何の救いもないバッドエンドがお好みの人向け「パレスチナの民族浄化」
タイトルのとおりの内容の本で、「イエラエル建国の際に先住民をいかにして追い払ったか、虐殺したか」という内容の本である。実はこれを書いてる時点では半分しか読めていない。重たいというよりは、かなりメンタルにくる内容なので、一気読みは難しい。
そして、この本が書かれたのは2006年であり、今は2024年。つまり、我々はこの本の書かれた時代のあとに来るバッド展開をよく知っている。
パレスチナの民族浄化: イスラエル建国の暴力 (サピエンティア 50) - イラン・パペ, 田浪 亜央江, 早尾 貴紀
歴史の本というものは、多少は希望をもたせるのがお約束である。
でも、そうはならない。ならないことを知っている。
何の希望もない未来が来ると分かっていながら、物語と違って現実には幕引きというものが無いのである。
*****
まず知っておくべきことは、1947年時点で、現在のイスラエルと呼ばれている地域には、多数の先住民(アラブ人)がいた、ということである。
そこに、多くの移住者たちから成る新しい国を作っていいよ、と勝手に列強国(主にイギリスだが国連も関与している)が決めた。
ということは、元の住民はどうなったのか?
虐殺されるか、追い出されたのである。
これをアラブ側は「ナクバ」(大離散とか、大厄災と訳されることが多い)と呼ぶ。
概要については、BBCの日本語ページにもある。さすがに当事者は語るよね。ウソはついていない、書き方がだいぶマイルドだけど。
このページの内容をさらに細かく、エグいところまで書いているのがこの本になる。
【解説】 イスラエル・ガザ戦争 対立の歴史をさかのぼる
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-67123651
実際には、イスラエルはガチの「村焼き」をやってビラを撒き、現地住民を脅して追い払った。それを「自主撤退」、勝手にいなくなったと表現した。で、逆らって攻撃してきてユダヤ人が殺されると、「これはホロコーストだ」と言って、応戦する大義名分に振りかざした。村焼きについては、「部下が勝手にやりましたゴメン! 調査します」と謝罪しておいた。
…うん。なんか、最近見たな、そういうやつ…
いや同じこと繰り返してるんですけどね。
パレスチナ人側からすれば、イギリスやアメリカが支援して勝手に自分たちの故郷を「イスラエル人に半分渡しなさい」とか言われて切り分けられた挙げ句、暴力で追い払われているのに一時的なつもりで国外に逃げ出したら「自主避難」とか言われて故郷の土地は移住者たちに取られてしまったわけである。
で、抵抗しても列強が背後についてて武器の提供とかしてるので絶対勝てない。
そうして、どんどん土地を奪われて、今や住める土地もほとんど無くなってしまった。
この状況で何が出来るのか。
テロはもちろんいけないが、抵抗手段がゲリラくらいしかないし、何としても国際社会の注目を引き続けなければと焦る気持ちも分かる。
そもそもの発端からして悲劇だし、解決しようにも今からもう一回イスラエル人をよそに移住させることも出来ない。
今起きている衝突を見る限り、イスラエル上層部の考え方は1947年当時とほぼ同じだし、まさに今やっていることは、過去に途中までしか出来なかった民族浄化の続きだ。まあ、アメリカも止めないっぽいし、バッドエンドしかない。
ただし、歴史として、起きたことから目をそらしてはならない。
元々人がたくさん住んでたところに、いきなり国を作ったのだ。何の暴力も起きなかったはずはなく、実際に悲劇が起きていた。
そして、これは、宗教問題ではない。
ユダヤ教とか全然関係ない。ユダヤ教の教義には約束の地に戻れとは書いていない。
これは政治の問題であり、シオニスト運動という近代に生まれたカルト的な思想の流れが生み出した狂信の結果なのだ。
*****
この本と合わせて読むといいと思うのは以下。これもわりと重たい内容。
ユダヤ人の起源 (ちくま学芸文庫 サ 38-1) - シュロモー・サンド, 高橋 武智, 佐々木 康之, 木村 高子
読んだ時のレビュー
https://55096962.seesaa.net/article/503227770.html
*
そして、この本が書かれたのは2006年であり、今は2024年。つまり、我々はこの本の書かれた時代のあとに来るバッド展開をよく知っている。
パレスチナの民族浄化: イスラエル建国の暴力 (サピエンティア 50) - イラン・パペ, 田浪 亜央江, 早尾 貴紀
歴史の本というものは、多少は希望をもたせるのがお約束である。
「このまま行くと衝突が発生するぞ」「でもxxすれば回避できるかも」「希望はある。xxな人たちも出てきている」みたいな感じの記述で最後の章を〆るのが良くあるパターンである。どんな悲観的な内容の本でもそう。「もしもこの本を読んで、あなたが行動すれば最悪の未来は避けられるかもしれない」みたいなやつ。
でも、そうはならない。ならないことを知っている。
何の希望もない未来が来ると分かっていながら、物語と違って現実には幕引きというものが無いのである。
*****
まず知っておくべきことは、1947年時点で、現在のイスラエルと呼ばれている地域には、多数の先住民(アラブ人)がいた、ということである。
そこに、多くの移住者たちから成る新しい国を作っていいよ、と勝手に列強国(主にイギリスだが国連も関与している)が決めた。
ということは、元の住民はどうなったのか?
