アサシンクリード・シャドウズ大炎上。だが過去作もけっこう雑な点はあったという話
暗殺者になってテンプル騎士団と戦うSF歴史アクションゲー、アサクリシリーズの最新作・シャドウズが炎上している。
今回は日本が舞台なのだが、日本人が主人公じゃない、日本史のリサーチが甘い、日本と思えない表現が多い、日本語トレイラーに中国語入ってた、などなど、いろんな方向から火が放たれて本能寺状態なのである。謀反人は明智だけだと思ってたら他の奴らも片っ端から攻め込んできて消し炭になりかけてるぞ。大丈夫かこれ。
で、日本が舞台、かつ資料や先行研究の多い時代だからいつもの倍増しでツッコミを受けているわけだが、大事なことがある。
●過去作も雑なところは雑だった。
そう、日本をナメているから雑にしたのではなく、過去作、エジプトやギリシャが舞台の時もかなりツッコミどころはあったのだ。
以下に色々まとめてあるので、具体的にどのへんが…というのはそちらを参照。
【雑学解説】アサシン・クリード・オリジンズ/マニア向けエジプト解説【元ネタ色々】
https://55096962.seesaa.net/article/201801article_4.html
諸説ある中でゲーム映えしそうな復元を使ったり、別の場所にある遺跡を合体させたりしているところは多々あった。ツッコまなかったけど、プトレマイオス朝なのにピラミッド作ってたり、しかもシナイ半島に何故か王墓があったりしたのも、まぁゲームだと思えば敢えてツッコむのも野暮だなと思っていた。
シリーズ全般として、地理がガバいのは伝統なのである。
ただ、2000年前でほとんど記録の残っていない古代エジプト末期や、すでに町並みなど残っていない古代ギリシャならともかく、たった500年前、武将の子孫すら生き残っているような日本を舞台にするのなら、いつも以上に表現には手をかけるべきだったと思う。
家紋のような大事なものすら適当な扱いにされたら、そら日本史フリークじゃなくても「脇が甘い」とツッコみたくなるところだろう。
また、今回、黒人の侍が主人公ということで揉めているが、過去作で主人公の職業や生い立ちが架空のものになっていたことはある。
古代エジプトが舞台のオリジンズでは、主人公は「ファラオの守護者メジャイ」という職業になっていた。
だが、そんな職業は実際にはない。似た職業があったとしても新王国時代の一部の期間、かつ首都周辺に在住のスイス傭兵的なポジションで、シーワ・オアシスなんて僻地に暮らしているのはゲームの都合だろう。
また、主人公が身につけている「メジャイの印」なるものも史実としては確認出来ない。というかただのウジャトの眼だったし。
アサシンクリード・オリジンズ/リアルさと"ゲーム向けの設定" (※ネタバレ記述なし)
https://55096962.seesaa.net/article/201711article_9.html
今回のシャドウズでは、このノリでヤスケを黒人侍にしてしまったのかなと思った。
また、「メジャイの印」を創作したように、適当に家紋を設定してしまったのかもしれない。まさかその家紋を現役で使ってる家系があるとは思っていなかったのかもしれない…。だとすればリサーチ不足というやつである。
ついでに、オリジンズの次作のオデッセイでも、女性主人公がスパルタ戦士をやっていたり、オリンピックに出たりしていた。(女性はオリンピックに出られないし、そもそも戦士なんて出来ない。要するにファンタジー設定)
主人公の生い立ち設定がガバいのも、毎回、家族関係が悲惨なのも、ある意味でこのシリーズのお約束である。
やってるノリも、考証に雑なところがあるのも今までのシリーズと同じなのだが、記録の残っていない地域・時代と、記録がもりもり残っている地域・時代では土台が違う。それをスタッフも広報も理解していなかったんだろうなと思う。
そして、個人的に一番やべぇと思っている問題が、ゲーム内に登場する実在の遺物が未許可で使用されていた、という問題である。
●過去作にも実在する遺物は多数出ていたが、許可は取られていたのか?
たとえばコレ。
時代的にはゲーム内と一致している遺物なので、おお! 今あの遺物が作られているところか! とキャッキャしながらプレイしていたのだが、まさか、このへんも未許可だったりするのか…?
