第31回西アジア発掘調査報告会 参加メモ①

今年も、そっと紛れ込んできた。アジェンダとか報告内容は以下参照。
オンライン参加とはいえ2日間フル参加する余裕はなかったので、興味のある古い時代の遺跡メインで聞いてきた。
http://jswaa.org/240323-2/

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① 南コーカサス地方のネアンデルタール人 ─アゼルバイジャン第 14 次発掘調査(2023 年)

ネアンデルタール人を探しにきたよ。ダムジリ遺跡は中石器→新石器時代への変遷が分かった。いま発掘調査報告書つくってるよ!
石器にムステリアンが入っている
コーカサスも人種回廊でいろんな石器が集まってきている

アルメニアとアゼルバイジャン戦争してたから一部危ないらしい。アルメニアの染料・撤退で町の再建中❤ 再開発してるので発掘も忙しい

アリエフ大統領なにしてるんすか
アズフ洞窟はダンジョンとして楽しそう。カルストで洞窟になってるらしい。オルドワン石器も出るんですか
オルドワン?→ヤブルディアン?→ムステリアンの順番で石器の層あり
ロシアさんもそこ発掘してるんだ…

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②石灰岩の丘に暮らした狩猟採集民─トルコ、チャクマックテペ遺跡第 3 次調査(2023 年)

石の丘という意味の遺跡
近くにギョベックリ・テペやカラハン・テペもある
似たような石彫りの石柱が出ている
このあたりけっこう広い範囲に遺跡あるんだなぁ…
遺跡の石はバッキバキに廃棄されてる
予想と反する結果(ドンッ) 石壁に使われている石材について
柔らかめの石灰岩を加工していて、シャンウルファの遺跡とユーフラテス川中流地域に文化的な関連ありそう
チャクマックテぺはT字石柱の出現前、古いPPNA期かなと予想
これから掘って調べるよ! まだ三次だから今後に期待

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③南東アナトリア先土器新石器時代の丘上遺跡 ─ハルベトスワン・テペシ遺跡の第 2 次調査(2023 年)

ギョベックリ・テペ遺跡と近いあたりの遺跡、周辺に同じくらいの時代の遺跡がたくさん隠れている
メソポタミアの北の端という位置づけ
そんなに大きくない遺跡 最下層見つけたい
わかんない石器が出てきたよ、なんか上部に刻みがあるので類似例を探してる
ギョベックリテペみたいな丸い建物はなさそう。
いい写真がなかったので猫をいれました(キリッ) ←わろた

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④アルメニアにおける先史文化の解明 ─レルナゴーグ遺跡の発掘調査(2023 年)─

遺跡が川の側にあって流されるかもしれないと思ってた
アルメニアとの合同調査、心配だったので見に行ってほしかったけどいってくれなかった…
黒曜石がたくさん出てきたがそれ以外あんまり出てこないザ・火山帯遺跡。遺跡の中にパミス(岩盤部分)があって、崩れたものではなく遺跡の最下層らしい。火山からの噴出物に粘土層が載ってる構造が面白いなと思った。

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⑤中央アナトリアにおける銅石器時代解明へ向けて ─キュルテペ遺跡中央トレンチ発掘調査 2023 年

メソポタミアでいうとウルクの時代なんだというのを強調していた。
ワルシャマという王様が作ってて一辺100mの通称ワルシャマ宮殿。一瞬ワルシャワに聞こえて え?? ってなったのは内緒。

フルーツスタンドと呼ばれる土器が出ている。なんかかわいい。
大規模建造物はメソポタミアと同時期かもしれない。アナトリアでの都市成立の歴史はメソポタミアとは違う過程かもしれないとのこと。

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⑥ホモ・サピエンスの拡散・定着期における文化動態 ─南ヨルダン、ヒスマ盆地西部の旧石器遺跡調査(2023 年)─

アフリカからホモサピエンスが進出、ヨーロッパからネタンデルタールが南下りレヴァント(シリアあたり)で出会う
5万年前以降に広くホモサピエンスが広がっていく、他の人間は絶滅。その時なにがあったのか知りたいので出会いの場を調べている。

ネアンデルタールがいた時代のトール・サビハ遺跡の調査。現在は雨ほとんど降らない

ヤギのふんっぽいチョコチップ状の堆積物あり。
昔の人が掘っちゃったので地層けずれてる。近くに石器の素材がないのでどこから持ってきたか探した。
石器はいいよね…石器はロマン…

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⑦肥沃な三日月地帯東部の新石器化─イラク・クルディスタン、スレマニ地域チャルモ遺跡の調査(2023)

T先生お元気そうで何よりです…
ブレイドウッドが最初に発掘に選んだところだが、農耕の遺跡とわかりづらく、よくこんな丘陵地帯掘ったなぁって感じの場所らしい。
湧水農耕ではないと言われていたが、湧水もけっこう使ってたのでは?遺跡付近の谷間に湧水あり。
動物土偶がめっちゃ出る。スフィンクスっぽいと何度も言ってた
エスカルゴの一種(カタツムリ)出てきたので食べてるかも 2万点以上でてきて数えるのいやんなった、という愚痴…w
セイタカ草(カミシュ)はゴザなどにも使うが、日陰にするために家の近くに植える。現代の集落だとそう。遺跡の人もそうだったかも?

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⑧新石器化と都市化のはざま─イラク・クルディスタン、シャカル・テペ遺跡の第 2 次発掘調査(2023 年)─

チャルモと同じクルディスタンの発掘。肥沃な三日月地帯の端っこ、メソポタミアに乗り出していった農耕民の研究をしてる。
ダム湖の水位が年によって違う、前に掘った遺跡は水の底…いってみないと分からないマジ水際
北メソポタミアのハラフ土器はもっと彩色があるけど、このへんの土器は汚い、と言っていた。(土器が伝播した東はしで遅い時期なのでそうなるらしい)
カタツムリはこの遺跡からも多少出ている。

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⑨初期鉄器時代と初期ローマ時代のテル・レヘシュ─イスラエル、テル・レヘシュ第 13 次発掘調査(2023 年)─

ちょっと新しい時代の報告。
トトメス3世の時代の記録にある都市でそこそこデカかったはず
ふいごなどが大量に出ているので、金属生産をやってた遺跡かも?
後期青銅器時代から鉄器時代初期にかけての層。
まあローマなんでローマだなあって感じの遺跡。

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**初日で参加したのはここまで**


温泉宿なので各先生方はこれから交流会堪能されることでしょう。