スペイン・新石器時代の木材利用…なんか日本の縄文時代に比べて物足りない感が

うろうろしていて見つけた、スペインの7000年~5000年くらい前の新石器時代の木材利用についての論文。
場所はLa Dragaという遺跡で、湖のほとりにあり、集落の大半が水没しているので水に沈んでる遺物の残りがいいらしい。なんだかかわいらしい昔の家の再現とかある。

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で、この遺跡から出ている木材から、表皮を剥いだり、伐採前に印をつけておいて育つのを待ってたりした痕跡が見つかっているので、意識して森林リソースを管理していたのではないか、という話らしい。

Sorting the Trees: The Role of Laurus nobilis in the Woodland Management Practices at La Draga (Banyoles, Spain)
https://brill.com/view/journals/ijwc/3/1-3/article-p329_15.xml

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ちなみに、新石器時代とは、日本で言う縄文時代のことである。
日本では「縄文」という独自の時代区分を作っているだけ。縄文時代といえば食料としてのクリの果樹園を作っていたり、集落の側でウルシの木を育てていたり、かごを編むための蔓草を取っていい範囲を集落ごとに決めていたり、と、様々な植物利用が研究されている。

当然、諸外国でも同様の植物利用、リソースの管理は有り得る話で、その意味では「ふーんスペインだとオークとか月桂樹に変わるのね」という感じなのだが、なんか内容的に弱いな?? という感じがした。

というのも、伐採する前に印をつけるとか、特定の木材を選んで使うとかくらいの話しか出てこなくて、意識して「人の利用しやすい森」を作ろうとしたようには読めないからだ。逆に、この程度の管理しか出来てなくて集落の維持なんて出来たんか…? と、心配になってくる。とくに食料の部分は植物に頼らないといけないはずなんだけど、農耕の起源地に近いぶん、先に畑作始めちゃったってことなのか。

ヨーロッパの新石器時代の人たちが何食ってたのかは、こんど改めて調べてみようと思う。
あとやっぱり、よく研究されていて、日本語資料が多いからというのを差し引いたとしても、日本の新石器時代(縄文時代)の植物利用は、当時の最先端でもあり、独特のものだったんだなぁと思った。