というか、実在の遺物を「真似した」のではなく「そのもの」を出しているのって、わざとやっているんだとずっと思っていたので、今まで出していた遺物が実は未許可だったのなら、かなりショックだ。同人ゲーでもやらないでしょそんなの。権利関係どうなってんの…? 設定がガバいのはゲームなんだからで流せるけど、リーガル的な違反はだめだよ。
設定や時代考証は援護できる部分もあるのだが、さすがに今回はツッコミどころのほうが大きい…。
なお、「歴史としてなんてどうでもいい、ゲームとして面白ければいいだろ」とか言ってる人の9割9分くらいは実際にこのシリーズをプレイしていないと思う。
前作など、ゲームとして面白くないどころか、まともにプレイすら出来なかったくらい致命的なバグが多かった。
中の人はフルプライスで買ったにも関わらず致命的なバグを踏んで、その後、数年塩漬けにするという屈辱を味わった。
そして、あとは実況動画でバグ踏んで悲鳴を上げる実況者たちを見て楽しんでいた。
元々ここのゲームメーカーはオブジェクト管理が甘いところなのだが、シリーズ続編が出る事にどんどん悪化していっている。面白い面白くない以前にまともにプレイできるかどうかから話が始まる。
今作は果たしてまともにプレイできるかな?? そこからスタートだ。
さらに前々作でも、ストーリーがクソだった。というか心がすさんだ。
なので、人気作ではあるのでが、ゲームとして面白いかどうかがまず怪しい。エジプトが舞台のオリジンズは出来が良かったが、それ以降のシリーズはイケてないので、今回持ち直すかどうか…だったのだが、果たして改善されているのだろうか。
純粋にゲームとしては、前作でさんざん突っ込んだ「アサシンである意味がないだろ」の部分が一番イケてないと思う。
侍なんか主人公にしたら、”アサシンクリード"の意味が無いし、売りにしているステルスアクションが活かせない。日本には忍者というわかりやすいアイコンもあるのに、どういうこと。
ていうか、ちょうどアニメ放映してる「逃げ上手の若君」みたいな、攻撃力はイマイチだけど隙をつければ致命傷与えられる! 的なステルスアクションがやりたかった。
単にアクションするならゴースト・オブ・ツシマでいいんだよ…アサクリシリーズで出す意味が無いんだよ…。
歴史問題抜いても本能寺はきっと燃えてただろうな、と思う次第。
今回は日本が舞台なのだが、日本人が主人公じゃない、日本史のリサーチが甘い、日本と思えない表現が多い、日本語トレイラーに中国語入ってた、などなど、いろんな方向から火が放たれて本能寺状態なのである。謀反人は明智だけだと思ってたら他の奴らも片っ端から攻め込んできて消し炭になりかけてるぞ。大丈夫かこれ。
で、日本が舞台、かつ資料や先行研究の多い時代だからいつもの倍増しでツッコミを受けているわけだが、大事なことがある。
●過去作も雑なところは雑だった。
そう、日本をナメているから雑にしたのではなく、過去作、エジプトやギリシャが舞台の時もかなりツッコミどころはあったのだ。
以下に色々まとめてあるので、具体的にどのへんが…というのはそちらを参照。
【雑学解説】アサシン・クリード・オリジンズ/マニア向けエジプト解説【元ネタ色々】
https://55096962.seesaa.net/article/201801article_4.html
諸説ある中でゲーム映えしそうな復元を使ったり、別の場所にある遺跡を合体させたりしているところは多々あった。ツッコまなかったけど、プトレマイオス朝なのにピラミッド作ってたり、しかもシナイ半島に何故か王墓があったりしたのも、まぁゲームだと思えば敢えてツッコむのも野暮だなと思っていた。
シリーズ全般として、地理がガバいのは伝統なのである。
ただ、2000年前でほとんど記録の残っていない古代エジプト末期や、すでに町並みなど残っていない古代ギリシャならともかく、たった500年前、武将の子孫すら生き残っているような日本を舞台にするのなら、いつも以上に表現には手をかけるべきだったと思う。
家紋のような大事なものすら適当な扱いにされたら、そら日本史フリークじゃなくても「脇が甘い」とツッコみたくなるところだろう。
また、今回、黒人の侍が主人公ということで揉めているが、過去作で主人公の職業や生い立ちが架空のものになっていたことはある。
古代エジプトが舞台のオリジンズでは、主人公は「ファラオの守護者メジャイ」という職業になっていた。
