古代エジプト・第12王朝の高官、ジェファイハピさんの墓から新たな棺が見つかる

エジプトの墓は、過去に発掘されていても、その後、再び砂に埋もれているものが少なくない。砂漠の国なので、定期的に掃除しないと砂が溜まってしまうのだ。で、墓の数があまりにも多すぎるので、全部を毎年掃除するとかは出来ず、数十年ぶりに再調査しようと思って行ったら完全に埋もれてて場所わかんななくってたww とか、あるはずだと思って掘った墓と別の墓を掘り出しちゃったww とかが結構よくある。

今回の話もそれと同じで、1913 年に発掘されていた墓を久しぶりに再調査しようと、エジプトとドイツの大学が合同で清掃してみたところ、今まで見つかっていなかった埋葬室に行き当たり、そこに新たな棺を見つけた、という話である。

場所はナイル中流域のアシウトで、上エジプト第13州の州知事だった高官ジェファイハピの墓。ジェファイハピと妻は既に見つかっていたが、今回は娘さんが新たに発掘されとのこと。

3,900-year-old burial chamber of Djefaihapi’s daughter discovered in Asyut, Egypt
https://archaeologymag.com/2024/10/burial-chamber-of-djefaihapis-daughter-discovered-in-egypt/

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うん、いいですね。とてもいい。輸入木材で作った四角い棺にびっしりと彩色。
これぞ中王国時代の最上級の典型的な棺。ただ紀元前1800年頃なのでミイラ化技術はまだ発展途上、骨しか残っていなかったらしい。
古代に墓泥棒に荒らされてはいたものの、カノポスつぼが出ているので、内臓は抜いていたのだろうと思う。

被葬者は40歳くらいで死亡しており、足に先天的な障害があっただろう、とのこと。親の墓に入ってるということは、未婚のまま亡くなったのかもしれない。

この時代、エジプトの首都はファイユーム湖に近いイチイタウィにあった。
ファラオはセンウセルト1世、安定して国の勢力が拡大していた時代なので、埋葬も豪華。ヌビアでの金の採掘を盛んに行っていて、その富が国内に流入して下々にも出回っていたんだなという感じ。

なお、記事内にはアシウトがヌビアに近いと書かれているが、アシウトの位置はここ↓なので、別に地理的には全然近くない。

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ただし、オアシスを抜ける隊商ルートはヌビア~オアシス~アシウトという流れで繋がっていて、川を通れない時期の物流はオアシスルートを使っていたので、その話だと思う。
(むかし、そのへんの設定を使った小説を書いたこともある)


エジプトの遺跡、再調査すると追加であれこれ出てきることがあるから、50年以上前に発掘されたところなんかは、もいっかい確認して回ったほうがいいんですよね。
遺跡だけじゃなく、発掘された品も、もいっかい良く観察したら新たな発見があったりするし。
一定以上むかしの発掘って、目立つ貴金属や像以外は適当な扱いにされているし、記録も雑なので、全面的に信用出来ないです。エジプトのは特にね…。