またこの季節がやってきた。今年の考古学10大発見(ARCHAEOLOGY magazine版)
うぇーい! 1年早いなあ!
というわけで今年もTop 10 Discoveries of 2023が出ましたよと。
https://www.archaeology.org/issues/536-2401/features/11935-top-10-discoveries-of-2023

まあ毎年言ってるんですが「これTop10に入れるほどじゃなくない?」みたいなのも幾つか混じってて、自分の興味範囲に刺さるか刺さらないかは人それぞれですかねえ。
●Sacred Spring 秘められた泉/イタリア
タイトルは泉となっているが、いわゆるホット・スプリング。かつてはエトルリア人とローマ人にとって聖域とされていた。
1世紀のはじめごろ、そこに雷が落ち、聖域の聖職者たちは奉納物を埋め込んで祈ったらしい。埋葬物は「埋葬された雷神(またはfulgur conditum)」という別名で呼ばれていたという。
●Earliest Carpenters 最古の大工たち/ザンビア
ザンビアのカランボ川(Kalambo River)から見つかった約50万年前の丸太には切れ込みが入っていた。そのため丸太を使って何らかの建造物をつくっていたと考えられている。この時代はまだホモ・サピエンスがいないため、ホモ・ハイデルベルゲンシスによるものではないかとされる。
ただし、たまたま切れ込み入ってただけかもしれないので、この丸太だけだと発見としてはちょっと微妙かもしれない。意図して組み合わせていたかどうかは自分には判別がつかなかった。
●Cave of Swords 剣の洞窟/イスラエル
死海沿いの古代集落の洞窟で発見された、保存状態の良い4本の鉄剣。時代的に、バル・コクバの乱と関係するのでは、とされている。発見内容としてはやや地味。この場所でのイスラエルの発掘調査は実効支配の一環であり、大々的に発表されるのは昔のユダヤ人の遺跡・遺物に関するものが大半を占めるので、裏を勘ぐりたくなる。
●A Painted Prayer 描かれた祈祷者/ヌビア
かつてマクリア王国の首都だったオールド・ドンゴラの16世紀の民家から発見された正教系の宗教画。絵に添えられた言葉から、この絵は13世紀後半にエジプトのマムルーク朝スルタンと戦っていたヌビアの王、ダビデを描いたものである可能性が高いという。ちなみにマムルーク朝はナイルを北上してドンゴラを破壊するので、絵が残ったのは敗北のあとにイスラム教徒から隠すためだったのではないかとも考えられる。
●Magical Mesoamerican Relics メソアメリカの魔法の遺物/メキシコ
メソアメリカっってなってるけどアステカである。テノチティトランにあるテンプロ・マヨール遺跡の中から出てきた沢山の遺物。捧げらた動物の骨も多い。雨の神トラロックへの捧げ物とされている。
Hunter-Gatherer Fortresses 狩猟採集民の要塞/ロシア
シベリアにある、新石器時代の要塞集落。約8000年前だが柵、土手、溝で要塞化されていることが面白い。相手が何なのかはキジだけだと分からなかったが、身内同士で戦ってたのだろうか。
●Inca Workers' Homelands インカ労働者の故郷/ペルー
マチュピチュに埋葬されていた王の家来たち34人の遺伝子を分析した結果、現在のエクアドル北部からアルゼンチン北部、チリの一部まで、インカ帝国のほぼ全土から集まってきていたことが明らかになったという研究。あとアマゾン川流域からも人が来ていたという。
これはクスコの住民の研究結果でもほぼ同じものが出ているので、おそらく王国中心部は支配民族から人を集めてきた多民族世界だったのだと思われる。てかマチュピチュから出た人骨、DNAまだ残ってたんだ…。
●World's Oldest Book 世界最古の本/エジプト
紀元前260年ごろに製本され、その後、ミイラ包のために再利用されたパピルス紙。世界最古の本だとされているが、本の状態で見つかったのではなく製本が解かれた状態だったことに注意。ただ写真見ると糸の跡とかははっきり残っているので、製本された状態だったとは言えそう。
なお元々の中身はビールや油の税率について書かれた文書だそうだ。
