カナリア諸島、最初の移住者たちの実態が遺伝子から明らかに。だがスペインさんが大航海時代(以下いつもの)

DOLプレイヤーなら座標ごと暗証できるだろうおなじみのカナリア諸島、あとメーデー民もテネリフェのせいで位置が完璧に分かるこの諸島、一般人向けに図で説明すると、ここである。アフリカの西側にくっついてる島。

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ここに住んでいた先住民は、長らくどういう人達ななのか知られていなかった。アウストラロピテクスの時代からいたのでは? と言われることもあったが、このたび遺骨の調査がされ、北アフリカに住んでいたベルベル人(自称としてはアマジグ人 Amazigh)系の人々で、おそらく1000年以上前に船で渡ったあと、航海技術が廃れてそのまま取り残されたのだという結果になったようだ。

A THOUSAND YEARS OF SOLITUDE
https://www.science.org/content/article/humans-survive-alone-1000-years-desert-islands-off-africa

各島の辿った歴史は、気候条件に寄ってもだいぶ違う。
たとえば、大きめで山のあるグラン・カナリア島では降水量が十分だったため、農耕がずっと継続した。しかし雨が足りなかった島では、農耕が廃れてしまったところもあるという。
元々存在した作物は大麦、デュラム小麦、レンズ豆、空豆、イチジクなどだが、グラン・カナリア島でも小麦が途中で消えて大麦になっている。おそらく乾燥に強かったためだ。航海技術が消失して以降の気候変動で作物栽培が不能になったあと、再導入されなかったのだろう。

場合によっては、生活は苦しかったかもしれない。暴力はそこそこ多かったようで、人骨に暴力の痕跡もあるという。おそらくイースター島の末期のように、儀礼的な戦争による殺人があったのではないかと思う。飢餓のための口減らし、もしくは集団ストレスのはけ口だ。
ただしこれは、それぞれの島の大きさや気候条件によっても異なっている。生きるのがキツかった島と、そうでなかった島があるということだ。

彼らの運命は、1402年にスペインの兵士がランサローテ島に上陸したところから暗転し続ける。
虐殺、征服、いつもの大航海時代の闇である。1496年にスペインがテネリフェ島で先住民の戦士たちを屈服させてすべての島の征服が完了した時には、十万人から六万人いたとされる先住民は僅か数千人になっていたという。

この虐殺が、ほんの500年前のこと。
現在のカナリア諸島に住む人々の遺伝子の先住民由来の割合は10%以下だというが、何万年も昔に交雑したネアンデルタールの遺伝子が我々の中に5%程度残っていることをか考えると、ほとんど人が残らなかったんだな、という印象を受ける。
征服されたあとの先住民は奴隷にされたりしていたようなので、まあ、カリブ先住民と同じだなと…。


彼らが持っていた航海技術がどのようなもので、どうして廃れたのかなど判らないことは沢山あるのだが、消えてしまった文化が島の歴史として蘇るといいね。


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似たような話だと、アゾレス諸島の先住民についても以前書いた。

こっちはいつの間にか人が消えて、ポルトガル人が辿り着いた時には無人になっていたらしい。なんとなく、ヴァイキングが先行してて定住しなかったから人が消えたような気がしなくもないが…こっちも、その後の研究とか気になる。

アゾレスアゾレス! アゾレスに最初に移住した人は誰なのか、という話
https://55096962.seesaa.net/article/202110article_7.html