古代エジプトで儀式に使われた「七種の聖油」とその内訳

古代エジプトには、七つの聖油、または七種の聖油と呼ばれる儀礼的な特別な油がある。
日本語であるかなーっと思ってググったら、なんか微妙に不正確なのが出てきたので、自分で書いておく…。

●儀式用の高級油のこと
●実は七種類以上ある
●言葉の意味するところがわからん油がある


これらの油は、主にミイラの「口開けの儀式」に用いられていたものになる。
油は四肢に力をみなぎらせるものとされ、医療でも使われている。実際には7種類以上あったが、代表例は以下。

(1)ash-oil アシュ油(針葉樹の油?)
(2)nekhenem-oil ネヘネム油(意味は不詳)
(3)hekenu-oil ヘケヌ油(賛美の油)
(4)Tjehenu-oil チェへヌウ油(リビアの油)
(5)tuaut-oil テワト油(意味は不詳)
(6)sefetj-oil セフェティ油(意味は不詳)
(7)setji-heb セティ=ヘブ(祭りの香り)

(ex)iber-oil 昔は数に入っていなかったやつ、途中から追加


*綴りは「Tomb Treasures of the Late Middle Kingdom」から、和訳部分は「大英博物館 古代エジプト百科事典」から。説明は両方をドッキング

なんで7種類以上あるんだって? そんなの古代エジプト人だからですよ。オグドアド(八柱神)だって一組予備が設定されてて実際は十柱ですよ。補欠設定したいお年頃なんですよ多分。伝統の保持を重要視していると見せかけて、けっこう途中で変えてくるのが古代エジプト! もう慣れた! 笑

油を入れるパレットと呼ばれる入れ物には、油の名前が書かれている。パレット自体は七種類しか書かないので、上記+αの油が入れ替わることがある、というわけ。入れるところはかなり小さいので、数滴アレば儀式には事足りたらしい。つまり、棺の上から直接掛けていた香油などとは種類が別。
七種の聖油を使う儀式は第一王朝から知られており、ピラミッド・テキストにも表現されるが、新王国時代末になると儀式に現れるものは二種類くらいに減っているらしい。

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あと、どうでもいいのだが、この七種類の聖なる油、探すと通販されていますw
が、上述したとおり原料が何だったのか、そもそも単語の意味すらはっきりしない油もあるため、勝手にそれっぽい(諸説あるような)訳語を当てて販売してると思われます。訳語が分かってても内容がわからんですからね。リビアの油って何だよ。特定できねえよ。

余談ですが、医療パピルスに記述のある「ケフティウ(クレタ)豆」も、探してるけどいまだに正体が分からんです。
翻訳出来ても意味がわからん。これが古代語の世界…ッ。