縄文杉が古代エジプトの歴史を明らかにするかもしれない? 宇宙線から木材の年輪へ

以前、以下の記事で書いた内容を改めて調べ直してみたところ、「Miyake Event」という単語に出くわし、なんで日本人の名前がついてるんだ…と思って調べていったら、この「宇宙線の増加によって木の年輪に特徴的な炭素14のマーキングがついている」という事態を発見したのが日本の学者さんだったというところにたどり着いた。

ヴァイキングが北米に定住した年代を特定!→従来説どおりでした
https://55096962.seesaa.net/article/202110article_17.html

元々の発見は、ネイチャーダイジェストにある以下である。

年輪に記録された謎の放射線バースト
https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v9/n8/%E5%B9%B4%E8%BC%AA%E3%81%AB%E8%A8%98%E9%8C%B2%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E8%AC%8E%E3%81%AE%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%B7%9A%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88/36764

1200年ほど前に、原因不明の非常に強い高エネルギー放射線バーストが地球に襲来していたことが、名古屋大学の宇宙線物理学者、三宅芙沙らによって発見された。屋久杉の年輪記録を調べたところ、西暦775年の生育期に形成された年輪に含まれる放射性炭素14(14C)の量が明らかに増加しており、774年から775年の間に放射線バーストが地球に到達したことが示唆されたのだ。


これは長寿の木である屋久杉を使って年代を特定したものだそう。
太陽フレアの可能性があるが特定できないため謎の現象となっているが、少なくとも、地球規模で炭素が1.2%も増加するイベントが起きていたことは確かなようだ。

メカニズムについて、より詳しい記事はこちらにある。宇宙線が原子に分解され炭素はC14に→地球上の炭素量が増える→二酸化炭素になる→植物はそれを二酸化炭素として吸収し幹に蓄積する、という流れ。測定方法が確立されてしまえば、同様に炭素量が増えた時代を特定して、年代の特定に活かせることになる。
https://www.science.org/content/article/marking-time-cosmic-ray-storms-can-pin-precise-dates-history-ancient-egypt-vikings

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この方法を使えば10年単位で時代を特定できるようで、考古学者は古い教会やヴァイキング・シップなど様々な木材を分析にかけている。その一つが、冒頭に挙げた「ヴィンランド移住の時代を特定した」という研究だったのだ。

では、この手法はエジプトでも有効なのか…?

というのも実は、英語記事の中には書かれている。エジプトの在来週は年輪を形成するタイプのものがなく、輸入品のレバノン杉などに頼るしかない。可能性がありそうなのは「クフ王の船」など副葬品の木材の分析だろうか。うまくやれば古代エジプトの年表を今より精密に作成することは出来るかもしれない。

ただ、ヴァイキング時代が1000年前なのに対し、古代エジプトのピラミッド時代は4500年も前である。よっぽど残りが良くないと、ちょっと厳しいのかもなあ…。いずれにしても、この手法は考古学に使える画期的な技術の一つになると思う。
過去12,000年ぶんの炭素増加イベントの年表を作る予定らしいので、データベースが出てくると考古学の世界の解像度が上がるかも。

しかしまさか、屋久島の縄文スギがエジプトの歴史を解き明かすかもしれない、とか、謎の繋がり方をするとは思わなかったよ(笑)