ナミブ砂漠で有名な「フェアリー・サークル」、実は世界中に広く分布していることが判明。発生メカニズムがさらに謎に

ここまでの経緯は、過去記事を参照。

アフリカ南西部にあるナミブ沙漠に多数出現する、フェアリー・サークルと呼ばれる草の生えない丸い裸地が、どうやって出来るのかが分からんというので長年学者たちが研究しているのだ。有毒な物質を出すユーフォルビアという植物が原因、というかつての説は完全に否定。有力とされたシロアリ説も否定され、現在は、周囲に生えている植物が水を急速に吸い上げているからという説、もしくは目に見えない微生物によるという説が主力になってきている。

ナミブ砂漠のフェアリー・サークル、シロアリ説も否定。最後に残ったのは「植物界の水利権」
https://55096962.seesaa.net/article/493048897.html

Fairy_circles_namibia.jpg

で、そもそもの話として、「よくよく調べてみたらこのフェアリー・サークル、世界中ににあるんだけど」ということがわかったらしいのだ。な、なんだってー。

Atlas of Mysterious Fairy Circles Shows They're More Widespread Than We Thought
https://www.sciencealert.com/atlas-of-mysterious-fairy-circles-shows-theyre-more-widespread-than-we-thought

元論文
The global biogeography and environmental drivers of fairy circles
https://www.pnas.org/doi/abs/10.1073/pnas.2304032120

ここに載ってる図を見ると、どうやら世界中の砂漠地帯をサーベイしたらしい。ご苦労さまです。
で、その結果、15カ国、 263箇所で同様の現象が見られたのだという。なんで気づかなかったのかというと、この現象が起きてるのが人の行かない、アクセスのしにくい砂漠地帯ばかりで、しかも雨が降ったあとの草が生えてくる一定期間だけ発生しているからなのだ。
ドローン飛ばしたり、衛星画から確認したり出来る現代ならではの調査だった。

new-fairy-circle-locations-600x498.jpg

共通する発生条件、今のところ2つ。

・栄養レベルが低く、砂を多く含む土壌
・高温で雨季と乾季がはっきりしているような乾燥地域

さらに、これだけ広範囲に広がっているということは、やはりユーフォルビアや特定のシロアりよりは、もっと普遍的な原因を探したほうがよさそうだ。どこにでもいる単純な菌のような。

これはなかなか面白いことになってきたなという感じ。特定の地域だけで発生してるならその地域特有の事情があるのだろうけど、そうじゃないということがわかったので、今度は共通点を探すことが答えに近づく道となる。ナミブ砂漠だけ見てたら謎だった自然界の神秘、もしかして本当に解ける日が来るのかもしれない。わくてか。