だが、そんな職業は実際にはない。似た職業があったとしても新王国時代の一部の期間、かつ首都周辺に在住のスイス傭兵的なポジションで、シーワ・オアシスなんて僻地に暮らしているのはゲームの都合だろう。
また、主人公が身につけている「メジャイの印」なるものも史実としては確認出来ない。というかただのウジャトの眼だったし。
アサシンクリード・オリジンズ/リアルさと"ゲーム向けの設定" (※ネタバレ記述なし)
https://55096962.seesaa.net/article/201711article_9.html
今回のシャドウズでは、このノリでヤスケを黒人侍にしてしまったのかなと思った。
また、「メジャイの印」を創作したように、適当に家紋を設定してしまったのかもしれない。まさかその家紋を現役で使ってる家系があるとは思っていなかったのかもしれない…。だとすればリサーチ不足というやつである。
ついでに、オリジンズの次作のオデッセイでも、女性主人公がスパルタ戦士をやっていたり、オリンピックに出たりしていた。(女性はオリンピックに出られないし、そもそも戦士なんて出来ない。要するにファンタジー設定)
主人公の生い立ち設定がガバいのも、毎回、家族関係が悲惨なのも、ある意味でこのシリーズのお約束である。
やってるノリも、考証に雑なところがあるのも今までのシリーズと同じなのだが、記録の残っていない地域・時代と、記録がもりもり残っている地域・時代では土台が違う。それをスタッフも広報も理解していなかったんだろうなと思う。
そして、個人的に一番やべぇと思っている問題が、ゲーム内に登場する実在の遺物が未許可で使用されていた、という問題である。
●過去作にも実在する遺物は多数出ていたが、許可は取られていたのか?
たとえばコレ。
時代的にはゲーム内と一致している遺物なので、おお! 今あの遺物が作られているところか! とキャッキャしながらプレイしていたのだが、まさか、このへんも未許可だったりするのか…?
というか、実在の遺物を「真似した」のではなく「そのもの」を出しているのって、わざとやっているんだとずっと思っていたので、今まで出していた遺物が実は未許可だったのなら、かなりショックだ。同人ゲーでもやらないでしょそんなの。権利関係どうなってんの…? 設定がガバいのはゲームなんだからで流せるけど、リーガル的な違反はだめだよ。
設定や時代考証は援護できる部分もあるのだが、さすがに今回はツッコミどころのほうが大きい…。
なお、「歴史としてなんてどうでもいい、ゲームとして面白ければいいだろ」とか言ってる人の9割9分くらいは実際にこのシリーズをプレイしていないと思う。
前作など、ゲームとして面白くないどころか、まともにプレイすら出来なかったくらい致命的なバグが多かった。
中の人はフルプライスで買ったにも関わらず致命的なバグを踏んで、その後、数年塩漬けにするという屈辱を味わった。
そして、あとは実況動画でバグ踏んで悲鳴を上げる実況者たちを見て楽しんでいた。
元々ここのゲームメーカーはオブジェクト管理が甘いところなのだが、シリーズ続編が出る事にどんどん悪化していっている。面白い面白くない以前にまともにプレイできるかどうかから話が始まる。
今作は果たしてまともにプレイできるかな?? そこからスタートだ。
さらに前々作でも、ストーリーがクソだった。というか心がすさんだ。
なので、人気作ではあるのでが、ゲームとして面白いかどうかがまず怪しい。エジプトが舞台のオリジンズは出来が良かったが、それ以降のシリーズはイケてないので、今回持ち直すかどうか…だったのだが、果たして改善されているのだろうか。
純粋にゲームとしては、前作でさんざん突っ込んだ「アサシンである意味がないだろ」の部分が一番イケてないと思う。
侍なんか主人公にしたら、”アサシンクリード"の意味が無いし、売りにしているステルスアクションが活かせない。日本には忍者というわかりやすいアイコンもあるのに、どういうこと。
ていうか、ちょうどアニメ放映してる「逃げ上手の若君」みたいな、攻撃力はイマイチだけど隙をつければ致命傷与えられる! 的なステルスアクションがやりたかった。
単にアクションするならゴースト・オブ・ツシマでいいんだよ…アサクリシリーズで出す意味が無いんだよ…。
歴史問題抜いても本能寺はきっと燃えてただろうな、と思う次第。