テティシェリ王妃のピラミッドが修復完了、公開される

テティシェリ王妃のピラミッドが修復され公開された、というニュースが流れていた。この王妃は第18王朝の創始者アハメス(イアフメス)の祖母で、第17王朝セナクトラー・タア(タア1世)の妻だったとされる。また、ヒクソスと戦って戦死したと考えられているタア2世は、彼女の息子の一人と考えられている。
アハメスのピラミッドはエジプト世界で最後に作られた大規模ピラミッドとして知られているため、ほぼ同時期に建てられただろうテティシェリのピラミッドのほうも「Last known」にされている。

Tetisheri - The last known pyramid for a queen in Ancient Egypt is back!
https://english.ahram.org.eg/NewsContent/9/40/503571/Antiquities/Ancient-Egypt/Tetisheri--The-last-known-pyramid-for-a-queen-in-A.aspx

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日干レンガ製のピラミッドなので、重量に耐えられるよう内部はスカスカ、かつ残っているのは下部だけ。
しかし底辺が正方形で壁の部分が斜めになっているので、元はピラミッド型だっただろうと推測されている。元は何がなんだかわからないくぼみだったのだが、ちゃんと掘り出すと「なるほどピラミッドぽいな…」とわかる。

ただし、きれいに整備してしまった弊害もある。
こういう残りの悪いピラミッドの場合、崩れてしまった上部はほぼ土塊と化し、周辺に散らばっているものなのだが、整備したことによって、その有象無象の破片の混じった土がどっかへいっちゃったのだ。そのぶん失われた情報もあると思われる。

あと気になったこと、このピラミッドは、修復プロジェクトのページを見るに元は28mあったとなっている。

https://tetisheri.mused.org/ja/#
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28mだと、小倉城の天守閣の高さになるらしい。この高さまでレンガ積み上げるのはなかなか難易度が高いのでは…というかうまく重量を分散させないと自重で潰れるのでけっこう高度な技術使ってたのでは。

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今回の復元されたピラミッドの底部を見ても、部屋はないけれど空間を何かの法則に従って並べているような部分が見受けられ、重量を分散させる計算をしていたのだろうと推測できる。
石造りの巨大ピラミッドに比べ、レンガ造りの小ぶりなピラミッドは技術的に劣るものと見られがちだけれど、そうでもなさそう。

なんかそのへんの研究があったら面白そうだなー。


[>おまけ(アハメスのピラミッドのほうの話)

The last pyramid エジプトで最後に作られたピラミッド、第18王朝
https://55096962.seesaa.net/article/201408article_20.html