ワニのミイラはどうやって作るのか。末期王朝ミイラの分析から
そういやワニって爬虫類だろ? 哺乳類とおなじミイラの作り方は出来んくない? と思ったから、ついでに調べてみた。
フランスのリヨンにあるMuse´e des Confluencesが所有するワニミイラの分析。このワニは小さいやつなので、末期王朝時代にミイラ化するために養殖されていたやつだと思われる。
Synchrotron “virtual archaeozoology” reveals how Ancient Egyptians prepared a decaying crocodile cadaver for mummification
https://hal.science/hal-03727325v1/file/PLoS_ONE_15_e0229140.pdf
先に結論言っちゃうと、このワニミイラは外側の皮だけ残して中身全部抜きである。
そう、頭部と手足以外は骨すら残っていない。腐りやすい内臓を骨ごとざっくり抜いて、そこに乾燥した草を詰めてロープで縛って形を整えるというやり方。雑っちゃ雑だが、確かに手早くミイラにはできる。
中身を抜いたあと、皮を洗浄して防腐剤を塗り込み、詰め物をして形を整え亜麻布でくるむ。
末期王朝時代だと、ミイラの形を整えるために詰め物をするのは人間ミイラに対してもやっていたので手法としては特別ではないが、人間相手の時のように「心臓には魂が宿るから内臓を抜く時に傷つけないよう注意して…」のような気遣いは無かったようだ。
また、このミイラは死後すぐにミイラ化されたものではなく、数日から数週間は放置されていたのでは、とされてるい。
理由は、中身を抜かれなかった頭部にウジ虫などが残っているからだ。身体部分に虫が残っていないのは、おそらく内臓を抜く時に一緒に抜けたため。
これらの虫が死体に湧くまでの期間があったはずだとすれば、若い個体を流れ作業でミイラ化していくミイラ工房の商業的な手順の中で作られた品だった可能性もあるのかなと思う。
末期王朝時代は、動物崇拝が変容して動物ミイラが多数作られ、神殿で販売されている時代だった。ご利益を得るため、各地方の神様の神聖な動物のミイラを購入して奉納していたのだ。流れ作業で大量生産するからには、手順は簡単なほうがいい。
内臓ぜんぶ抜きして草の詰め物をするという簡単な手法は、古代エジプト王朝末期の、商業的な宗教のあり方を思わせるものになっていた。
フランスのリヨンにあるMuse´e des Confluencesが所有するワニミイラの分析。このワニは小さいやつなので、末期王朝時代にミイラ化するために養殖されていたやつだと思われる。
Synchrotron “virtual archaeozoology” reveals how Ancient Egyptians prepared a decaying crocodile cadaver for mummification
https://hal.science/hal-03727325v1/file/PLoS_ONE_15_e0229140.pdf
先に結論言っちゃうと、このワニミイラは外側の皮だけ残して中身全部抜きである。
そう、頭部と手足以外は骨すら残っていない。腐りやすい内臓を骨ごとざっくり抜いて、そこに乾燥した草を詰めてロープで縛って形を整えるというやり方。雑っちゃ雑だが、確かに手早くミイラにはできる。
中身を抜いたあと、皮を洗浄して防腐剤を塗り込み、詰め物をして形を整え亜麻布でくるむ。
末期王朝時代だと、ミイラの形を整えるために詰め物をするのは人間ミイラに対してもやっていたので手法としては特別ではないが、人間相手の時のように「心臓には魂が宿るから内臓を抜く時に傷つけないよう注意して…」のような気遣いは無かったようだ。
また、このミイラは死後すぐにミイラ化されたものではなく、数日から数週間は放置されていたのでは、とされてるい。
理由は、中身を抜かれなかった頭部にウジ虫などが残っているからだ。身体部分に虫が残っていないのは、おそらく内臓を抜く時に一緒に抜けたため。
これらの虫が死体に湧くまでの期間があったはずだとすれば、若い個体を流れ作業でミイラ化していくミイラ工房の商業的な手順の中で作られた品だった可能性もあるのかなと思う。
末期王朝時代は、動物崇拝が変容して動物ミイラが多数作られ、神殿で販売されている時代だった。ご利益を得るため、各地方の神様の神聖な動物のミイラを購入して奉納していたのだ。流れ作業で大量生産するからには、手順は簡単なほうがいい。
内臓ぜんぶ抜きして草の詰め物をするという簡単な手法は、古代エジプト王朝末期の、商業的な宗教のあり方を思わせるものになっていた。