古代の粘土板から環境DNAを抽出する試み。粘土レンガから当時の環境を再構築出来るかも
古代の粘土板からDNA抽出に成功、という話を見て、「? 何のDNAだ」とよくよく記事を読んでみたら、日干しレンガに使われている「粘土」、つまり泥の中に含まれている水辺の動植物のDNAという話だった。あーあー、そういうこと出来るんだ?!
RESEARCHERS EXTRACT ANCIENT DNA FROM A 2,900-YEAR-OLD CLAY BRICK
https://www.heritagedaily.com/2023/08/researchers-extract-ancient-dna-from-a-2900-year-old-clay-brick/148366
この話を理解するためには、まず「環境DNA(eDNA)」というものをおさらいする必要がある。
生物は、生活していると環境の中にDNAのカケラを多数残していく。動物なら体から剥がれ落ちた皮膚に含まれる細胞、排泄物や体毛、植物なら根っこの切れ端や落ちた葉っぱなど。個体の特定は難しくても、そこにかつて存在した生物がウマかヒトか、イネ科かナス科かはわかる。
そして、量が多ければ多いほど、その種類の生物は多数生息していたことになる。
それによって、サンプルが取得された場所の環境を再構築するという手法になる。
で、粘土レンガというものは、粘土が柔らかいうちに形を整え、乾かして使用するものだから、粘土が採取された時期=建設年代、になる。
今回分析されたのは、カルフ(ニムルド)出土の約2,900年前のもの。アブラナ科 (キャベツ) とツツジ科 (ヘザー)が多いとのことだが、キャベツは西ヨーロッパ原産で、アッシリアの時代にここまで伝わっていたかはよくわからない。少なくとも、現代人が想像するあの丸い姿ではなくケールに近かったはず。ヘザーの仲間のエリカ属は地中海にも生えている。
これらの情報を総合していくと、アッシリアの時代のカルフ周辺の風景が見えてくるはずで、なかなか面白そうな研究だ。
なお、これと同じことは文字の書かれた粘土板でも出来る。
粘土板は、羊皮紙のように何十年も後に再利用されることはなく、文字が書かれたオンタイムの情報が採取できる。出土地が不明でも、逆に成文を分析すれば植生などで場所が特定できるかもしれない。必ず成功するとは言えないが、これは可能性の広がる研究法だなあと思う。
古代人が見ていた水辺の風景。見てみたい。
RESEARCHERS EXTRACT ANCIENT DNA FROM A 2,900-YEAR-OLD CLAY BRICK
https://www.heritagedaily.com/2023/08/researchers-extract-ancient-dna-from-a-2900-year-old-clay-brick/148366
この話を理解するためには、まず「環境DNA(eDNA)」というものをおさらいする必要がある。
生物は、生活していると環境の中にDNAのカケラを多数残していく。動物なら体から剥がれ落ちた皮膚に含まれる細胞、排泄物や体毛、植物なら根っこの切れ端や落ちた葉っぱなど。個体の特定は難しくても、そこにかつて存在した生物がウマかヒトか、イネ科かナス科かはわかる。
そして、量が多ければ多いほど、その種類の生物は多数生息していたことになる。
それによって、サンプルが取得された場所の環境を再構築するという手法になる。
で、粘土レンガというものは、粘土が柔らかいうちに形を整え、乾かして使用するものだから、粘土が採取された時期=建設年代、になる。
今回分析されたのは、カルフ(ニムルド)出土の約2,900年前のもの。アブラナ科 (キャベツ) とツツジ科 (ヘザー)が多いとのことだが、キャベツは西ヨーロッパ原産で、アッシリアの時代にここまで伝わっていたかはよくわからない。少なくとも、現代人が想像するあの丸い姿ではなくケールに近かったはず。ヘザーの仲間のエリカ属は地中海にも生えている。
これらの情報を総合していくと、アッシリアの時代のカルフ周辺の風景が見えてくるはずで、なかなか面白そうな研究だ。
なお、これと同じことは文字の書かれた粘土板でも出来る。
粘土板は、羊皮紙のように何十年も後に再利用されることはなく、文字が書かれたオンタイムの情報が採取できる。出土地が不明でも、逆に成文を分析すれば植生などで場所が特定できるかもしれない。必ず成功するとは言えないが、これは可能性の広がる研究法だなあと思う。
古代人が見ていた水辺の風景。見てみたい。