ローマ支配下の古代エジプトの地域区分と首都一覧

古代エジプトは、伝統的に42の州(古代エジプト語:セパト、ギリシャ語:ノモス)に分けて統治されてきた。ナイル上流の「上エジプト」が22州、下流の「下エジプト」が20州。その一覧は以下に作成してるので細かいところみたい人はこちらで確認してほしい。
http://www.moonover.jp/bekkan/bigin/index.htm

だが、この区分はローマ支配時代になると使われなくなる。たぶんローマ的には細かすぎた。
どういう区分になったのかについての情報が日本語だと出てこなくて、めんどくせーってなったので自分で作っておく。

Dioecesis_Aegypti_400_AD.png

この区分では、伝統的な「上エジプト」「下エジプト」というニ分類ではない。また、現代のエジプトの版図とは違い、シナイ半島が入っておらず、かわりにリビアが入っていることに注目してほしい。
なお、上エジプトの「テーバイス」という区分はプトレマイオス朝の文書でもよく出てくる地域名だが、地域の範囲が違うようなので注意。

●アエギュプトス
州都:アレキサンドリア
プトレマイオス朝の首都を含むナイルデルタ西部。ナイルデルタの人口が多かったので東西に分けたのだと思われる。

●アウグスタムニカ
州都:ペルシウム
州都は、プトレマイオス朝では有力な輸出港として機能していた、移住者の多い都市。シナイ半島の沿岸部までを含むナイルデルタ東部。

●アルカディア
州都:オクシリンコス
ここも州都はギリシャ系移住者の多かった都市。古来からの大都市ではなく交易関連で重要な町を州都に選定しているのがわかる。
ナイルデルタの始点であるメンフィスからアビドスまで。ファイユームはここに含まれる。

●テーバイス
州都:プトレマイス(プトレマイス・ヘルミオウ)
州都は現在のエル・マンシャにあたり、プトレマイオス朝時代に上エジプトに新規で作られた唯一の都市。
この州の範囲は広いが、アビドス~アスワンという範囲になっており、オアシスも一応含む。

おおむね、上エジプトと下エジプトを2つずつに分裂させた範囲になっている。
この区分は行政文書によく出てくるので、範囲を知ってるとどのへんの話してるのかがわかりやすくなると思う。