メンカウラー王のピラミッド修復プロジェクトにストップがかかる。議論の上で適切な進め方の検討へ(※追記あり)
既にエジプト公式メディアから広報が出ているとおり、メンカウラー王のピラミッド「修復」プロジェクトにいったん、ストップがかかったようだ。
[>前段
メンカウラー王のピラミッド修復が物議をかもす。何をやっているのか分からんかったのでちょっと調べてみた
https://55096962.seesaa.net/article/502227174.html
[>今回の報道
Scientific committee formed to review restoration project for Menkaure Pyramid at Giza Plateau
https://english.ahram.org.eg/NewsContent/9/40/517085/Antiquities/Ancient-Egypt/Scientific-committee-formed-to-review-restoration-.aspx
Egypt to form committee to review restoration project of Giza pyramid
https://english.news.cn/20240204/4788c24ea4e348b3b54dc6b6ecbfffa9/c.html
このプロジェクトは、エジプト考古最高評議会（SCA）と早稲田大の合同ミッションで進められる予定だった。崩れていた外装部分の石を「修復」、つまり積み直して建設当時の外見に近づけるぜ！ という話だったのだが、建設から4,500年も立っている遺跡を当時の姿に戻せるはずもなく。修復とは言うものの、やり方間違えたら現代のオリジナルになってしまうだろっていうのは誰でも分かる。
エジプト遺物の修復は、過去に何度も「修復したら逆に壊れた」という事例を発生させている。
最近やったジェセル王の階段ピラミッド修復もそうだが、有名な所では「修復したら余計ひび割れた」スフィンクス、「建設当時の姿がわからないまま修復して別ものになった可能性がある」ハトシェプスト女王の葬祭殿など。
今回の「修復」についても、学者たちから出ている異論の一つは「元のピラミッドの外見について複数の説がある」ということ。
花崗岩のブロックが、ピラミッドのどの部分までを覆っていたのかがわからないのだ。下の方だけだった可能性も高い。
また、周囲に散らばって落ちているブロックが、ピラミッドから剥がれ落ちたものなのか、古代の作業員が放置したものなのかも判らない。つまり、途中まで花崗岩で覆って残りを石灰岩にしたとか、ピラミッドの表面の化粧石が未完成のままにされていた可能性もあるのだ。
どの説が正しいのかも判らないのに、一つの説だけを採用して修復すればハトシェプスト女王葬祭殿と同じ状況になるし、壁の向こうに隠し部屋があるに違いないと信じ込んでツタンカーメン王墓の壁に穴を開けようとして止められた(結局そんなものは無いと追加調査で判明した)件の二の舞いである。
メンカウラー王のピラミッドのような有名な遺跡の外見を大きく変える作業なら、なおさら慎重にやるべきだった。
このプロジェクトを進めても問題ないかについては、エジプト、アメリカ、チェコ共和国、ドイツなどからピラミッド専門家や技師を集めた委員会で議論され、調査報告書を提出してUNESCOにも話通してからの再開になるみたいなので、すぐには動かないかなと思う。やるにしても、適切な方法を検討してからにしてほしい。いちど外見を変えてしまうと、もうもとには戻せないので。
…あと、こんなの、普通やる前にツッコミ入るって気づくだろ。
関係者、誰もツッコまなかったのかい??? 特に早稲田のさぁ、自称ピラミッド専門家っぽい人たちとかさあ。こんなショボい話題で、日本の名前見たくねーんすわ…。
*******
(追記)
その後、このプロジェクトは集まった専門家の満場一致で却下され、ブロック積み直しは「ダメ」と言われました。
ブロックの発掘や記録はいいけど本体に積もうとすんな。とか色々制約をつけられて、PJに日本以外の国の専門家も参加することになったみたいなので、信用されてないってことなんだろうな。
てか、さすがにこの顛末はちょっと恥ずかしい…。。
Review committee unanimously rejects restoring casing blocks to Menkaure Pyramid of Giza
https://english.ahram.org.eg/NewsContent/9/40/517810/Antiquities/Ancient-Egypt/Review-committee-unanimously-rejects-restoring-cas.aspx
