古代エジプトの「書記」にはレベル差がある。識字率は低いと言われるが別に全部読めなくてもいい

突然だが、古代世界の識字率の低さについて、実際は一般的な認識と違ってただろう部分について語りたい。
古代エジプトの場合、全く文字がわからない人は、実はそれほど多くないと思われる。なんでかというと、たぶん数字くらいは分かってたからだ。

採石場に「今日はここまでやった」みたいメモ書きを残していた作業者たちがいる。工房から、つたない文字の書かれた陶片の落書きが出てくる。つまり作業者や工房の職人たちは仕事で使う数字や日付の書き方、よく使う単語くらいは知っている。
(ただし計算は苦手だったぽく、採石場の壁に書かれていた計算が間違えてるとか、失敗してる部分がしばしば見かけられる…)

まあ普通に考えてほしいのだが、商売やるのに在庫管理くらいはするのではないだろうか。
仕事どこまで終わったかのメモ書きくらいはするだろうし、何よりエジプトの文字、数字は覚えるのが簡単な形をしている。日本に来たばかりの外国人でいうところの「ひらがなと数字だけ分かる」くらいのレベルなら、すぐに到達することが出来る。

神官や役人は公式文書を書かないといけないし、儀礼用の難しい単語まで知っている必要があるので勉強しっかりしないといけないし、それなりに才能がないとダメな狭き門だったはずなのだけれど、それ以外の「日常用語くらい知ってればイケる」という幅は意外に広い。
つまり、完全な文盲率は、そこまででもないと思われる。

古代世界の識字率はだいたい1%、高くてせいぜい2-3%ではとされることが多いが、自分は、「日常用語くらい知ってる」部分まで入れると7-8%くらいいってたのではないかと思ってる。これは農民以外の人口と都市住民の率からの推測になる。
農民は完全文盲でもいけると思うが、都市で工房などに就職してる人たちだと、完全文盲では仕事にならんでしょうよ、と。イメージ的には江戸の町民みたいなもんですからね。

ガッチガチの官僚社会で、たった1%のエリートが国中の税金計算と物資や流通の管理を全部やってたとは考えにくいです。