アルゼンチンでバッタ大量発生。※イナゴではない バッタ警察だから誤訳にはうるさいよ!
ウォッチの範疇外なのでふーん大変だねって感じで流してるバッタウォッチャーの中の人ですこんばんは。
いやエジプトにも飛来することがあるサバクトビバッタはわりとウォッチしてるんですけど、南米のバッタはその…それほどでは…。
2016年に「過去最大級の」バッタ大量発生を食らい、その後も2020年くらいまで定期的にバッタ大量発生のニュースを毎年聞いていたアルゼンチンさん、対策したんかなぁと思いきや、今年もまたバッタ大量発生らしくて、なんか全然収まってないなぁって感じ。
いまはコロラド州がバチボコになってるらしく、SNSにはわりとアレな映像も上がっている。もちろん昆虫苦手な人は見ちゃダメなやつである。
で、ここで大事なのが、世の中には、スイッチが入ると大量発生するバッタと、基本的に大量発生することのないバッタがいる、ということ。
日本だとトノサマバッタが前者。イナゴは後者。
つまりイナゴは大量発生することがない。
基本情報は農林水産省の出してるドキュメントのとおりである。
https://www.maff.go.jp/pps/j/guidance/pestinfo/attach/pdf/pestinfo_126_1-3.pdf
自動翻訳などではLocustがイナゴと変換されてしまうことが多いのだが、実はそれは正しくない。増殖するバッタ=Locustはイナゴではなくトビバッタ系なのだ。
で、アルゼンチンでニュースになりやすいのは、基本的に Schistocerca cancellata という種類。
広い平原のあるアルゼンチンで繁殖して増えやすいのだが、いったん増えると近隣のブラジルやウルグアイまで飛んでいく。トウモロシなどの作物をめちゃくちゃ食うで被害額もけっこうデカい。
今年もわりと早めにアラート上がってた気がするんだけど…
事前の駆除とか、やってなかったんだね…。
https://www.preventionweb.net/news/fao-and-argentina-exchange-experience-and-seek-collaboration-locust-management-south-america
まあ、もうあまりにも頻繁にバッタ大量発生のニュース流れすぎてて、アルゼンチンさん本気で対処する気あんの? って感じなので、個人的には眺めてるだけなんだが、気になるのは、「これだけ大量発生するということは、いまはバッタにとって良い条件の気候なのか?」ということと、「大量発生を繰り返すうちに分布図が変更されたりしないのか?」ということ。
実は、南北アメリカ大陸に存在するトビバッタ系の大量発生バッタは、すべて旧大陸の、つまりサバクトビバッタの系統に繋がっていることが、遺伝子調査から分かっている。サバクトビバッタがハリケーンか何かで偶然海を超え、新大陸に定着した、ということだ。
ただし、この現象は何度も起きたわけではないらしく、新大陸のバッタははるか以前に旧大陸の系統から分岐したまま、その後の定期的な交雑は確認されていないらしい。
※ソースは以下の本
バッタの大発生の謎と生態 - 田中誠二 他
ということは、「バッタは新天地に渡れたのは、めっちゃくちゃ条件が良かった時代の奇跡的な偶然による」わけで、この偶然がもう一度起きれば、繁殖地がシャッフルされる可能性もあるんじゃないかと思っている。
より具体的には、たとえば、今のところ南米にしかいない大発生バッタが、ロッキートビバッタの消えた北米に侵入することが在り得るのかどうか。
ただし、そんなことが可能なら、もっと前にとっくにやっているとも思う。
コロナ禍の時、増えすぎたサバクトビバッタがいずれ日本にも到達するのではないかとデマを流して煽っている人はたくさんいた。
しかし、サバクトビバッタは湿気と寒さに弱い。高い山を越えられないし、アジアの密林地帯も越えられない。たとえ越えられたとしても冬で全滅する運命である。
バッタの生息条件は意外とシビアなのだ。
南米のSchistocerca cancellata も密林は苦手そうなので途中のパナマやカリブを越えられないだろうなあ、とは思うのだが、こう何度も大発生していると、新しい亜種くらい生まれてないかなぁ、などとちょっと期待してしまう自分がいる。いやあ、昆虫って分かっているようでわかんないことだらけのジャンルだからさあ。サバクトビバッタの研究も日本が最先端なくらいだからさあ。ウフ。
