第31回西アジア発掘調査報告会 参加メモ②

二日目はアラビアとエジプト部分を聞いてきた。アジェンダとか配布資料は以下参照。
http://jswaa.org/240323-2/

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(13)南東アラビア山麓峡谷における人間活動を探る
─オマーン、タヌーフ地区における考古学調査(2022~2023 年)


渓谷ならではの地形
採集できる遺物が少なくて時期の特定が難しい。
新石器時代からイスラーム期に至る遺跡の重なりがある。
発掘現場の写真に街がけっこう映り込んでて、この石積よく遺跡ってわかったな??? っていう感じ。
いろんな時代の遺跡混じってると年代の特定難しいよね…
時代ごとに墓の形態が変わる。集葬墓から個人墓(おひとりさま墓)になる


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(14)ディルムンを掘る
─バハレーン、ワーディー・アッ=サイル考古学プロジェクト 2023


毎年この時期はズビズビいってた先生だけど今回楽そうだったからたぶん少ないんだな花粉…

ディルムンはウル第三王朝の崩壊後の混乱期に勢力を延ばした。
古い時代、形成期の古墳はワディ・アッサイルしか残っていない。他は開発されちゃった
見た目ただの荒野。

15歳で成人、成人越えると古墳作り始める文化、子供が先立つと親の墓のそばに子供のちっちゃい墓を作る。
お墓へのこだわり大きすぎて狭い島は墓だらけ。
子持ち古墳の子供の墓の場所の違いを確認するため、自分の息子で墓の大きさをはかるマッドさ嫌いじゃない
7歳の息子は墓に入らないので子供が小さい時の墓ほど親の墓に近いのでは。
(でも当時の子供って今の子供と体格一緒なんか…?)
先に死んだ子供の数多すぎるので、一夫多妻社会で親の墓は父親なのでは? という推測

人骨ボロボロすぎて調査大変そう。
ヤギ・ヒツジ出ているので島には持ちこまれていたんだろうなと思いながらスライド見てた。

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(15)バハレーン・ティロス期の古墳の被葬者を探る
─マカバ第 1 号墳の調査 2023 ─


バーレーンにおけるパルミラ人や東地中海の人の活動を調べている。
ティロスはペルシャ湾に面しててパルミラからは遠い。
テュロスの社会がわからなさすぎて手探り状態。片っ端から盗掘されてて出てくるものが少ないらしい。
黒漆喰というのが何かわからん、あとで調べる。

どの墓の人骨が地中海人なのかの特定が出来ない
副葬品で分かるかというのも微妙だし人骨の分析だけだと厳しそう、証拠探しの旅はまだ続く…

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(16)中世の港町の構造を探る
─サウジアラビア紅海沿岸ハウラー遺跡の考古学調査(2023)─


サウジの海岸の港町少ないから対岸エジプトのベレニケとか参考にしている
ベレニケは近くに墓があったりして集落の暮らしがあった。たぶん似てるはず
ヒジャーズ地方で、聖地巡礼ルートの一つ
ハウラーはナバテア人の使っていた港の有力候補の一つ

大事な場所はホテルとか商店街になってて、荒らされはしないけど調査できない。
ハウラーは港と集落に分かれて要塞っぽいとこもある
集落の遺跡だけど壁しかない。
白釉陶器など中国産の出土品あり。海沿いの港街なら交易はしていたか。

リモートセンシングと碑文の合せ技。碑文の書かれている場所の条件を精査してリモートセンシングで候補地を出して実地調査していた。
けっこう見つかったらしい。

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(17)ウセルハト墓(TT47)とコンスウエムヘブ墓(KHT02)
─エジプト、ネクロポリス・テーベ、アル=コーカ地区、第 14 次調査─


うん、あれですね。アジェンダの半分以上なんかエジプトに対する愚痴
いつものK先生の飲み屋トーク。
ポスター発表の人と入れ替えたほうが良かったんじゃないかな。

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(18)エジプト、サッカラ・ネクロポリスの展開を探る
─エジプト、第 6 次・第 7 次北サッカラ遺跡調査(2023)─


堆積土が多くて外国調査隊が滅多に調査しないサッカラ東部斜面を掘っている
サッカラには新王国時代墓地もある。ローマ時代のカタコンベもある。墓密集
サッカラの集落の位置は時代ごとにずれてて、先王朝時代は台地のすぐ下にあった

グレコローマンの遺跡、水平な通路に横に穴ほって拡張していくタイプの墓。コロナ禍で知らない間にアレキサンドリアに輸送されちゃった❤
出てきた遺物はシャルムエルシェイクの博物館に持っていかれたので見に行ったらしい。

こないだニュースになってた発見物、第二王朝の埋葬はシロアリで木が食われてて人骨だけ四角い枠の中に残ってるのはシュール。
このエリア色々出てくるけど時代がバラバラだから「xx時代のxx見つかりました」ばかりになっちゃってまとまりがないなという感じの発表

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(19)ヘレニズム村落の構造を探る
─エジプト・イドゥク湖沿岸コーム・アル=ディバーゥ遺跡の考古学調査(2023)─


アサクリでめっちゃ該当地探して走り回ったあの遺跡。
元もと砂丘に囲まれていた遺跡で、近代の開発でそこが果樹園になった。遺跡のとこだけ砂丘残ってる

リビア沙漠に近いところなので歴代の要塞が築かれてきた場所。ちょうどこないだ調べたやつ
メンフィス防衛のために河口に要塞を作ってた。
今は湖とか縮小しちゃってて風景全然違うのだが、ナイル川沿いとはライフスタイル違うと思うから生活復元してみるたい。
本出してたやつやね…

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(20)紀元前 2 千年紀エジプトの葬制の変遷を探る
─ダハシュール北遺跡第 29 次調査(2023)


メンフィス近郊の新王国時代の墓所
テーベとメンフィスは物質文化が異なるかの研究
メンフィス地域中心の編年が必要では。新王国時代の遺跡というとテーベ周辺の研究が多くて、メンフィス近辺が少ない。

墓の再利用とか使用期間が長いと特定時期の副葬品や埋葬習慣が特定しづらい、ダハシュール北はコンパクトな墓が多いので分析しやすい。
盗掘されすぎて残ってるものはめっちゃ断片。棺の足の部分とかの断片だけでパズルピース。「よくわかりませんでした。」←素直
第18王朝あたりのテーベとメンフィスはそんなに違わない。20王朝あたりだとちょっと分かれる感じが見える。

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以上。
エジプト関連は他でも聞いてる話だった。最後の方、「二日目で帰る人の電車の時間とかあるから時間厳守」って言ってたけど、みなさん帰れましたかね。
地方開催すると帰るのが大変だからね…。