古代エジプトの学生さんが使った教科書「ケミィト」についてちょっと調べておいた。
「ケミィト(Kemit)」は、書記学校の学生さんが使っていた教科書の名前である。日本語資料だとあんまり出てこないので、ちょっとまとめておくことにした。
教科書から書き写して丸暗記するためのものなので、学校で見習い書記が書いたものが山ほど残っている。たとえばこんなかんじ。「あんまり上手くない」と評価されているが、うん、まあ、見習いだからね…w
https://www.britishmuseum.org/collection/object/Y_EA5640
教科書の内容は以下のような感じだ。
・公式文書におけるお約束的な定型文
・公式的なお手紙の書き方
・理想的な自伝の書き方(自伝は墓に書き写したり、自分の功績を人に伝えたりするものでもある)
・単語帳(植物名、役職名、地名など)
書記学校を卒業する子たちは、将来、官職につくことを期待されている。公式文書の書き方を習っているのは、現代で言うビジネス文書のお客さんに出すメールの書き方みたいなノリだと解釈すればわかりやすい。
また自伝は、自伝だけだと意味不明だが、自分の功績をアピールするのに使う文書でもあるので、会社に提出する自己評価の書き方とか就職のさいに企業に出すアピールシートの書き方と思えばわかりやすいだろう。
もしくは、上司に頼まれて上司のカッコいい自伝を書いて宣伝するとかの需要があったのかもしれない。
単語帳の内容は、植物名、食べ物名、役職名、エジプト国内の主要な都市名、外国の名前、農地用語、人体の部位の名称など実に幅広く入っていたようで、受験時代の英単語帳をちょっと思い出してしまった。
この教科書は、中王国時代/第11王朝末か、遅くとも第12王朝には成立していたようで、新王国時代には広く使われていたという。
現代の学生さんたと同じように、古代の学生さんたちもも、教科書片手に何度も書き写しながら知識を暗記していったのだ。無事に官職に着けた人たちは、狭き門を潜り抜け、教科書の中身をマスター出来た人たちでもある。
なお第12王朝は、平民でも勉強すれば書記になり、官僚になれるという成り上がり制度が確立された時代でもあった。
それ以前の古王国時代だと要職は王家の血縁者が占めており、地方政治も地方貴族の血統で占められていたのだが、地方貴族の権力が削がれて血統ではなく能力によって権力を手にすることが出来るようになった。教科書の成立は、親が子供をこぞって学校に送り込みたがる時代の到来と連動していると解釈できるかもしれない。
なれれば一生安泰とされる職業「書記」、親たちが必死に子供たちに勉強しろしろ言ってたのも当然なんですよ…。というお話である。
教科書から書き写して丸暗記するためのものなので、学校で見習い書記が書いたものが山ほど残っている。たとえばこんなかんじ。「あんまり上手くない」と評価されているが、うん、まあ、見習いだからね…w
https://www.britishmuseum.org/collection/object/Y_EA5640
教科書の内容は以下のような感じだ。
・公式文書におけるお約束的な定型文
・公式的なお手紙の書き方
・理想的な自伝の書き方(自伝は墓に書き写したり、自分の功績を人に伝えたりするものでもある)
・単語帳(植物名、役職名、地名など)
書記学校を卒業する子たちは、将来、官職につくことを期待されている。公式文書の書き方を習っているのは、現代で言うビジネス文書のお客さんに出すメールの書き方みたいなノリだと解釈すればわかりやすい。
また自伝は、自伝だけだと意味不明だが、自分の功績をアピールするのに使う文書でもあるので、会社に提出する自己評価の書き方とか就職のさいに企業に出すアピールシートの書き方と思えばわかりやすいだろう。
もしくは、上司に頼まれて上司のカッコいい自伝を書いて宣伝するとかの需要があったのかもしれない。
単語帳の内容は、植物名、食べ物名、役職名、エジプト国内の主要な都市名、外国の名前、農地用語、人体の部位の名称など実に幅広く入っていたようで、受験時代の英単語帳をちょっと思い出してしまった。
この教科書は、中王国時代/第11王朝末か、遅くとも第12王朝には成立していたようで、新王国時代には広く使われていたという。
現代の学生さんたと同じように、古代の学生さんたちもも、教科書片手に何度も書き写しながら知識を暗記していったのだ。無事に官職に着けた人たちは、狭き門を潜り抜け、教科書の中身をマスター出来た人たちでもある。
なお第12王朝は、平民でも勉強すれば書記になり、官僚になれるという成り上がり制度が確立された時代でもあった。
それ以前の古王国時代だと要職は王家の血縁者が占めており、地方政治も地方貴族の血統で占められていたのだが、地方貴族の権力が削がれて血統ではなく能力によって権力を手にすることが出来るようになった。教科書の成立は、親が子供をこぞって学校に送り込みたがる時代の到来と連動していると解釈できるかもしれない。
なれれば一生安泰とされる職業「書記」、親たちが必死に子供たちに勉強しろしろ言ってたのも当然なんですよ…。というお話である。