いやエジプトにも飛来することがあるサバクトビバッタはわりとウォッチしてるんですけど、南米のバッタはその…それほどでは…。
2016年に「過去最大級の」バッタ大量発生を食らい、その後も2020年くらいまで定期的にバッタ大量発生のニュースを毎年聞いていたアルゼンチンさん、対策したんかなぁと思いきや、今年もまたバッタ大量発生らしくて、なんか全然収まってないなぁって感じ。
いまはコロラド州がバチボコになってるらしく、SNSにはわりとアレな映像も上がっている。もちろん昆虫苦手な人は見ちゃダメなやつである。
で、ここで大事なのが、世の中には、スイッチが入ると大量発生するバッタと、基本的に大量発生することのないバッタがいる、ということ。
日本だとトノサマバッタが前者。イナゴは後者。
つまりイナゴは大量発生することがない。
基本情報は農林水産省の出してるドキュメントのとおりである。
https://www.maff.go.jp/pps/j/guidance/pestinfo/attach/pdf/pestinfo_126_1-3.pdf
自動翻訳などではLocustがイナゴと変換されてしまうことが多いのだが、実はそれは正しくない。増殖するバッタ=Locustはイナゴではなくトビバッタ系なのだ。
で、アルゼンチンでニュースになりやすいのは、基本的に Schistocerca cancellata という種類。
広い平原のあるアルゼンチンで繁殖して増えやすいのだが、いったん増えると近隣のブラジルやウルグアイまで飛んでいく。トウモロシなどの作物をめちゃくちゃ食うで被害額もけっこうデカい。
今年もわりと早めにアラート上がってた気がするんだけど…
事前の駆除とか、やってなかったんだね…。
https://www.preventionweb.net/news/fao-and-argentina-exchange-experience-and-seek-collaboration-locust-management-south-america
まあ、もうあまりにも頻繁にバッタ大量発生のニュース流れすぎてて、アルゼンチンさん本気で対処する気あんの? って感じなので、個人的には眺めてるだけなんだが、気になるのは、「これだけ大量発生するということは、いまはバッタにとって良い条件の気候なのか?」ということと、「大量発生を繰り返すうちに分布図が変更されたりしないのか?」ということ。
実は、南北アメリカ大陸に存在するトビバッタ系の大量発生バッタは、すべて旧大陸の、つまりサバクトビバッタの系統に繋がっていることが、遺伝子調査から分かっている。サバクトビバッタがハリケーンか何かで偶然海を超え、新大陸に定着した、ということだ。
ただし、この現象は何度も起きたわけではないらしく、新大陸のバッタははるか以前に旧大陸の系統から分岐したまま、その後の定期的な交雑は確認されていないらしい。
※ソースは以下の本
バッタの大発生の謎と生態 - 田中誠二 他
ということは、「バッタは新天地に渡れたのは、めっちゃくちゃ条件が良かった時代の奇跡的な偶然による」わけで、この偶然がもう一度起きれば、繁殖地がシャッフルされる可能性もあるんじゃないかと思っている。
より具体的には、たとえば、今のところ南米にしかいない大発生バッタが、ロッキートビバッタの消えた北米に侵入することが在り得るのかどうか。
ただし、そんなことが可能なら、もっと前にとっくにやっているとも思う。
コロナ禍の時、増えすぎたサバクトビバッタがいずれ日本にも到達するのではないかとデマを流して煽っている人はたくさんいた。
しかし、サバクトビバッタは湿気と寒さに弱い。高い山を越えられないし、アジアの密林地帯も越えられない。たとえ越えられたとしても冬で全滅する運命である。
バッタの生息条件は意外とシビアなのだ。
南米のSchistocerca cancellata も密林は苦手そうなので途中のパナマやカリブを越えられないだろうなあ、とは思うのだが、こう何度も大発生していると、新しい亜種くらい生まれてないかなぁ、などとちょっと期待してしまう自分がいる。いやあ、昆虫って分かっているようでわかんないことだらけのジャンルだからさあ。サバクトビバッタの研究も日本が最先端なくらいだからさあ。ウフ。