[>前段
メンカウラー王のピラミッド修復が物議をかもす。何をやっているのか分からんかったのでちょっと調べてみた
https://55096962.seesaa.net/article/502227174.html
[>今回の報道
Scientific committee formed to review restoration project for Menkaure Pyramid at Giza Plateau
https://english.ahram.org.eg/NewsContent/9/40/517085/Antiquities/Ancient-Egypt/Scientific-committee-formed-to-review-restoration-.aspx
Egypt to form committee to review restoration project of Giza pyramid
https://english.news.cn/20240204/4788c24ea4e348b3b54dc6b6ecbfffa9/c.html
このプロジェクトは、エジプト考古最高評議会（SCA）と早稲田大の合同ミッションで進められる予定だった。崩れていた外装部分の石を「修復」、つまり積み直して建設当時の外見に近づけるぜ！ という話だったのだが、建設から4,500年も立っている遺跡を当時の姿に戻せるはずもなく。修復とは言うものの、やり方間違えたら現代のオリジナルになってしまうだろっていうのは誰でも分かる。
エジプト遺物の修復は、過去に何度も「修復したら逆に壊れた」という事例を発生させている。
最近やったジェセル王の階段ピラミッド修復もそうだが、有名な所では「修復したら余計ひび割れた」スフィンクス、「建設当時の姿がわからないまま修復して別ものになった可能性がある」ハトシェプスト女王の葬祭殿など。
今回の「修復」についても、学者たちから出ている異論の一つは「元のピラミッドの外見について複数の説がある」ということ。
花崗岩のブロックが、ピラミッドのどの部分までを覆っていたのかがわからないのだ。下の方だけだった可能性も高い。
また、周囲に散らばって落ちているブロックが、ピラミッドから剥がれ落ちたものなのか、古代の作業員が放置したものなのかも判らない。つまり、途中まで花崗岩で覆って残りを石灰岩にしたとか、ピラミッドの表面の化粧石が未完成のままにされていた可能性もあるのだ。
どの説が正しいのかも判らないのに、一つの説だけを採用して修復すればハトシェプスト女王葬祭殿と同じ状況になるし、壁の向こうに隠し部屋があるに違いないと信じ込んでツタンカーメン王墓の壁に穴を開けようとして止められた(結局そんなものは無いと追加調査で判明した)件の二の舞いである。
メンカウラー王のピラミッドのような有名な遺跡の外見を大きく変える作業なら、なおさら慎重にやるべきだった。
このプロジェクトを進めても問題ないかについては、エジプト、アメリカ、チェコ共和国、ドイツなどからピラミッド専門家や技師を集めた委員会で議論され、調査報告書を提出してUNESCOにも話通してからの再開になるみたいなので、すぐには動かないかなと思う。やるにしても、適切な方法を検討してからにしてほしい。いちど外見を変えてしまうと、もうもとには戻せないので。
…あと、こんなの、普通やる前にツッコミ入るって気づくだろ。
関係者、誰もツッコまなかったのかい??? 特に早稲田のさぁ、自称ピラミッド専門家っぽい人たちとかさあ。こんなショボい話題で、日本の名前見たくねーんすわ…。
*******
(追記)
その後、このプロジェクトは集まった専門家の満場一致で却下され、ブロック積み直しは「ダメ」と言われました。
ブロックの発掘や記録はいいけど本体に積もうとすんな。とか色々制約をつけられて、PJに日本以外の国の専門家も参加することになったみたいなので、信用されてないってことなんだろうな。
てか、さすがにこの顛末はちょっと恥ずかしい…。。
Review committee unanimously rejects restoring casing blocks to Menkaure Pyramid of Giza
https://english.ahram.org.eg/NewsContent/9/40/517810/Antiquities/Ancient-Egypt/Review-committee-unanimously-rejects-restoring-cas.aspx