虐殺されるか、追い出されたのである。
これをアラブ側は「ナクバ」(大離散とか、大厄災と訳されることが多い)と呼ぶ。
概要については、BBCの日本語ページにもある。さすがに当事者は語るよね。ウソはついていない、書き方がだいぶマイルドだけど。
このページの内容をさらに細かく、エグいところまで書いているのがこの本になる。
【解説】 イスラエル・ガザ戦争 対立の歴史をさかのぼる
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-67123651
実際には、イスラエルはガチの「村焼き」をやってビラを撒き、現地住民を脅して追い払った。それを「自主撤退」、勝手にいなくなったと表現した。で、逆らって攻撃してきてユダヤ人が殺されると、「これはホロコーストだ」と言って、応戦する大義名分に振りかざした。村焼きについては、「部下が勝手にやりましたゴメン! 調査します」と謝罪しておいた。
…うん。なんか、最近見たな、そういうやつ…
いや同じこと繰り返してるんですけどね。
パレスチナ人側からすれば、イギリスやアメリカが支援して勝手に自分たちの故郷を「イスラエル人に半分渡しなさい」とか言われて切り分けられた挙げ句、暴力で追い払われているのに一時的なつもりで国外に逃げ出したら「自主避難」とか言われて故郷の土地は移住者たちに取られてしまったわけである。
で、抵抗しても列強が背後についてて武器の提供とかしてるので絶対勝てない。
そうして、どんどん土地を奪われて、今や住める土地もほとんど無くなってしまった。
この状況で何が出来るのか。
テロはもちろんいけないが、抵抗手段がゲリラくらいしかないし、何としても国際社会の注目を引き続けなければと焦る気持ちも分かる。
そもそもの発端からして悲劇だし、解決しようにも今からもう一回イスラエル人をよそに移住させることも出来ない。
今起きている衝突を見る限り、イスラエル上層部の考え方は1947年当時とほぼ同じだし、まさに今やっていることは、過去に途中までしか出来なかった民族浄化の続きだ。まあ、アメリカも止めないっぽいし、バッドエンドしかない。
ただし、歴史として、起きたことから目をそらしてはならない。
元々人がたくさん住んでたところに、いきなり国を作ったのだ。何の暴力も起きなかったはずはなく、実際に悲劇が起きていた。
そして、これは、宗教問題ではない。
ユダヤ教とか全然関係ない。ユダヤ教の教義には約束の地に戻れとは書いていない。
これは政治の問題であり、シオニスト運動という近代に生まれたカルト的な思想の流れが生み出した狂信の結果なのだ。
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この本と合わせて読むといいと思うのは以下。これもわりと重たい内容。
ユダヤ人の起源 (ちくま学芸文庫 サ 38-1) - シュロモー・サンド, 高橋 武智, 佐々木 康之, 木村 高子
読んだ時のレビュー
https://55096962.seesaa.net/article/503227770.html
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