古代エジプトの青銅器時代っていつからよ? というのをちょっと調べてみた
銅器と青銅器の違いは、錫を使っているかいないかである。錫を入れるとより固くなり、黄金色になる。耐久性も上がるし色もゴージャス。青銅は、古代世界では人気の金属だった。
だが、錫は採れる場所が非常に限られる鉱物だった。
後に鉄器に遅れを取るようになるのも、鉄器のほうが優れていたからというよりは、ほとんどどこでも採れるありふれた鉱物である鉄の便利さに敵わなかったからだろうと思う。
※初期の鉄器は、そんなに強くない。安定して耐久性のある鉄器を作るには技術革新が必要だった
というわけで、古代エジプトの三種の金属の変遷である。
まず銅器時代だが、紀元前5,500年~4,000年頃のバダリ期には確実に始まっている。
小型の同製品の出土がある。
その後、紀元前3100年頃までのナカダ期には銅製品が大型化し、精錬されていく。
このあたりの王朝時代以前の銅産地は上エジプトではヌビア、下エジプトでは西アジアからの交易品。
東砂漠にも採れる場所はあったようだ。
次に青銅だが、最古の青銅器は第2王朝カセケムイ王墓の副葬品として発見されている。
初期王朝時代、紀元前2,700年~2600年頃である。
西アジアの青銅器時代への突入からすると遅いので、青銅器の技術は西アジアからの伝来の可能性がある。同時に、錫の輸入も始まったのかもしれない。
青銅器は古王国時代はそれほど青銅の数が多くなく、工具など道具類は基本的に銅なので、この頃はまだ銅器時代と呼んで良さそうだ。
紀元前2,100年頃からの中王国時代以降は青銅が安定して作られるようになるので、青銅器時代と呼べそうなのは、多分ここから。
鉄器は西アジア全体では紀元前1,000年以降に主流になっていき、エジプトでは明確な製鉄の遺跡は紀元前6世紀を待たなければ出てこない。しかも場所がナウクラティスなので、おそらくギリシャ人入植者が関わっていた。
生活用品などで鉄器が主流となるのはプトレマイオス朝以降なので、かなり遅れて鉄器時代に入っているとも言える。
なお、鉄器が一般的になっても、青銅器は儀礼用などで鉄器と並行して使われ続けるので、廃れる時代というのはない。
というわけで、図にまとめるとざっとこんな感じ。青銅器時代、鉄器時代とも、モラトリアムな期間は本当はもっと長いと思う。
難点としては、資料の多くが墓の副葬品に頼っていて、日用品として使われていた金属の出現頻度がわからないこと。金属は鋳溶かして再利用するのが普通なので、日用品として使われていた金属器はあまり残らないのが普通なのだ。
なので、それぞれの金属の時代については、かなり大雑把な目安なのに注意してほしい。(何をもって「xx時代」に突入したとみなすのか、という定義にもよる。)
だが、錫は採れる場所が非常に限られる鉱物だった。
後に鉄器に遅れを取るようになるのも、鉄器のほうが優れていたからというよりは、ほとんどどこでも採れるありふれた鉱物である鉄の便利さに敵わなかったからだろうと思う。
※初期の鉄器は、そんなに強くない。安定して耐久性のある鉄器を作るには技術革新が必要だった
というわけで、古代エジプトの三種の金属の変遷である。
まず銅器時代だが、紀元前5,500年~4,000年頃のバダリ期には確実に始まっている。
小型の同製品の出土がある。
その後、紀元前3100年頃までのナカダ期には銅製品が大型化し、精錬されていく。
このあたりの王朝時代以前の銅産地は上エジプトではヌビア、下エジプトでは西アジアからの交易品。
東砂漠にも採れる場所はあったようだ。
次に青銅だが、最古の青銅器は第2王朝カセケムイ王墓の副葬品として発見されている。
初期王朝時代、紀元前2,700年~2600年頃である。
西アジアの青銅器時代への突入からすると遅いので、青銅器の技術は西アジアからの伝来の可能性がある。同時に、錫の輸入も始まったのかもしれない。
青銅器は古王国時代はそれほど青銅の数が多くなく、工具など道具類は基本的に銅なので、この頃はまだ銅器時代と呼んで良さそうだ。
紀元前2,100年頃からの中王国時代以降は青銅が安定して作られるようになるので、青銅器時代と呼べそうなのは、多分ここから。
鉄器は西アジア全体では紀元前1,000年以降に主流になっていき、エジプトでは明確な製鉄の遺跡は紀元前6世紀を待たなければ出てこない。しかも場所がナウクラティスなので、おそらくギリシャ人入植者が関わっていた。
生活用品などで鉄器が主流となるのはプトレマイオス朝以降なので、かなり遅れて鉄器時代に入っているとも言える。
なお、鉄器が一般的になっても、青銅器は儀礼用などで鉄器と並行して使われ続けるので、廃れる時代というのはない。
というわけで、図にまとめるとざっとこんな感じ。青銅器時代、鉄器時代とも、モラトリアムな期間は本当はもっと長いと思う。
難点としては、資料の多くが墓の副葬品に頼っていて、日用品として使われていた金属の出現頻度がわからないこと。金属は鋳溶かして再利用するのが普通なので、日用品として使われていた金属器はあまり残らないのが普通なのだ。
なので、それぞれの金属の時代については、かなり大雑把な目安なのに注意してほしい。(何をもって「xx時代」に突入したとみなすのか、という定義にもよる。)