古代エジプトの死者の書 125章「否定告白」は実はバリエーション色々あるよ。というわけで

というわけで!
説明するのが面倒くさいので! リスト作っておいたよ!(どーん)


spell125-Ani.jpg

まず代表的な「死者の書」の一覧。
http://www.moonover.jp/bekkan/sisya/index-list.htm

「アニのパピルス」、「ネブセニのパピルス」あたりは大英博物館が所蔵してて、もりもり資料を出しているので有名。
でも実はカイロ博物館が所蔵しているのもあって、それが「マイヘルペリのパピルス」「ユヤのパピルス」。

他にも、あまり有名じゃないものや変わり種は沢山あり、以前日本にイベントで来日した「グリーンフィールド・パピルス」、メジェドを有名にしたあのめっちゃ長いパピルスもその一つ。

そして死者の書はピラミッド・テキストの時代から変化していき、紀元前1,500年頃から、最後の簡略化された呪文の時代まで入れると紀元後くらいまで使われている。この長い期間、全く変化しないとか、エジプト人が写し間違わないとか、そんな奇跡が起こるはずもないわけです。
ええ。

そう、死者の書、実はどれを底本にするかで、細かいところだいぶ違います…。


というわけで否定告白の部分も数種類載せておきました。
http://www.moonover.jp/bekkan/sisya/index-125-3.htm

ネブセニのパピルスとマイヘルペリのパピルスは、ともに第18王朝のもので時代が近いはずなのに、既に内容がかなり違うんですよ。
ネブセニのほうでは「少年愛」が禁じられていて、マイヘルペリのほうでは「自慰と同性愛」が禁じられている。否定告白で否定されるのはその当時の社会で好ましくないとされた内容のはずなんで、時代というより地域差かもしれない。
当時の首都で上エジプトにあったテーベと、下エジプトの古都メンフィスだと性概念が違ったとかかもしれない…。いやわからんけど。

と、言う感じで、死者の書もぶっちゃけ読み込もうとすると「???」ってなるところは山程あります。
あと底本が何かによって否定告白の順番や内容はだいぶ変わるんで、本によって書いてることが違った場合は、出処を確認してみましょう。(実は「ナクトのパピルス」とかにも否定告白の章はあった。今回調べてないけど…)