●Imperial Menagerie 皇帝の動物コレクション/中国
前漢時代の皇帝、文帝の王墓の近くで発見された400体以上の動物の遺骨。パンダやヤク、クジャクなど珍しい動物も入っており、おそらく生け贄だろうとのこと。写真見るときれいに頭の向きを揃えて埋葬してあって仕事が丁寧。
エジプトの先王朝時代の王墓だと珍しい動物と一緒に埋葬されている墓があるけど、中国も同じことやってたのはちょっと面白い。
●The Fiddler's Theater フィドル弾きの劇場/ローマ
ヴァチカン近郊にある、皇帝ネロの母が所有していた別荘の庭園に作られた私設劇場。
最近まで正確な場所が分かってなかったのが発見された。
以上10こ。ヌビアの発見は結構刺さったやつ。このへん発掘調査あんま進んでないのと、ビザンツ系統の宗教美術の一品が隠れてることがあるので気になるところ。ただ、政情不安という問題が…。
なお、これまでのTop10はこんな感じ。参考までに。
2022年、考古学の10大発見(ARCHAEOLOGY magazine版)
https://55096962.seesaa.net/article/494571344.html
今年も考古学発見物のTOP10が発表されていたので見てきた。
https://55096962.seesaa.net/article/202112article_21.html
2020年、考古学の10大発見(ARCHAEOLOGY magazine版)
https://55096962.seesaa.net/article/202012article_9.html
2019年、考古学の10大発見(ARCHAEOLOGY magazine版)
https://55096962.seesaa.net/article/201912article_24.html
今年の考古学10大発見物
https://55096962.seesaa.net/article/201712article_22.html
今年もArchaeology Magazineの「10大発見」。今年は全般的に地味かな…
https://55096962.seesaa.net/article/201612article_27.html
というわけで今年もTop 10 Discoveries of 2023が出ましたよと。
https://www.archaeology.org/issues/536-2401/features/11935-top-10-discoveries-of-2023
まあ毎年言ってるんですが「これTop10に入れるほどじゃなくない?」みたいなのも幾つか混じってて、自分の興味範囲に刺さるか刺さらないかは人それぞれですかねえ。
●Sacred Spring 秘められた泉/イタリア
タイトルは泉となっているが、いわゆるホット・スプリング。かつてはエトルリア人とローマ人にとって聖域とされていた。
1世紀のはじめごろ、そこに雷が落ち、聖域の聖職者たちは奉納物を埋め込んで祈ったらしい。埋葬物は「埋葬された雷神(またはfulgur conditum)」という別名で呼ばれていたという。
●Earliest Carpenters 最古の大工たち/ザンビア
ザンビアのカランボ川(Kalambo River)から見つかった約50万年前の丸太には切れ込みが入っていた。そのため丸太を使って何らかの建造物をつくっていたと考えられている。この時代はまだホモ・サピエンスがいないため、ホモ・ハイデルベルゲンシスによるものではないかとされる。
ただし、たまたま切れ込み入ってただけかもしれないので、この丸太だけだと発見としてはちょっと微妙かもしれない。意図して組み合わせていたかどうかは自分には判別がつかなかった。
●Cave of Swords 剣の洞窟/イスラエル
死海沿いの古代集落の洞窟で発見された、保存状態の良い4本の鉄剣。時代的に、バル・コクバの乱と関係するのでは、とされている。発見内容としてはやや地味。この場所でのイスラエルの発掘調査は実効支配の一環であり、大々的に発表されるのは昔のユダヤ人の遺跡・遺物に関するものが大半を占めるので、裏を勘ぐりたくなる。
●A Painted Prayer 描かれた祈祷者/ヌビア
