ネアンデルタールを絶滅させたかも、と言われた「焼け野原」、フレグレイ平野とナポリの位置

約4万年前に噴火したとされる南イタリアの火山、カンピ・フレグレイ(Campi Flegrei)。
近年、再び活動が活発になりはじめ、また破局的な噴火するのでは? と騒がれていた時期があったのだが、その後なんか話を聞かなくなってたなとふと思いだした。まあ、アイスランドとかハワイとか、あっちこっち噴火が起きてそっちの話題に飲まれちゃったんだろうけど。

500年沈黙してきたイタリアの巨大火山に大噴火の兆候と専門家が警告
https://gigazine.net/news/20170723-campi-flegrei-supervolcano/
→これが2017年

この記事にもあるが、ネアンデルタールが絶滅した時期と、火山が大噴火をした時期が近いことから、火山による気候変動がネアンデルタール絶滅の原因ではないかとされる説が2010年に出された。しかしその後、この説は主力にはなっていない。理由は、「確かに時期は近いけど、全く同時期かが分からない。」そして、それほど知能や体格に差があったわけでもない現生人類だけ生き残った理由づけに苦労するのも難点だ。

もしかしたら多少は関連があったのかもしれないが、もう絶滅しかかっていたところにトドメをさした可能性はある、くらいにとどまると思う。

で、このカンピ・フレグレイなのだが、実は観光地になっている。
というか場所が ナポリの、ヴェスヴィオ火山の反対側 なんである。てことは中の人、むかしここの近く通ってる。

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そもそもが、カンピ・フレグレイという名前が「燃える畑」、ようは焼け野原みたいなニュアンスの地名である。一つの火山の名前というより、複数の火口が連なる、あばただらけのような土地なのだ。
地図見て「…何でここに住もうと思ったよナポリの人」ってなった。いやまじで、何でここに住む気になった? てか桜島の隣りに住んでる薩摩人と同じくらいおかしいだろ。ここ500年ほどは噴火はしていないようだけど、地震や地面の隆起は続いているようだし。
火山周りの図がコレ。凹んでいるところは勿論、火口のあと。見るからにすごい地形だ。

改めて、ナポリってすごいとこに作られた街だなぁ…と思った。
どれかの火山が噴火したら終わり。実際、被災シミュレーションでは、小規模な噴火でもあっという間にマグマに飲まれることになっている。まさに火山とともに生きている街だし、ここと姉妹都市になるのは鹿児島が相応しいと納得できる位置取りなのであった。

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なお余談だが、ネアンデルタールにトドメを刺したかもしれないという説については、逆に、「ネアンデルタールの絶滅を遅らせたのでは」という説もある。寒冷化によって現生人類の拡大を阻止した、という見方だ。
最終的に、ネアンデルタールは現生人類であるホモ・サピエンスとの混血の痕跡だけを残して消えていく。つまり、際限なく生息地を拡大ホモ・サピエンスの群れに飲まれたとも言える。寒冷化によって両者の接触の機会が減り、混血の度合いが遅れることによって、ネアンデルタールという種自体の存在する期間がほんの少しだけ伸びたかもしれない。(そこまで数が減ってたなら、結局は絶滅の運命は変わらないと思うのだが。)

火山や気候変動による種の絶滅説は数多い。実際、それは種の存続に大きく関わる要因ではある。
しかし、これだけは言える。現在生きている全て種は、これまで地球上で起きたありとあらゆる気候変動を生き抜いてきた、生存エキスパートたちなのである。
人類は、このフレグレイの噴火いがいにも、多くの噴火を体験し、生き延びてきた。我々日本人で言えば、鬼界カルデラの噴火に耐えて生き残った人間の血を引いている。たぶんネアンデルタールもそうだったと思うのだが、ヒトというのは火山ごときで絶滅させられるほどヤワな種ではないんだよな、とシミジミ思うのだ。