水不足のエジプトさん、海水淡水化施設を増設。人々はナイルを離れ新天地へ…

雨の降らない国エジプトでは、ナイルは過去五千年に渡り、唯一の確実な水源だった。古代エジプト文明はナイルのほとりに生まれ、栄えた。
だが今、エジプトは、首都を砂漠の中へ移し、上流に作られた多数のダムによって水量の減ったナイルを頼りにしない道を歩み始めている。

Egypt Ramps Up its Desalination Efforts
https://egyptianstreets.com/2024/05/24/egypt-ramps-up-its-desalination-efforts/

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エジプトの砂漠見てるとなんか妙な施設が増えてんなあと思っていたのだが、これ、海水から淡水を作り出す逆浸透方式のプラントらしい。
これまでにこの施設が作られているのは、スエズ運河沿いの港街ばかりだった。もちろん、スエズ運河の当たりはナイルから遠すぎるし、近くに大きな水源もないので水の確保に苦労するところ。海水から真水を作る技術でもなければ街は維持しづらい。

ただ、今回増設するのは地中海沿いの街 Ras El Hikma とのことで、どうやら地中海沿いも開発していくつもりらしい。どうもここをか海水浴リゾート地として盛り上げるのがメインの目的のようで、これでナイル沿いの人口過密状態が解消されるとは思えないけど…なんか、古代文明の栄えたナイル沿いから人が再拡散していくっていう動きが実に興味深い。

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少し前まではまだ、ナイルの水依存の状態だったのだが、ここから数年でかなり状況が変わってきているんだなあ、とシミジミ思った。
サハラが砂漠化し、人々は生きる場所を求めナイルに集まった。その地を神の守護の与えられし地と呼んだ。
それが今や、神を超える知恵を手に、約束された黒い土地を離れ赤い土地に戻っていく。

ナイルの恵みはもはや、過去の遺産となりつつあるのかもしれない…。


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参考 首都移転の話

エジプトさん、首都移転を開始。遷都はロマン…!
https://55096962.seesaa.net/article/202111article_4.html

まあ実際まだ移転はそんな進んでないっぽいんですけど、エジプト有史以来はじめてナイル川沿い以外に首都が作られたのって、衝撃的なターニング・ポイントだったんですよね…。
(海沿いの街であるアレキサンドリアも、古代にはナイル支流につながっており、海の反対側に汽水湖が存在した)

あと前に調べたやつ
新首都はナイルからも紅海からも遠いから水の確保が微妙だと思うんですよね…

砂漠に町を作るには水が必要。どこから持ってきているんだろう、とちょっと調べてみたのだが
https://55096962.seesaa.net/article/202111article_12.html