古代エジプト人とリウマチ(関節炎)の話 アスワンの人骨から見つかったリウマチの症状が珍しい理由について

リウマチって名前だけは知ってるけど、実際どういう病気なのか分からん…と思いながら色々グググっていたら、自分が罹患してる人扱いで病院やら薬やらの広告がいっぱい出てくるようになってしまった中の人ですこんばんは。先週もウキウキ山に登ってシヴァ狩りしてたくらいなので私の関節は元気です。

ただ、この3,500年ほど前の古代エジプト人にとっては、関節炎は非常に大きな問題となっていた。

Ancient Egyptian woman’s skeleton reveals one of earliest cases of Rheumatoid Arthritis
https://english.ahram.org.eg/News/516926.aspx

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この遺骨は、アスワン・コムオンボ考古学プロジェクト(AKAP)の中で発見されたもので、エジプト南端のアスワンにあるSheikh Mohammedで発掘されたもの。女性の骨であり、リウマチの症状が見られるという。
古代エジプトでは最も古いリウマチの証拠であり、世界的にも最古級となる。なぜこれがニュースになるかというと、古代エジプトからたくさん出土している医療パピルスでは、リウマチの治療と思われる記述が無く、「古代にはまだ存在しなかったのでは」とされてきたからだ。

自分も、単純に関節が痛い時の記述は見た覚えがあるが、リウマチの症状は医療パピルスで見た覚えがなかった。
ただ、「フリンダース・ピートリがデシャーシャで発見した第五王朝の中年男性の骨格は関節炎の症状を示していた」という短い記述が、「大英博物館双書 古代エジプトを知る3 病と風土(学藝書林)」には存在する。おそらく、確実にリウマチが存在したと言える証拠は、今回のが初めてなのではないかと思う。

リウマチは、一般的に30代以降で発症することが多いらしいのだが、古代エジプト人の平均寿命ば40歳くらいなので、発症前に死亡することが多く、あまり目立たなかったのではないかと思う。またミイラになって残っているのがほとんど偉い人で、偉い人のほうがかかりにくかったとかもあるかもしれない。

昔からありそうで、意外と証拠が見つかりづらい病気なのだ。
調べた限りでは「リウマチになる原因はよく分からん」とのことで、免疫系の病気で遺伝的なものではないらしい。というか自分も、リウマチとそれ以外の、老化による関節の痛みの区別を付けられる自信はない。古代人も、もしかしたら区別がつかないまま、全て同一の「関節の痛み」と表現していたのかもしれない。

なお、もしリウマチという病気が認知されていたとしても、古代世界では治療方法はない。内服薬で治すらしいのだが、その成分は古代にはまだ存在しないからだ。
そうなるともう、神に祈りつつ耐えるしか無いのであった…。