古代エジプトの「皮産業」、調べてみたらほとんど研究されてなくてウヴァーってなったわ

古代エジプト人、高位神官とかがたまにヒョウ皮を着ている絵が出てくる。実はヒョウではなくチーターと思われる模様のものもかなり混じっているのだが、それはおいといて、「ヒョウは着るくせにライオンは着ないんだな、他にどんな種類着てたんだろ」と思ってちょっと調べてみた。

結果、皮産業の実体について研究した資料がほとんどない という、アレがアレした結果になってしまった。
た、蛸壺研究者ァ! ブルーオーシャンここにあるぞ! 早く! 参入するんだ!!
(某先生も、「ファイアンス研究者がいないから」ってそこに突っ込んでいったしな…)

というのは置いといて、とりあえず今ある資料。

https://link.springer.com/referenceworkentry/10.1007/978-94-007-3934-5_9365-2
https://escholarship.org/uc/item/13g5n8th

とりあえず、このへんから辿った。
皮産業自体は古王国時代から知られており、「職業の風刺」という文学でも、革職人は指ボロボロになるからキツいぞーとか書いてあるので、一般的な職業の一つだったはずだ。また、手工芸に関する語彙が多数知られており、かなり専門的な工程があったと推測される。
ただ、実体が分からない。
どのくらいの規模で、どのくらいの値段で取引されて、どんな種類があったのか?

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↑がレクミラさんの墓に描かれたクラフトワークの場面。
壺に漬け込んだあと広げてなめしているっぽい場面があるが、タンニンを使うなめし技術が入ってくるのはローマ時代。それまでは塩とか使っていたのでは?と言われているが、分かっていない。

サンダルや、装飾品の裏張りとして切り分けられているような場面があるが、実際に革製サンダルは一般的だったらしい。
古代エジプトもののイラストなどだとサンダルが地味なことが多いのだが、実は、一般的にサンダルはカラフル。よく使われる色は赤色と緑色の組み合わせだ。

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染料は主に植物で、セイヨウアカネ(赤)、アフリカの藍(青)、ザクロ(黄と黒)などをミョウバンで固定させる。金のサンダルは葬式用か王の儀礼用で、それ以外のサンダルで金箔が使われるのはコプト時代なのでだいぶあと。装飾がわりにビス打ってるやつとか豪華なのもある。

皮が使われた場面としては軍事産業もあり、たとえばツタンカーメン墓から出ている革鎧のように、細かく切った皮をうろこのように重ねて結び合わせるタイプが一般的だった。

…という感じで、分かってることがマジで少なくて、種類がどうこうどころじゃなかった(笑
いやさ、牛皮なのか羊なのか豚なのかとか、せめて革の種類くらい分析しててくれよ。たぶんそれで家畜の屠殺規模も分かる。

古代エジプト、遺物の残りがいいわりに研究されてないジャンルも多いんで、本に出てこなくて「あれっ」て思ったとこから研究してってほしいんですよね。頼みますよ本職の人たち。

>>つづき
いい研究あったよ!

古代エジプトの皮なめし資料。最近の説だとタンニン鞣しは「昔からあったかも」になっているらしい
https://55096962.seesaa.net/article/503011022.html