べた意匠なのだそうで、これはへえーと思った。
この三角形の並んだ模様、アルマジロなんだな…オシャレ。

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マヤの神話だと、アルマジロは「神の足置き」または「台座」というポジションになるらしい。要するにアルマジロの上に神が乗る。これはメソポタミアやアナトリアの神話ではしばしばライオンが果たす役割だ。また大地の神と関連づけられる動物だが、大地の神=大地の下=冥界の神でもあるが、アルマジロは穴を掘って巣とするため、大地の神に属するものとされたらしい。
冥界神への供物としてアルマジロが使われることもあるのはそういうことかもしれない。

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さらに生殖とも結び付けられていて、アルマジロの姿をした神が若い娘と同衾する絵柄もあるのだとか。
メソポタミアやエジプトの神話だと、ヤギやヒツジが割り当てられるだろう生殖と動物の繋がり、まさかのアルマジロ。
マヤ文明の栄えた中南米の地は動物の種類がユーラシアとは全然違うので、この辺の感覚の違いがなかなかおもしろい。考えてみれば、マヤ世界にはウマもウシもヒツジもニワトリもいないのだ。そりゃ神話の登場人物も全然違うわね。

…ところでアルマジロ、食べたことないけどそんなに美味しいんか…?
スペイン人も「美味しい」って書いてるってことは、けっこう万人受けするやつなのでは。ちょっと試食してみたいところである。