縄文人の糞石から腸内フローラを分析する。コプロライトから知る古代人のお通じ事情

コプロライトとは、うんちが化石化した物体である。恐竜のものとかは鉱石としてストーンショップで売られていることも。
日本では、縄文人のものが糞石としてたまに発掘されるという話を知っていたのだが、まさか、あれからDNA取れるとは思っていなかった…。

Metagenomic analyses of 7000 to 5500 years old coprolites excavated from the Torihama shell-mound site in the Japanese archipelago
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0295924

今回分析されたのは、7,000年前から5,500年のもので状態のよい4つ。
元々、福井県の鳥浜貝塚遺跡で発見された糞石は400個以上あったそうで、そこから年代の特定できそうなものを選んで使っているらしい。


「ショットガン・メタゲノム・シーケンス」を使ったというのでググってみたところ、もともと糞便を対象にしていて、食物に含まれるDNAや腸内細菌の検出などに使われているもののようだ。
つまり、対象となるうんちがちょーっと大昔のもってだけで、やってることは現代人のフレッシュなうんちと一緒なのだろう。

https://catalog.takara-bio.co.jp/jutaku/basic_info.php?unitid=U100007017
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ただし、中の人はこのへんの詳しい手法は門外漢なので、なんとなく「ふーん」って感じでしか理解できない(笑
排泄されたDNAの断片をデータベースとマッチングさせて、どの生物かを特定していく手法だ。(細かい種類まで特定は出来ないが、ざっくり「サケの仲間だな」とかは分かる)

で、面白いのは結果の部分。
検出されたDNAのほとんどはバクテリアで、現代人の腸内環境から検出されるものとかなりの割合で一致するというのだ。つまりぼくらの腸内フローラル、ご先祖様からの贈り物。
あとヘルペスウイルスとかアデノウイルスとかの一部も出ているそうなので、病気にかかってる人がいたのかもしれない。

この研究一本だとそこまでインパクトのある話にはならないが、「日本の環境でもうんちから植物DNAや病原体のDNAも検出できるよ」っていうのは、かなり大きい。
というか、今回の糞石から「サケと大豆食ってたっぽい」とか分かってるのはすごいなと思うんだ。煮炊きの痕跡が残らないような食べ物、たとえば昔から論争になっているイモ類などの食物利用開始時期がこれで特定出来たら面白いなあ。

それにしても、DNAがさくさく解析できる時代になり、DNAデータベースも充実し、数十年前からは隔世の感がある…。
あと繰り返しになるが、石になってるうんちからDNAの断片取り出せたっていうのは、やっぱり衝撃的なのです。もう無理だと思ってたよ。ほぼ石だし。