ピラミッドの基本的な構造と「玄室は地下または地表に近い所にある」という基本ルール
ピラミッドについては、日本語で読める概要本はたくさんあるので適当に探してほしいのだが、皆が創造する四角錐のピラミッド、内部構造はかなりシンプルである。
部屋がたくさんあったり、罠が仕掛けてあったりするのはファンタジーかゲームの世界だけなのだ。扉も一介閉ざしたらもう開けない。というか開けたら意味がないので。
という話をしておきたい。
まず代表的なピラミッドの断面図がこれ。玄室=埋葬室は、基本的に地表すれすれまたは地下にある。
クフ王のピラミッドだけちょっと異例なのである。しかし、そのクフ王のピラミッドでも未完成とはいえ地下に玄室構造があるため、と宇宙で計画変更したものの、基本形自体は踏襲している。
地下に玄室を作ってから上に石積みを構成していくのが基本なので、たとえば、在位1年程度のバーカー王のピラミッドでは、石積本体がなく、最初に作られたと思しき地下構造の部分だけが残されてこんな感じになっている。
石積みのとちゅうに埋葬室を設定すると難易度は上がるし耐久性がさがるが、最初に作っとけば王がいきなり死んでもとりあえず埋葬するところはあるのでまだマシだったのではないかと思う…。
つまり、空中に玄室を設定している創作物は、ピラミッド全般を見ずにクフ王の特殊なピラミッドだけ見て設定している可能性が高い。金閣寺だけ見て日本のお寺を全部、金張りにしちゃうような話なので、なんちゃってエジプト感が高まる。
また、そもそもの話をすれば、石積みの中にいくつも部屋を作ると、そのぶん空間が増えて耐久度が下がり、石が割れるか崩壊する聞け生が高まる。重量を支えるのは鉄骨とかじゃなくただの石。しかも花崗岩とか固いやつじゃなくて砂岩とか比較的柔らかいやつ。内部に通路とか部屋とかたくさん作るのは物理的に無理。複雑な回廊を持つジェセルのピラミッドの構造も、回廊部分は石積の中ではなくその下の岩盤の中に掘っている。「ピラミッドは下の岩盤掘った部分+その上の石積みという構成」という基本は、忘れないようにしておきたい。
ピラミッド - アルベルト シリオッティ, Siliotti,Alberto, 文夫, 矢島, 春美, 吉田
ピラミッド大全 - ミロスラフ ヴェルナー, Verner,Miroslav, 拓也, 津山
それと、忘れてはいけないのが、単品で建っているピラミッドはないということ。
必ず周囲に葬祭殿や神殿など複合施設がある。場合によっては外周壁とか家臣の墓とかもある。ピラミッドは王を埋葬する施設なので、王を埋葬したあとにお墓参り儀礼がある。古王国時代なら、ピラミッド前に葬祭儀礼をやる人たちの門前町みたいなものもあった。
そもそもが、太陽信仰や古い時代の星辰信仰と結びついた建造物なので、信仰のための設備が付属していないと作る意味がない。
逆に言えば、太陽神への信仰の形が変わったり、星辰信仰が廃れたりするとともに作る意味がなくなってピラミッド時代は終わる。新王国時代にピラミッド作りが廃れたのは、信仰のあり方の変化も関係している。死者がオシリスとして地下世界に復活するのなら、魂が天に昇るための設備は、とくに作らなくてもいいんである。
というわけなので、エジプトといえばピラミッドだけど、リアルで考えると意外と使い所ないよ?というお話。
むしろ多用するとナンチャッテ感ばっかり増していくんですよ…。
部屋がたくさんあったり、罠が仕掛けてあったりするのはファンタジーかゲームの世界だけなのだ。扉も一介閉ざしたらもう開けない。というか開けたら意味がないので。
という話をしておきたい。
まず代表的なピラミッドの断面図がこれ。玄室=埋葬室は、基本的に地表すれすれまたは地下にある。
クフ王のピラミッドだけちょっと異例なのである。しかし、そのクフ王のピラミッドでも未完成とはいえ地下に玄室構造があるため、と宇宙で計画変更したものの、基本形自体は踏襲している。
地下に玄室を作ってから上に石積みを構成していくのが基本なので、たとえば、在位1年程度のバーカー王のピラミッドでは、石積本体がなく、最初に作られたと思しき地下構造の部分だけが残されてこんな感じになっている。
石積みのとちゅうに埋葬室を設定すると難易度は上がるし耐久性がさがるが、最初に作っとけば王がいきなり死んでもとりあえず埋葬するところはあるのでまだマシだったのではないかと思う…。
つまり、空中に玄室を設定している創作物は、ピラミッド全般を見ずにクフ王の特殊なピラミッドだけ見て設定している可能性が高い。金閣寺だけ見て日本のお寺を全部、金張りにしちゃうような話なので、なんちゃってエジプト感が高まる。
また、そもそもの話をすれば、石積みの中にいくつも部屋を作ると、そのぶん空間が増えて耐久度が下がり、石が割れるか崩壊する聞け生が高まる。重量を支えるのは鉄骨とかじゃなくただの石。しかも花崗岩とか固いやつじゃなくて砂岩とか比較的柔らかいやつ。内部に通路とか部屋とかたくさん作るのは物理的に無理。複雑な回廊を持つジェセルのピラミッドの構造も、回廊部分は石積の中ではなくその下の岩盤の中に掘っている。「ピラミッドは下の岩盤掘った部分+その上の石積みという構成」という基本は、忘れないようにしておきたい。
ピラミッド - アルベルト シリオッティ, Siliotti,Alberto, 文夫, 矢島, 春美, 吉田
ピラミッド大全 - ミロスラフ ヴェルナー, Verner,Miroslav, 拓也, 津山
それと、忘れてはいけないのが、単品で建っているピラミッドはないということ。
必ず周囲に葬祭殿や神殿など複合施設がある。場合によっては外周壁とか家臣の墓とかもある。ピラミッドは王を埋葬する施設なので、王を埋葬したあとにお墓参り儀礼がある。古王国時代なら、ピラミッド前に葬祭儀礼をやる人たちの門前町みたいなものもあった。
そもそもが、太陽信仰や古い時代の星辰信仰と結びついた建造物なので、信仰のための設備が付属していないと作る意味がない。
逆に言えば、太陽神への信仰の形が変わったり、星辰信仰が廃れたりするとともに作る意味がなくなってピラミッド時代は終わる。新王国時代にピラミッド作りが廃れたのは、信仰のあり方の変化も関係している。死者がオシリスとして地下世界に復活するのなら、魂が天に昇るための設備は、とくに作らなくてもいいんである。
というわけなので、エジプトといえばピラミッドだけど、リアルで考えると意外と使い所ないよ?というお話。
むしろ多用するとナンチャッテ感ばっかり増していくんですよ…。