古代世界のマラリアはどこまで広がっていた? 意外と分布図が広いことが明らかに
マラリアといえば、古代エジプトでも流行っており、ツタンカーメンにも感染の痕跡があったなどと話題になったことがある。
そのマラリアが、一体いつから、どのくらい広がっていたのか? というのを、古代人の遺体からマラリア原虫のDNA破片(DNAの特徴的な一部分の領域、ローカス)を検出して調べようぜ。という研究についての論文が出ていた。
なお、現代のマラリアには5種類あるが、今回調査されたのは、数の多い「熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、四日熱マラリア」の三種類。
熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum) ★今回の調査対象
三日熱マラリア原虫(P. vivax) ★今回の調査対象
卵形マラリア原虫(P. ovale)
四日熱マラリア原虫(P. malariae) ★今回の調査対象
二日熱マラリア(サルマラリア)(P. knowlesi)
要約された記事
Why did the ancient Maya sacrifice children? DNA provides clues
https://www.science.org/content/article/child-sacrifices-tied-to-mayan-hero-twin-myth-revealed-by-ancient-dna
元の論文
Oldest malaria cases reveal how humans spread the disease across the globe
https://www.science.org/content/article/oldest-malaria-cases-reveal-how-humans-spread-disease-across-globe
三日熱マラリアは約4千年前、熱帯性マラリアは千年前の感染が特定され、熱帯性マラリアの場合、チベット高原の約3千年前の遺体から出ているというのも面白い。チベット高原は寒くて乾燥しているので、マラリアはいない。だが、その人物はおそらく隣接するインドなどに出かけていて感染し、戻ってきてからマラリアで死んだのではないかとされている。
となると、当時のチベット人の交易がアジアの熱帯地域まで広がっていた可能性も見えてくる。
また、アメリカ大陸におけるマラリアの蔓延は、時期からして、おそらくアフリカから奴隷が持ちこまれたのとあわせて広がったのだろうという結果になったそうだ。天然痘やインフルエンザ以外にも、新大陸に持ち込まれた病気はあったのだ。
ただ、今回の調査が、現在も残っているマラリア原虫のDNAを使っているため、新大陸独自の種類のマラリアがいて、それが上書きされていた場合などは分からない、という。
旧大陸のほうでも、現存するマラリアの系統と全く異なる種類のマラリアがいて既に絶滅していた場合には、同じく拾うことが出来ない。なので、この研究はあくまで「一部」の知識にとどまることは理解しておくべきだろう。
ただ、その一部だけでも、古代世界のマラリア感染の広がりはなかなか面白い。今はもうマラリアのほぼ絶滅しているヨーロッパやロシアにも、マラリアが蔓延していた時期があるのだ。これ、おそらく気候が温暖化してた時期と連動しているのでは? あと、今回アフリカやアジアがあまり入っていなかったので、そこも次回調べてほしいなあ。まあ、遺体の残りが悪い地域なんですけどね…。
そのマラリアが、一体いつから、どのくらい広がっていたのか? というのを、古代人の遺体からマラリア原虫のDNA破片(DNAの特徴的な一部分の領域、ローカス)を検出して調べようぜ。という研究についての論文が出ていた。
なお、現代のマラリアには5種類あるが、今回調査されたのは、数の多い「熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、四日熱マラリア」の三種類。
熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum) ★今回の調査対象
三日熱マラリア原虫(P. vivax) ★今回の調査対象
卵形マラリア原虫(P. ovale)
四日熱マラリア原虫(P. malariae) ★今回の調査対象
二日熱マラリア(サルマラリア)(P. knowlesi)
要約された記事
Why did the ancient Maya sacrifice children? DNA provides clues
https://www.science.org/content/article/child-sacrifices-tied-to-mayan-hero-twin-myth-revealed-by-ancient-dna
元の論文
Oldest malaria cases reveal how humans spread the disease across the globe
https://www.science.org/content/article/oldest-malaria-cases-reveal-how-humans-spread-disease-across-globe
三日熱マラリアは約4千年前、熱帯性マラリアは千年前の感染が特定され、熱帯性マラリアの場合、チベット高原の約3千年前の遺体から出ているというのも面白い。チベット高原は寒くて乾燥しているので、マラリアはいない。だが、その人物はおそらく隣接するインドなどに出かけていて感染し、戻ってきてからマラリアで死んだのではないかとされている。
となると、当時のチベット人の交易がアジアの熱帯地域まで広がっていた可能性も見えてくる。
また、アメリカ大陸におけるマラリアの蔓延は、時期からして、おそらくアフリカから奴隷が持ちこまれたのとあわせて広がったのだろうという結果になったそうだ。天然痘やインフルエンザ以外にも、新大陸に持ち込まれた病気はあったのだ。
ただ、今回の調査が、現在も残っているマラリア原虫のDNAを使っているため、新大陸独自の種類のマラリアがいて、それが上書きされていた場合などは分からない、という。
旧大陸のほうでも、現存するマラリアの系統と全く異なる種類のマラリアがいて既に絶滅していた場合には、同じく拾うことが出来ない。なので、この研究はあくまで「一部」の知識にとどまることは理解しておくべきだろう。
ただ、その一部だけでも、古代世界のマラリア感染の広がりはなかなか面白い。今はもうマラリアのほぼ絶滅しているヨーロッパやロシアにも、マラリアが蔓延していた時期があるのだ。これ、おそらく気候が温暖化してた時期と連動しているのでは? あと、今回アフリカやアジアがあまり入っていなかったので、そこも次回調べてほしいなあ。まあ、遺体の残りが悪い地域なんですけどね…。