かつてマクリア王国の首都だったオールド・ドンゴラの16世紀の民家から発見された正教系の宗教画。絵に添えられた言葉から、この絵は13世紀後半にエジプトのマムルーク朝スルタンと戦っていたヌビアの王、ダビデを描いたものである可能性が高いという。ちなみにマムルーク朝はナイルを北上してドンゴラを破壊するので、絵が残ったのは敗北のあとにイスラム教徒から隠すためだったのではないかとも考えられる。
●Magical Mesoamerican Relics メソアメリカの魔法の遺物/メキシコ
メソアメリカっってなってるけどアステカである。テノチティトランにあるテンプロ・マヨール遺跡の中から出てきた沢山の遺物。捧げらた動物の骨も多い。雨の神トラロックへの捧げ物とされている。
Hunter-Gatherer Fortresses 狩猟採集民の要塞/ロシア
シベリアにある、新石器時代の要塞集落。約8000年前だが柵、土手、溝で要塞化されていることが面白い。相手が何なのかはキジだけだと分からなかったが、身内同士で戦ってたのだろうか。
●Inca Workers' Homelands インカ労働者の故郷/ペルー
マチュピチュに埋葬されていた王の家来たち34人の遺伝子を分析した結果、現在のエクアドル北部からアルゼンチン北部、チリの一部まで、インカ帝国のほぼ全土から集まってきていたことが明らかになったという研究。あとアマゾン川流域からも人が来ていたという。
これはクスコの住民の研究結果でもほぼ同じものが出ているので、おそらく王国中心部は支配民族から人を集めてきた多民族世界だったのだと思われる。てかマチュピチュから出た人骨、DNAまだ残ってたんだ…。
●World's Oldest Book 世界最古の本/エジプト
紀元前260年ごろに製本され、その後、ミイラ包のために再利用されたパピルス紙。世界最古の本だとされているが、本の状態で見つかったのではなく製本が解かれた状態だったことに注意。ただ写真見ると糸の跡とかははっきり残っているので、製本された状態だったとは言えそう。
なお元々の中身はビールや油の税率について書かれた文書だそうだ。
●Imperial Menagerie 皇帝の動物コレクション/中国
前漢時代の皇帝、文帝の王墓の近くで発見された400体以上の動物の遺骨。パンダやヤク、クジャクなど珍しい動物も入っており、おそらく生け贄だろうとのこと。写真見るときれいに頭の向きを揃えて埋葬してあって仕事が丁寧。
エジプトの先王朝時代の王墓だと珍しい動物と一緒に埋葬されている墓があるけど、中国も同じことやってたのはちょっと面白い。
●The Fiddler's Theater フィドル弾きの劇場/ローマ
ヴァチカン近郊にある、皇帝ネロの母が所有していた別荘の庭園に作られた私設劇場。
最近まで正確な場所が分かってなかったのが発見された。
以上10こ。ヌビアの発見は結構刺さったやつ。このへん発掘調査あんま進んでないのと、ビザンツ系統の宗教美術の一品が隠れてることがあるので気になるところ。ただ、政情不安という問題が…。
なお、これまでのTop10はこんな感じ。参考までに。
2022年、考古学の10大発見(ARCHAEOLOGY magazine版)
https://55096962.seesaa.net/article/494571344.html
今年も考古学発見物のTOP10が発表されていたので見てきた。
https://55096962.seesaa.net/article/202112article_21.html
2020年、考古学の10大発見(ARCHAEOLOGY magazine版)
https://55096962.seesaa.net/article/202012article_9.html
2019年、考古学の10大発見(ARCHAEOLOGY magazine版)
https://55096962.seesaa.net/article/201912article_24.html
今年の考古学10大発見物
https://55096962.seesaa.net/article/201712article_22.html
今年もArchaeology Magazineの「10大発見」。今年は全般的に地味かな…
https://55096962.seesaa.net/article/201612article_27.html