文明は必ずしも大河を必要としない。というかエジプト・メソポタミアと他は条件違うよね? っていう話

まず最初に、「四大文明」というのは日本独特の概念で他ではあまり使われていないこと、そもそも「四」大という概念自体が偏っており、実際には一次文明と呼ばれるものだけでももっと数はある。という話のおさらいをしておきたい。

「四大大河文明」はもう古い、いい加減使うのやめようぜ。っていう話
https://55096962.seesaa.net/article/201706article_9.html

「四大文明」改め「六大文明」、ってのもおかしいよね って話
https://55096962.seesaa.net/article/201410article_10.html

しかも「四大文明は大河のほとりに生まれた」という概念すらも間違いで、インダス文明は大河りほとりに誕生した文明ではなかった、というのが最近の説である。

意外とマイナー、インダス文明の最新研究 ー実は大河文明じゃなかったとか色々と
https://55096962.seesaa.net/article/201407article_20.html

インダス文明はもはや「謎」ではない、最近の研究まとめ本
https://55096962.seesaa.net/article/489735210.html

その上で、「河川のそばに文明が発展する場合でも、その理由は場所による」という話をしたい。
端的に言うと、エジプトやメソポタミアのような雨に頼れない場所では、川沿いしか住めるところがない
特にエジプトは、人間が生きていくための淡水のほぼ100%がナイル川頼りであり、「大河文明」とか以前に、まず「人が住めるところが川沿いしかない」。そして「その川がたまたま大河だったので養える人数が多かった」=人口密度が上がり、農耕で生きていくために組織だって動くしかなかったので文明が成立した、という状態。

メソポタミアもほぼ同じ条件だ。川沿いに人口が集中し、かつ天水農業が不可な気候条件のため、集団で組織立って動かなければ成立しない灌漑農業を選択して都市国家が誕生した。

川沿いしかまともに水が手に入らず、人が川に集中するしかない地理条件と、別に川に集中しなくても生きている土地では、全く条件が異なる。
前者のエジプトやメソポタミアは確かに大河沿いに整理した大河文明だし、川がなければ文明が成立しなかったのだが、他にそういう特殊な土地(ほとんど雨の降らない地域に、長大な国際河川が流れている地域)は、それほど多くはない。
大河の有無だけで大河文明かどうかを判断しているのはか解像度が甘いし、「大河がなければ文明が成立しない」ほど川がファクターとして重要な土地と、「たまたまそこに川があった」という土地では意味合いが違うと思う。

そのへん考慮されてないなっていう説は、だめだと思うんですよ…。