バレタインデーだよ! というわけで、バレンタインの起源とかの本を読んでみた

図書館行ったらフト目に入ったので、おっ季節ものだし読んでおくか~みたいな感じで軽率に手に取った。いつもどおりのアレである。
パレンタインデーは聖人ウァレンティヌス(バレンタイン)とは元はあんま関係ない祭りだった、というのは薄っすらと知っていたが、まさかの一ミリも関係ないところからスタートであった。たまたま2/14に殉教してたので、その日に行われていた破廉恥なお祭りと置き換えられたという…。マジか。

新書763バレンタインデーの秘密 (平凡社新書 763) - 浜本隆志
新書763バレンタインデーの秘密 (平凡社新書 763) - 浜本隆志

大元となっているのはギリシャ神話の神デュオニュソスのお祭り、デュオニュソス祭。そこからローマにおいて、サトゥルナリア祭→ルペルカリア祭と姿を変えていくが、性愛と豊穣を願う祭りという本質は変わらない。
そう、バレンタインデーの「愛の日」の愛とは、元々は、肉体の結合と愛の果実(豊穣=子宝)を願う、古代東地中海世界ではお馴染みのお祭りであった。

だが、キリスト教が広まるにつれ、性悪の肉欲的な部分は好ましくないものとされていく。
その過程で、乱痴気騒ぎを含むルペルカリア祭を、もっと高められた愛(アガペー)的な愛の日に変えようとした。そこで、たたまたまたそのあたりで殉教していた聖人に後付で伝説を捏造して、「愛の守護聖人」に仕立て上げたのである。
純粋に歴史部分だけ見ると、たしかにバレンタインさん布教してただけで何もバレンタインデー的な人ではない…。

もちろん中世にはチョコレートはなく、贈り物を交換し合うという風習事態もそう古いものではないようなのだが、歴史を辿って変遷を見ていくと結構、おもしろいものがある。
異教的な祭りのガワを取っ替えたバレンタインデーは、その後も性愛的な側面を失っていなかったり、騎士道精神華やかなりし時代のフランスやイギリスの宮廷に取り入れられて貴婦人への愛を捧げる行為になっていたり、結婚式の口実に使われたり。

あとチョコレートに媚薬効果があると信じられていたこととかも、あーそういえばそうだったなあ…と思い出したりしていた。チョコ贈るのって元はそういうニュアンスもあったんだ。まあ今となっては、チョコに媚薬効果を期待するのは小学生あたりの雑誌に乗ってる「パレンタインデーチョコのおまじない❤」とかになってるんだけど…。

しかし思うのは、ここ最近のバレンタインデーのトレンドは、かつてと大きく変わったなということだ。
この本が出たのは10年くらい前、職場で義理チョコ的なのを贈るのはよくあった。私も職場のお姉様にもらったのした。
が、コロナ禍を挟んだ今となっては、そん風習は絶滅して久しい。バレンタインデーは、可愛いチョコや普段食べられなキラキラしたチョコを自分で、もしくは親しい人とのお茶会で一緒に食べる品である。
ていうかデパ地下で買った、テンションめちゃ上がるお高いチョコをわざわざ人にあげたりしない。これは自分のご褒美用。('ドッヤア)

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現代日本におけるバレンタインデーは、甘い物好きの祭典という側面も持っているように思われる。バレンタインさんは、食欲もしくは甘味の守護聖人もやってみてはいかがだろうか。日本でならそれで神の一柱になれると思うよ、ビリケンさんみたいに…。