「ローマ風チキン」のローマ風って何だよ…→「約60年前にローマのおっかさんが考案した」だった

発端は、時間無いので今日はもう夕食はコンビニか冷食でちゃちゃっと食うぞ!! って駆け込んだお店でこちらの「ローマ風ドリア」なるものを見つけてしまったことだった。
一体どこがローマ??

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いやマジで、どのへんがローマ…?
どうも「ローマ風鶏の煮込み」なるものが先に世間に出回っており、それをさらにドリア合体させた商品のようである。ならば「ローマ風鶏の煮込み」のほうを調べなくてはならない。

最初にやってみた英語での検索はあまり意味がなかった。
Roman style chicken で探してもレシピしか出てこないのだ。どうやらトマトペーストを使って煮込んだチキン料理らしいのだが、そもそもローマ時代にトマトはねぇよ。

この時点で、これ実は古代ローマとあまり関係なくない? と気づくに至る。古代じゃなくて現代のほうか。
試しにイタリア語で検索してみたら…ビンゴ。

Sora Lellaさんという方が1967年にテレビ番組で紹介して人気を博した料理だったという情報が出てきた。

Il piatto simbolo del Ferragosto romano e la sua storia
https://www.romatoday.it/cibo/storie/storia-ricetta-pollo-peperoni-romano.html

料理番組で1967年の8月23日に放映されたという映像が、上記の記事にある。
この時点では「チキンのピーマン添え」。つまりピーマンを添えたチキン料理。そう、重要なのはトマトではなくピーマンのほうだったのだ。
もちろんピーマンも新大陸産だから古代には無いのだが、そもそもこの料理は現代料理なのでそこは気にしなくてもいい。

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というわけで、
「ローマ風チキン」は「最近になってローマで誕生したピーマン添え鶏肉料理」のこと
だったのだ。

古代ローマは関係ないが、少なくともイタリアの郷土料理の一つではある。また、伝統料理ではあるが比較的近年に出現したもので、古代とは関係ない料理だった。なんかスッキリしたけど、逆にピーマン入ってないならローマ風チキン名乗っちゃダメじゃね? という問題に気づいてしまい…。ただのトマト煮込みになってるレシピも見かけたんだけど、あれは一体、何と呼ぶべきものなんだ…?

新たな疑問も生まれつつ、とりあえず当初の「ローマ風」の名前の由来は分かったので良しとする。


なお”古代"ローマのチキン料理としては、「オーブンで焼いてガルムで味付け」というレシピが出てきた。ローマ人みんな大好き魚醤である。日本でいえば醤油味のチキン。古代ローマの時代にピーマンやートマトはないが、彼らがこの現代人のローマ風チキンを食べたら、一体どんな反応をするのだろうか。

https://historicalitaliancooking.home.blog/english/recipes/ancient-roman-roast-chicken/

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