古代エジプト:ワニのミイラから「最後の食事」が見つかる。(釣り針つきお魚)

仕事は多忙な時期にコロナで同僚がほぼ全滅、リアルでは親族の葬儀と片付け、とイイ感じに公私ともわちゃわちゃしていた中の人です。こんばんは。結局最後に一番頼れるものは自分だ…いざという時の体力、体力は正義。

というわけで色々力技で片付けたので、現代に戻してた分霊にはまた古代に旅立っていただきます。


古代エジプトのワニのミイラのX 線とCT スキャンによって、胃袋の中に残ったままになっていた釣り針つきのお魚が見つかった、という記事。
元論文は記事の最後にリンクされている。人間のミイラと違い、副葬品や包帯の巻き方などで制作年代を特定することが出来ないため、「おそらく、動物ミイラの製造が盛んだった紀元前1,000年~紀元前後あたりのものだろう」と言われている。

Croc's deadly last meal in Ancient Egypt unearthed
https://phys.org/news/2024-07-croc-deadly-meal-ancient-egypt.html

335773.png

このミイラはマンチェスター大学が所蔵している2.2mの大きさのもの。マンチェスター大は最近、所蔵品のCTスキャンとかで非破壊検査系の論文をいくつか出していたはずなので、雌雄像品の棚卸しでもしているのかもしれない。
結果、このワニのミイラの中からは、まだ消化されず完全に形の残っている釣り針付きの魚が見つかったのだそうだ。

釣り針はスキャンデータをもとにレプリカが作られている。材料は青銅。これが古代エジプトの(おそらく末期王朝時代の)釣り針。
まあ、釣り針の形なんてそうそう変わるものではないので、日本でもあるなっていう形。面白いのは、釣り針つきのを飲み込んでいる=誰か人間の釣人からエモノを奪った直後に死んでいる というところ。
飲み込んだ魚は、まだ胃袋に到達していないのだ。

つまり、この食事がワニにとっての「死因」だと言われているのは、釣人の反撃にあって殺されたのではないかと推測できるから。
釣り針つきのを飲み込んでいるからには、ミイラづくりのための養殖動物ではなかっただろうとも考えられる。しかしこのデカいワニ、一体どうやって戦って殺したんだろう…。釣人側もかなり武装してないと無理な気がするのだが。

なお、末期王朝時代に作られた奉納品のワニのミイラは、ほとんどが養殖物とされ、若い個体や、孵化して間もない個体を使ったものが多い。
そんな中で2,2mの大きさがあるこの個体は、大きさからしても、「天然もの」からのミイラ化だったと思われる。