古代人は乗馬が出来ない。それが出来たらチャリオットは要らない

古代エジプト創作をする人が、漫画・小説・その他と種類問わず高確率で間違えて出してしまう「馬に乗って移動」という描写。
これを絶対出してはいけないと口を酸っぱくして言っている理由が、「馬に直接乗れたらチャリオット要らん」になってしまうからです。
一般人レベルでほいほい馬に乗れてしまうのなら、当然兵士も馬に乗れますよね。
つまり騎馬兵が既に存在する世界線です。その世界でチャリオットを使うのは、「ライフル銃があるのに敢えてクロスボウを使うのか」くらいの違和感だと思います。

道具も技術もまだ開発されておらず、馬に直接乗るのが難しいから、敢えてチャリオット使っているわけです…。


まず、こちらのヒッタイト兵の絵を見て欲しいのですが、チャリオットを使う場合、一台の戦車に複数人が乗っているのが分かると思います。手綱を持つ人、盾を持つ人、攻撃する人で三人ですね。つまり、三人に一人しか攻撃することが出来ません。



これが馬に直接乗れるようになると、三人いれば三人とも攻撃できるので攻撃力は三倍です。しかも戦車を引かせるより馬のスピードが出るので高速で戦闘を進めることが出来てしまいます。
二人乗り戦車の場合も同じです。手綱を持つ人と攻撃する人が別にならざるを得ないので、実際の人数に対して攻撃できる人数が半減してしまうのです。

また、戦車は、それを作るだけで手間がかかります。手間がかかるうえに攻撃できる人数も少ないとか、そりゃ乗馬技術が出来たら廃れるのは当然ですね…。両者は同じ時代に両立させるのが難しいんです。この違和感が皆に伝わると嬉しい。ていうか、何気なく乗馬シーンが出てきすぎるのに困る。騎兵は古代世界におけるライフル銃。
出してもいいけど、出すならそれなりの理由をつけて、「馬に馴染む特殊な才能もちの奴が無双しに来ました」くらいの扱いにしないと軍事バランスが崩れる(汗

何気ないとこではあるんですが、時代背景分かってるか分かってないかの差が出てしまうので…ご注意を。



あとどうでもいいことですが、最近はYoutubeに行くとチャリオット再現動画も多いので、イラスト描きさんとかは探してみると幸せになれるかもしれません。参考までに、私のお気に入り動画を貼っておきます。





というわけで、再度まとめ

「古代エジプトの戦場に騎馬兵がいないのは、チャリオットのほうが強いからではなく、その時代にまだ馬の乗る技術が確立されていないから」
「馬に直接乗れたらチャリオット要らん」

紀元前1000年以降、本格的に鉄器時代に入るあたりから少しトレンドが変わりますが、「古代エジプト」とか「古代メソポタミア」で想像される世界には、確立された乗馬技術は存在しません。

以上です。